サービス品質

IP ネットワークのアプリケーションおよびユーザーは、ネットワークから受け取るサービスについて、それぞれ異なる要求を持っています。あるネットワークで全トラフィックを最大限の努力で処理しようとしても、そのような異なるユーザー・ニーズを必ずしも満足させられません。サービスの差異化 は、エンタープライズ・ネットワークにおけるユーザーの要件と重要性に基づいて、異なるトラフィック・タイプに異なるサービス・レベルを割り当てるメカニズムです。例えば、ピーク時には、FTP もしくは Web トラフィックよりもエンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) トラフィックにより良いサービスを提供することが大切です。アプリケーションまたはユーザーに提供される総合的なサービスは、スループットおよび遅延などのエレメントから見て、サービス品質 (QoS) と呼ばれます。異なる QoS レベルを提供する必要のあるネットワーク・サービス・プロバイダーは、そのビジネス・ゴールをサービス・レベル・アグリーメント (SLA) で表します。QoS と関連のある IP ネットワークには、2 つのタイプのサービスがあります。1 つは差異化サービス です。これは、幅広いクラスのトラフィックまたは ユーザーに QoS を提供します。例えば、特定のサブネットによってアクセスされるすべてのアウトバウンド Web トラフィックがこれにあたります。もう 1 つは統合サービス です。これは、データ経路と一緒にリソースを予約することによって、アプリケーションにエンドツーエンドの QoS を提供します。z/OS® Communications Server の場合は、統合サービスは大体において、Resource ReserVation Protocol を実装している RSVP エージェントによって提供されます。

ワークロードの分散も、シスプレックス内のサーバーのスループットおよび遅延特性の点で QoS に関連しています。サーバーのパフォーマンスを動的にモニターする機能、およびシスプレックスのワークロード分散に影響を与える機能は、シスプレックスの全体的な QoS の重要な部分です。また、ソース・サブネットなどのネットワーク選択基準に基づいて、シスプレックス・ルーティングの考慮に入れるターゲット・システム・セットを制限する機能も重要です。