nfso コマンド
目的
ネットワーク・ファイルシステム (NFS) のチューニング・パラメーターを管理します。
構文
nfso [ -p | -r ] [ -c ] { -o Tunable[ =newvalue ]}
nfso [ -p | -r ] { -d チューナブル }
nfso [ -p | -r ] -a [-F] [ -c ]
nfso -h [ チューナブル ]
nfso -l [ ホスト名 ]
nfso [ -@ WparName ] [ -p | -r ] -a [ -c ]
nfso [ -@ WparName ] [ -p | -r ] [ -c ] { -o Tunable[ =newvalue ]}
nfso -H {ha 操作}
説明
ネットワーク・ファイルシステムのチューニング・パラメーターを構成するには、 nfso コマンドを使用します。 nfso コマンドは、ネットワーク・ファイルシステムの チューニング・パラメーターの現行値または次のブート値を設定または表示します。 このコマンドを使用して、 永続的な変更を行ったり、あるいは次のリブートまで変更を先送りすることも できます。 コマンドがパラメーターを設定するのか表示するのかは、一緒に指定するフラグによって決まります。 -o フラグを 使用すると、両方のアクションを実行します。 パラメーターの値を表示したり、パラメーターに新しい値を設定したりすることができます。
チューナブル・パラメーター変更の効果の理解
このコマンドの使用には注意してください。 nfso コマンドを正しく使用しない場合、 システムが操作不能になることがあります。
チューナブル・パラメーターを変更する前に、その目的を完全に理解するために、 まず以下の「チューナブル・パラメーター」セクションで、 チューナブル・パラメーターの特性のすべてについて注意して読み、 「参照」ポインターがあればこれに従ってください。
次に、そのパラメーターの「診断」および「チューニング」のセクションをご使用の環境に実際に適用できるかどうか、そのパラメーターの値を変更するとシステムのパフォーマンスの向上に役立つかどうか、確認してください。
診断セクションとチューニング・セクションの両方に「N/A」のみが含まれている場合は、 AIX® の開発によって特に指示されない限り、このパラメーターを変更しないでください。
フラグ
項目 | 説明 |
---|---|
-a | すべてのチューナブル・パラメーターについて、現行値とリブート
値 (-r を使用した場合) または
永続値 (-p を使用した場合) を表示します。
それぞれの組み合わせが 1 行あたり 1 つずつ表示されま
す (Tunable = Value)。 永久オプションの場合、パラメーターの値はそのリブート値と現行値が
等しい場合のみ表示されます。 値が異なる
場合は、値として NONE が表示されます。 |
-c | nfso コマンドの出力フォーマットをコロンで区切るフォーマットに変更します。 |
-d チューナブル | Tunable 変数をデフォルト値に戻します。 チューナブル を変更する必要がある場合は、以下のようにします。 現在はデフォルト値に設定されていません)。タイプが Bosboot または Reboot であるか、またはタイプが Incremental でデフォルト値から変更されていて、 -r が組み合わせて使用されていない場合は、変更されずに警告が表示されます。 |
-D | すべての Tunable 変数をデフォルト値に戻します。 変更する必要のある Tunable がタイプ Bosboot または Reboot であるか、 またはタイプが Incremental でデフォルト値が変更されていて -r フラグが指定されていない場合、変更は行われず、警告が表示されます。 |
-F | コマンド・ラインでオプション -a、-L、または -x を指定したとき、制限付きチューナブル・パラメーターの表示を強制します。 -F フラグを指定しない場合、制限付きチューナブルは、関連する表示オプションで明確に指定されない限り、組み込まれません。 |
-h [チューナブル] | Tunable パラメーターのヘルプを表示します (このパラメーターが指定されている場合)。 このパラメーターが指定されていない場合は、 nfso コマンド使用ステートメントを表示します。 |
-H {ha operation} | ハイ・アベイラビリティー (HA) 操作を実行します。 HA 操作は、次のとおりです。
|
-l ホスト名 | システム管理者が NFS サーバー上で NFS ファイル・ロックを解除できるようにします。 hostname 変数は、NFS サーバー上でファイル・ロックが保持されている NFS クライアントのホスト名を指定します。 nfso -l コマンドは、NFS
サーバーの rpc.lockd ネットワーク・ロック・マネージャーへのリモート・プロシージャー・コールを実行して hostname NFS クライアントが保持しているファイル・ロックの解除を要求します。 ファイル・ロックを NFS サーバー上に保持している NFS クライアントがあり、
このクライアントがネットワークから切断されているためにリカバリーできない場合、
他の NFS クライアントが類似するファイル・ロックを取得できるように、
nfso -l コマンドを使用して問題のロックを解除することができます。
注: nfso コマンドは、ローカル NFS サーバー上のロックのみを解放するために使用できます。
|
-L [チューナブル] | 1 つまたはすべての Tunable
の特性を、次の形式で 1 行に 1 つずつリストします。
|
-o チューナブル[ =newvalue ] | 値を表示するか、Tunable を newvalue に設定します。 パラメーターを変更する必要があり (指定された値が現行値と異なる)、
このタイプが Bosboot または Reboot であるか、
またはタイプが Incremental でその現行値が指定された値より大きく、
かつ -r が指定されていない場合、変更は行われず、
警告が表示されます。 新しい値を指定せずに -r を指定すると、
Tunable の次のブート値が表示されます。 -p を newvalueなしで組み合わせて使用すると、 Tunable の現行ブート値と次のブート値が同じ場合にのみ値が表示されます。 値が異なる
場合は、値として |
-p | -o、-d または -D を指定した場合、
現行値とリブート値の両方を変更します。つまり、現行値の更新だけでなく、
/etc/tunables/nextboot ファイルの更新をオンにします。 Reboot および Bosboot タイプのパラメーターでは
現行値を変更できないため、これらの組み合わせは使用できません。 新しい値を使用せずに -a また
は -o の組み合わせを使用すると、パラメーターの現
行ブート値と次のブート値が同じ場合のみ値が表示されます。 値が異なる
場合は、値として |
-r | -o、-d または -D を指定した場合、
リブート値を変更します。つまり、
/etc/tunables/nextboot ファイルの更新をオンにします。 タイプ Bosboot のパラメーターを変更すると、bosboot を実行するというプロンプトがユーザーに出されます。 新しい値を使用せずに -a または -o を指定して使用すると、チューナブルの現行値ではなく、次のブート値が表示されます。 |
-x [チューナブル] | 1 つまたはすべての Tunable の特性を、
次のスプレッドシート形式で 1 行に 1 つずつリストします。
|
-@ WparName | 指定されたワークロード区画のチューナブル・パラメーターを設定または表示します。 -@ フラグは、nfso コマンドがグローバル区画で実行される場合にのみ使用できます。 |
制限付きチューナブル・パラメーターを変更すると (-o、-d、または -D を指定)、限定使用タイプのチューナブル・パラメーターが変更されたという警告メッセージが表示されます。 コマンド・ラインで -r または -p オプションも指定した場合は、変更の確認を求めるプロンプトが出されます。 さらに、システム・リブート時に制限付きチューナブル・パラメーターが /etc/tunables/nextboot ファイルにあって、それらのパラメーターがデフォルト値と異なる値に (コマンド・ラインで -r または -p オプションを指定して) 既に変更されていた場合は、それらの変更されたチューナブル・パラメーターのリストを示すエラー・ログ・エントリーが作成されます。
タイプ Mount のパラメーターを変更すると (-o、-d 、または -D フラグを指定)、その変更は将来のマウントについてのみ有効であるという警告メッセージが表示されます。
タイプ Connect のパラメーターを変更すると (-o、-d 、または -D フラグを指定)、inetd が再始動され、その変更は将来のソケット接続についてのみ有効であるという警告メッセージが表示されます。
-r を指定せずに、タイプ Bosboot または Reboot のパラメーターを変更すると (-o、-d、または -D を指定)、エラー・メッセージが出されます。
タイプ Incremental のパラメーターの現在の値を、現在の値より小さい新しい値に変更すると (-o、 -d、または -D を指定し、 -r を指定しない)、エラー・メッセージが出されます。
- nfs_dynamic_retrans
- nfs_iopace_pages
- nfs_use_reserved_port
- nfs_v4_fail_over_timeout
- utf8_validation
- nfs_auth_rbr_trigger
- クライアント委任
チューナブル・パラメーターのタイプ
項目 | 説明 |
---|---|
Dynamic | パラメーターをいつでも変更できる場合 |
Static | パラメーターをいかなる時にでも変更できない場合 |
