QoS 固有のポリシー・エージェント機能

ポリシー・エージェントは、各種のポリシーをサポートするだけでなく、シスプレックス・ディストリビューターに関連する機能も実行します。ポリシー・エージェントは、ターゲットのポートまたはアプリケーション用に定義されたポリシーに代わって、SD に関係のある ネットワーク QoS パフォーマンス・データを収集し、そのポリシー・トラフィックに重み部分を 割り当てるように構成することができます。その後、SD (ワークロード・マネージャーが割り当てた重みと一緒にこの重みを使用して) は、ロード・バランシングについての判断を支援します。この機能は、ポリシー・エージェントによってシスプレックス内の SD ターゲット・ノード上で実行されます。

ポリシー・エージェントは、サービス・レベルごとのロード分散もサポートしています。ターゲットの DVIPA ポートまたはアプリケーションがサポートしている各ポリシー・アクション (サービス・レベル) について、パフォーマンス・データが保持されます。ポリシー・アクションの重み部分が生成されます。この重みは、使用可能の場合、(デフォルトの QoS 重み部分の代わりに) ワークロード・マネージャーの重みと組み合わせて、このサービス・レベルに割り当てられるトラフィックのロード分散の決定を支援するために使用できます。 このポリシー・アクション重み部分が使用可能でない場合は、シスプレックス・ディストリビューターはデフォルトの QoS 重み部分を使用し続けます。

ポリシー・パフォーマンスに関連したもう 1 つの機能は、パフォーマンス収集機能です。 ポリシー・エージェントは、スタックからポリシー・パフォーマンス・データを収集し (そのように構成されている場合)、それをキャッシュに入れます。 その後、このパフォーマンス・データは、Policy API (PAPI) を通じてユーザー・アプリケーションから使用可能になり、リアルタイムに近いパフォーマンス・モニター・アプリケーションに使用できるようになります。 また、オプションとして、このデータをパフォーマンス・ログ・ファイルに記録し、オフラインのパフォーマンス・モニターに利用することもできます。 PAPI インターフェースを使用してパフォーマンス・データにアクセスする方法と、パフォーマンス・ログ・ファイルにアクセスしてファイルを読み取る方法を示すために、サンプルの C アプリケーションが提供されています。

収集されたポリシー・パフォーマンス・データは、データを収集している対応スタックを定義しているポリシー・エージェント TcpImage ステートメントの FLUSH または NOFLUSH パラメーターによって影響を受けます。 FLUSH を指定した場合、ポリシーは以下の時点で削除されます。

その結果、以前に収集したすべてのメトリックは、ポリシーが再インストールされた時点で再び 0 から開始されます。 逆に、NOFLUSH を指定すると、ポリシーは決して削除されず、したがってパフォーマンス・メトリックは 0 にリセットされません。

シスプレックス・ディストリビューターのポリシー・パフォーマンス・モニター機能とポリシー・パフォーマンス収集機能は、次のように、よく似ている点と異なる点があります。

ポリシー・パフォーマンス・データは、ポリシー定義に変更を加えても即時に変更されない場合があります。 パフォーマンス・メトリックには、平均値であるものや、複数の抽出インターバルを通じて平滑化されるものがあります。 その結果、ポリシーに変更を加えても、新しい安定した状態が得られるまでにいくらかの時間が必要になります。

ポリシー・エージェントがサポートするもう 1 つの機能は、アウトバウンド・トラフィックに対する、IPv4 Type of Service (ToS) バイトまたは IPv6 トラフィック・クラスの値をアウトバウンド・インターフェース優先順位値にマップすることです。ToS バイトは、代替定義で DiffServ (DS) バイトとも呼ばれます (RFC 2474 を参照)。アウトバウンド・インターフェース優先順位の値は、QDIO インターフェースの場合にのみ意味があるということに注意してください。各種の ToS バイトまたはトラフィック・クラスの値をカバーし、それらの値をそれぞれ適切なインターフェース優先順位にマップするために、一組のマッピングを定義することができます。所定の ToS バイトまたはトラフィック・クラス値を指定した関連インターフェース経由の全アウトバウンド・パケットに、対応する優先順位値を割り当てます。ToS バイトまたはトラフィック・クラス値は、OSA-Express 機構を介して直接接続された LAN での伝搬のために、仮想 LAN (VLAN) ユーザー優先順位にマップすることもできます。

注: 仮想 LAN (VLAN) ユーザー優先順位をコーディングすると、IEEE 802.1Q 仕様に基づいてフレームが送信されます。この仕様は、VLAN 優先順位およびメンバーシップ情報に従ってイーサネット・フレームにタグ付けするための標準方式を確立します。具体的には、VLAN 優先順位にタグ付けされたフレームを使用して、パケットの優先順位をスイッチに伝えます。このフレームの VLANID の値は NULL です。完全な VLAN タグ付きフレームには、優先順位および NULL 以外の VLANID の両方が含まれています。ネットワーク内に、IEEE 802.1Q 標準をサポートしていないか、またはこれらのタイプのフレーム用として適切に構成されていないスイッチがある場合は、フレームがスイッチによりドロップされることがあります。