HiperSockets アクセラレーターを使用する効率的なルーティング

Communications Server は、入出力処理の高度な技術と高パフォーマンスをさらに有効に活用します。これを可能にするのが、IBM® System z® サーバーの機構である HiperSockets™、および QDIO アーキテクチャーを使用する IBM OSA-Express 機構です。これによりこの 2 つのタイプのリンクを介して行われる IP パケット転送処理を最適化します。この機能を、HiperSockets アクセラレーターと呼びます。これは構成可能なオプションで、IPCONFIG ステートメントで IQDIORouting オプションを構成することによってアクティブにされます。

制約事項:

HiperSockets アクセラレーターが構成されている場合は、HiperSockets リンクを介して受信され、QDIO リンクを介して転送される (あるいは、QDIO を介して受信され、HiperSockets を介して転送される) ユニキャスト IPv4 パケットを、z/OS® Communications Server HiperSockets デバイス・ドライバーが転送できるようになります。つまり、IP 転送機能はできるだけハードウェア・レイヤー (または最低のソフトウェア DLC (データ・リンク制御) レイヤー) の近くにプッシュされ、これらのパケットを TCP/IP スタックまたはアドレス・スペースによって処理する必要をなくします。したがって、貴重な TCP/IP リソース (ストレージおよびマシン・サイクル) がパケットのルーティングと転送の目的に費やされることがなくなります。図 1 の図は、HiperSockets アクセラレーターを使用する前の構成を示しています。

図 1. HiperSockets アクセラレーターを利用できる構成
HiperSockets アクセラレーターを使用する前のルーティングの構成

HiperSockets アクセラレーターは、図 2 に示すように、完全な接続性を得るために、異なる構成およびアプローチを提示します。

図 2. HiperSockets アクセラレーターの構成
HiperSockets アクセラレーターを使用する際のルーティングの構成

この機能を使用すると、ユーザーは、OSA LAN に物理的に直接接続する特定または単一の TCP/IP スタックを、HiperSockets ルーターとして配置することができます。その結果、このスタックは、HiperSockets 接続を使用して、同一 CPC 内にあって同じ OSA LAN への接続を必要とする他イメージ (各 LPAR) 内に残っている全 TCP/IP スタックに接続可能です。

1 つの CPC 内の LPAR の数が多くなるほど、この方法の利点も大きくなります。 1 つの OSA LAN を使用して各 LPAR を各物理ネットワーク接続機構に直接接続する代わりに、単一の z/OS LPAR を経由してより少ない数の OSA で集中的に接続できます。パフォーマンスの点では、HiperSockets アクセラレーターは中間 (またはルーター) TCP/IP スタックがパス内に存在しないかのように見せます。その代わりに、各 LPAR が物理ネットワークに直接接続されているかのように見えます (例えば、パケットはルーター TCP/IP スタックを経由しないで転送されます)。ユーザーが追加のルーティング構成タスクを行う必要はありません。事前ルーティングが自動的に実行されます。 TCP/IP スタックは、HiperSockets 適格経路 (QDIO/HiperSockets または HiperSockets/QDIO) を介して IP パケット転送が発生していることを自動的に検出し、HiperSockets アクセラレーター経路項目を動的に作成します。その後のパケットはすべて最適化されたデバイス・ドライバー・パスを使用して、TCP/IP スタックをトラバースすることはありません。

動的に作成された HiperSockets アクセラレーター・ルーティング項目は、IQDIO 修飾子を伴う Netstat ROUTE/-r レポート・オプションによって表示できます。VTAM® チューニング用統計が提供されているため、ユーザーは事前ルーティング・アクティビティーをモニターまたは測定することができます。

QDIOPriority (IQDIORouting オプション) は、オプションの選択項目の 1 つで、ユーザーはこれを使用して、HiperSockets リンクから QDIO リンクへのアウトバウンド・パケットを事前ルーティング時に 4 つの優先キューのどれを使用するかを指定することができます。デフォルトは 1 (最高の優先順位) で、ほとんどの場合はこれで十分です。

IQDIORouting 構成オプションについて詳しくは、「z/OS Communications Server: IP 構成解説書」の IPCONFIG ステートメントを参照してください。

ヒント: