psc または psdit コマンド

目的

troff の中間フォーマットを PostScript フォーマットに変換します。

構文

{ psc psdit } [  -f1 CodeSet:Font ] [  -FFontDirectory ] [ -MMediaName ] [ -pPrologue ] [  -oList ] [ File ]

説明

psc コマンドと psdit コマンドは、デバイス独立の troff で作成されたファイルを PostScript プリンターで印刷できるように PostScript フォーマットに変換します。 ファイルを指定しないと、標準入力が使用されます。 PostScript ファイルが標準出力へ送信されます。
注: pscpsdit コマンドの入力は、troffpic コマンドのような対応する -Tpsc オプションで準備すべきです。

pscpsdit コマンドは、フォント・ファイル (/usr/lib/font/devpsc/R) のプリンターのコード・フィールドを変更することによって作成された拡張文字を扱うことができます。 変更されたフィールドには、二重引用符で囲まれた文字列が含まれます。 文字列に含まれるのは、¥b (円記号、b) と、それに続いて、重ね打ちによって新しい文字に構成される標準フォントからの文字シーケンスです。

psc コマンドと psdit コマンドを使用すれば、troff コマンドで、作成された PostScript ファイルに任意の PostScript コードを含めるようになります。 pscpsdit コマンドは、troff 中間ファイル・フォーマットで未定義の % (パーセント) コマンドを識別し、出力ファイル内にそのまま配置される未加工の PostScript コードの開始を知らせます。 % (パーセント記号) と . (ピリオド) を含む行との間にあるものはすべて (ただし、当該記号は含まない)、 作成された PostScript 出力に置かれます。

この PostScript 出力は、troff コマンド座標系や作成された PostScript 出力の状況からは分離されません。 ただし、希望するならユーザーが分離できるように、2 つの機能がプロローグで定義されます。 PB (ピクチャー開始) 機能は PostScript 保存操作を行い、PostScript 座標系を、ページ上の現在位置に関する troff の概念に変換し、座標系の軸のスケールと向きを標準の、1 インチ当たり PostScript 72 単位へ変更します。 PE (ピクチャー終了) マクロは、この保護された環境を終了させます。

このように組み込まれた PostScript コードを troff 中間ファイルに取り込むには、いくつかの方法を使用できます。 例えば、troff コマンドの .sy¥!、および .cf のサブコマンドでは、次の例を使用して、完全に区切られていて印刷可能な文書の PostScript 言語記述を組み込みます。 この例では、次に示すように、showpage 演算子を再定義して、mypic.ps を組み込んでいます。

standard troff input
¥&
.fl
¥!%PB
¥!/showpage{}def
.fl
.sy cat mypic.ps
¥!PE
¥!.
more standard troff input

psdit コマンドと enscript コマンドに対する各種メディア・サイズを含む情報は、ファイル /usr/lib/ps/MediaSizes に入っています。

MediaSizes ファイルの各エントリーに必要とされる情報は、TranScript で使用した PostScript プリンターに合う PostScript Printer Description、つまり PPD ファイルから獲得できます。 PPD ファイルは、Adobe Systems Incorporated から入手できます。 PPD ファイルから抽出される測定単位は、ポイントです。 プリンターの 1 ポイントは、1 インチの 1/72 です。

ASCII * (アスタリスク) で始まる MediaSizes ファイルのどの行も無視されるのは、 enscript コマンドと psdit コマンドへのコマンド・ラインに提供されたメディア・サイズ名に合致する場合です。

MediaSizes ファイルの各エントリーには、8 つか 9 つのフィールドが含まれます。 すべてのエントリーについて、最初の 8 フィールドは必要です。 9 番目のフィールドはオプションです。 フィールドはホワイト・スペースで区切られます。 各エントリーのフィールドは、次のとおりです。

フィールド名 説明
EntryName enscript コマンドか psdit コマンドの -M オプションで提供されるメディア名に一致する文字列。
MediaWidth ポイント単位のメディアの幅。
MediaDepth ポイント単位のメディアの深さ。
ImageableLLX ポイント単位のイメージ可能な左下隅の x 座標。
ImageableLLY ポイント単位のイメージ可能な左下隅の y 座標。
ImageableURX ポイント単位のイメージ可能な右下隅の x 座標。
ImageableURY ポイント単位のイメージ可能な右下隅の y 座標。
PageRegionName 作画可能領域のサイズを識別する特定プリンターのための PostScript シーケンス。
PaperTrayName 特定の紙/メディア・トレイを選択する特定プリンターのための PostScript シーケンス。 このフィールドはオプションです。
注: シーケンスは、PageRegionName フィールドと PaperTrayName の両フィールドについて、複数の PostScript 演算子やワードにすることができます。 このようなシーケンスを指定するには、ASCII " (二重引用符) を使用してシーケンス全体を区切ります。

以下に示すのは、MediaSizes ファイルのフィールド・エントリーの例です。

名前 エントリー
Letter
Width
612
Depth
792
llx
18
lly
17
urx
597
ury
776
ページ- 領域- 名
Letter
ページ- トレイ- 名
Legal
Width
612
Depth
1008
llx
18
lly
17
urx
597
ury
992
ページ- 領域- 名
Legal
ページ- トレイ- 名

フラグ

-f1 CodeSet:Font

項目 説明
-FFontDirectory デフォルトの代わりに FontDirectory からフォント情報を取ります。
-MMediaName 紙のイメージ可能区域の量を決定するのに使用されるメディア名を指定します。 提供される名前は、MediaSizes ファイルのエントリーと一致します。 例えば、-M legal はイメージ可能区域としてリーガル・サイズの紙を要求します。このオプションを使用しない場合、デフォルトのサイズはレターサイズで、幅 8.5 インチで深さ 11.0 インチになります。
-pPrologue デフォルトの PostScript プロローグの代わりに Prologue の内容を使用します。
-o List コンマで区切ったリストで提供される番号のページを印刷します。 そのリストは、フォーマット N1-N2 で単一番号と範囲を含み、ここで N1N2 はページ番号を表します。 N1 が指定されないと、範囲は最小ページから始まり、N2 が指定されないと、範囲が最大ページで終わることを意味します。

次の例は等価です。

pic -Tpsc File | troff -Tpsc | psc

pic -Tpsc File | troff -Tpsc | psdit

環境変数

項目 説明
PSLIBDIR pscpsdit コマンド・プロローグ用 /usr/lib/ps ファイルの代わりに使用されるディレクトリーのパス名。
TRANSCRIPT MBCS ハンドル用 /usr/lib/ps/transcript.conf の代わりに使用されるファイルの絶対パス名。

ファイル

項目 説明
/usr/lib/font/devpsc/* PostScript 仮想デバイスの troff デフォルト記述ファイルが入っています。
/usr/lib/ps/psdit.pro デフォルトの PostScript プロローグが入っています。
/usr/lib/ps/MediaSizes メディア・サイズに使用されるデフォルト・ファイルが入っています。
/usr/lib/ps/transcript.conf PostScript のコード・セットとフォント名に使用するデフォルト値が入っています。