Reboot | パラメーターをリブート時にのみ変更できる場合 |
Bosboot | bosboot を実行してマシンをリブートする場合にのみパラメーターを変更できる場合 |
Mount | パラメーターの変更が将来のファイルシステムまたはディレクトリーのマウントにのみ有効である場合 |
Incremental | ブート時を除き、 パラメーターを増やすことだけが可能な場合 |
Connect | パラメーターへの変更が、今後のソケット接続に対してのみ有効な場合 |
Deprecated | このパラメーターの変更が現行リリースの AIXでサポートされなくなった場合。 |
nfso コマンドにより管理されるパラメーターの現行セットには、 Dynamic、Mount、および Incremental のタイプがあります。
互換モード
5.2 より前の互換モード ( sys0 の pre520tune 属性によって制御される) で実行している場合、パラメーターのリブート値 (タイプ Bosboot を除く) は、ブート時に適用されないため、実際には意味がありません。 AIX 5.2 互換モードを参照してください。
5.2 より前の互換モードでは、チューニング・パラメーターへのリブート値の設定は、 ブート中に呼び出されるスクリプト内でチューニング・コマンドを呼び出すことにより行います。 したがって、タイプ Reboot のパラメーターは -r フラグ なしで設定できるので、既存のスクリプトは従来どおり作動します。
マシンが AIX 5L バージョン 5.2にマイグレーションされると、このモードは自動的にオンになります。 完全なインストールの場合、これは OFF になり、パラメーターのリブート値は、 リブート中に /etc/tunables/nextboot ファイルの内容を適用することにより設定されます。 -r およ び -p のフラグが完全に機能するのは、このモードのときだ けです。 新しい 5.2 モードについて詳しくは、「 Performance Tools Guide and Reference 」の「 カーネル・チューニング 」を参照してください。
チューナブル・パラメーター
チューナブルのデフォルト値および値の範囲については、 nfso コマンド・ヘルプ (-h <tunable_parameter_name>) を参照してください。
- nfs_v2_pdts
- nfs_v2_vm_bufs
- nfs_v3_pdts
- nfs_v3_vm_bufs
- nfs_v4_pdts
- nfs_v4_vm_bufs
項目 | 説明 |
---|---|
クライアント委任 |
|
nfs_hang_log (nfs_hang_log) |
|
nfs_max_read_size |
|
nfs_max_write_size |
|
nfs_rfc1323 |
|
nfs_securenfs_authtimeout |
|
nfs_server_base_priority (nfs_server_base_priority) |
|
nfs_server_clread |
|
nfs_server_close_delay |
|
nfs_use_reserved_ports |
|
nfs_v3_server_readdirplus |
|
nfs_v4_fail_over_timeout |
|
ポート・チェック |
|
サーバー委任 |
|
utf8_validation |
|
gss_window |
|
例
- portcheck チューナブル・パラメーター
の値をゼロにするには、次のように入力します。
nfso -o portcheck=0
- udpchecksum チューナブル・パラメーター
の値を次のリブートでデフォルト値の 1 にするには、次のように入力します。
nfso -r -d udpchecksum
- すべてのチューナブル・パラメーターとその現在値のリストを、
コロンで区切ったフォーマットで印刷するには、次のように入力します。
nfso -a -c
- nfso コマンドが管理するすべてのチューナブル・パラメーターの、現行値とリブート値、範囲、単位、タイプと依存関係を
リストするには、次のように入力します。
nfso -L
- nfs_tcp_duplicate_cache_size
のヘルプ情報を表示するには、次のように入力します。
nfso -h nfs_tcp_duplicate_cache_size
- nfs_dynamic_retrans を永久にオフにするには、次のように入力します。
nfso -p -o nfs_dynamic_retrans=0
- すべてのネットワーク・ファイルシステム・チューニング・パラメーター
のリブート値をリストするには、次のように入力します。
nfso -r -a
- nfso コマンドが管理するすべてのチューナブル・パラメーターの、
現行値とリブート値、範囲、単位、タイプと依存関係をリスト (スプレッドシート形式) するには、
次のように入力します。
nfso -x