mksysb コマンド

目的

ルート・ボリューム・グループのインストール可能イメージをファイルまたはブート可能テープに作成します。

構文

mksysb [ -a ] [ -A ] [ -b number ] [ -e ] [ -F filename ] [ -i ] [ -m ] [ -p ] [ -P ] [ -t argument ] [ -v ] [ -V ] [-x file ] [ -X ] [-Z] [ -G | -N ] [-M] [ -T ] [-C] device | file

説明

mksysb コマンドを使用すると、オペレーティング・システム (つまりルート・ボリューム・グループ) のバックアップが作成されます。 このバックアップを使用すると、システムが破壊した場合でもシステムを元の状態にインストールし直すことができます。 テープまたはユーザー定義ファイルシステム (UDFS) 対応メディア上にバックアップを作成すると、バックアップはブート可能となり、そのバックアップからインストールするために必要なインストール・プログラムが組み込まれます。

注: システムが multibos 環境を持ち、両方のインスタンスがマウントされている場合、バックアップをリストアできる唯一の方法は alt_disk_mksysb コマンドを使用することです。

また、mksysb イメージを使用して別のシステムを復元することもできます。

ファイルシステム・イメージは、バックアップ・ファイルの形式になっています。 テープ・フォーマットには、ブート・イメージ、bosinstall イメージ、および後ろにシステム・バックアップ (ルート・ボリューム・グループ) イメージが付いた空の目次が入っています。 ルート・ボリューム・グループ・イメージは、バックアップ・ファイルの形式であり、データ・ファイルから始まってオプションのマップ・ファイルが付いています。

mksysb コマンドが使用するデータ・ファイルの 1 つは /bosinst.data ファイルです。 /bosinst.data ファイルが存在しない場合は、 /var/adm/ras/bosinst.data ファイルが / (root) にコピーされます。 mksysb コマンドは、mksysb コマンドが実行されているシステムのルート・ボリューム・グループ内に現在あるディスクと突き合わせるために、bosinst.data ファイル内の target_disk_data スタンザを常に更新します。

カスタマイズされた /bosinst.data ファイルを使用していて target_disk_data スタンザの更新を望まない場合は、/save_bosinst.data_file を作成する必要があります。/save_bosinst.data_file が存在する場合、mksysb コマンドは /bosinst.data を更新しません。

注:
  1. mksysb コマンドの実行中に、システム活動状況が最小限であることを確認します。
  2. mksysb コマンドが作成するイメージには、ロウ・デバイス上のデータや、ユーザー定義のページング・スペース内のデータは含まれません。
  3. リモート・マウントされている /usr ファイルシステム付きのシステムを使用している場合は、このシステムをバックアップ・イメージから再インストールできません。
  4. /dev/netbios やプロダクトに付属していない一部のデバイス・ドライバーなどの特殊機能に合うように、mksysb コマンドですべてのデバイス構成を復元できるとは限りません。
  5. mksysb コマンドは backup コマンドを使用して、アーカイブ・イメージを作成します。mksysb コマンドは、バックアップされるすべての拡張ジャーナル・ファイルシステム (JFS2) の拡張属性 (EA) フォーマットも保管します。これは、/usr/bin/mkszfile シェル・スクリプトを使用して、この情報を保管します。
  6. mksysb コマンドを実行する前に /dev/ipldevice を削除すると、0301-150 bosboot エラーが発生します。ほとんどの場合、このメッセージは無視してかまいません。mksysb コマンドが正常に実行されたかどうかは、戻りコードで確認してください。
  7. テープ・バックアップを作成していて、ファイルシステムが暗号化されている場合は、-Z フラグを使用する必要があります。 暗号化ファイルシステムを含むテープ・バックアップ・イメージからシステムを再インストールすることはできません。

オペレーティング・システムのバックアップを CD に作成する場合は、『mkcd コマンド』を参照してください。 オペレーティング・システムのバックアップを DVD に作成する場合は、『mkdvd コマンド』を参照してください。

フラグ

項目 説明
-a 拡張属性またはネットワーク・ファイル・システム・バージョン 4 (NFS4) のアクセス制御リスト (ACL) をバックアップしません。
-A データ管理 API (DMAPI) ファイルシステム・ファイルをバックアップします。
-b number 1 回の出力操作で書き込む 512 バイト単位のブロック数を指定します。 backup コマンドが磁気テープ装置に書き込む場合、 デフォルトは、名前によるバックアップについては 100 です。

書き込みサイズは、ブロック数にブロック・サイズを掛け合わせたものです。backup コマンドでの磁気テープ装置への書き込みのデフォルト書き込みサイズは、名前によるバックアップの場合は 51200 (100 * 512) です。書き込みサイズは、テープの物理ブロック・サイズの偶数倍でなければなりません。

-C mksysb イメージの作成時に /usr/lpp/bos.alt_disk_install/boot_images/bosboot.disk.chrp ブート・イメージを新しいブート・イメージに置き換えることができるかどうかを指定します。
このフラグは、カーネルに作用する暫定修正がシステムにインストールされた場合、および alt_disk_mksysb コマンドを使用して mksysb イメージをインストールする予定である場合に使用します。 –C フラグを使用したい場合は、bos.alt_disk_install.boot_images ファイルセットをシステムにインストールする必要があります。 –C フラグの使用時には、–i フラグを使用して新しい image.data ファイルを作成する必要があります。 新しい bosboot.disk.chrp イメージは、mksysb イメージ作成の終わりに元のイメージに置き換えられます。 NIM リソースを使用している場合、mksysb イメージの作成時に -C フラグを使用することはできません。 multibos 基本オペレーティング・システム (BOS) スタンバイ・インスタンスは、-C フラグの影響を受けません。
注: 必要であれば、-X フラグと -C フラグを併用して、新しいブート・イメージを組み込むために /usr ファイルシステムのサイズを大きくすることができます。
-e /etc/exclude.rootvg ファイルに登録されているファイルを、バックアップする対象から除外します。除外規則は、grep コマンドのパターン・マッチング規則に準拠します。

このバックアップから特定のファイルを除外したい場合は、 ASCII エディターを使用して /etc/exclude.rootvg ファイルを作成し、 システム・バックアップ・イメージに取り込みたくないファイル名のパターンを入力します。この ファイル内のパターンは、バックアップからどのファイルを除外するかを判別するための、 grep コマンドのパターン・マッチング規則の入力になります。/etc/exclude.rootvg ファイルにリストされているファイルを除外したい場合は、「Exclude Files (除外ファイル)」フィールドを選択し、「Tab (タブ)」キーを 1 回押してデフォルト値を YES に変更します。

以下に例を示します。
  1. scratch と呼ばれるディレクトリーの内容をすべて除外するには、除外ファイルを次のように編集します。
         /scratch/
  2. /tmp と呼ばれるディレクトリーの内容を除外し、かつパス名に /tmp を含むその他のディレクトリーのどれも除外しないようにするには、除外ファイルを次のように編集します。
         ^./tmp/
    これにより、/tmp ディレクトリーのすべての内容が除外されますが、ファイルシステムの /tmp マウント・ポイントは保持されます。他のディレクトリーやその内容、例えば /var/adm/sw、および /tmp のファイルシステムが除去されることはありません。

すべてのファイルは、「.」(現在の作業ディレクトリー) に関係するファイルのバックアップが作成されます。 行の先頭での文字列の突き合わせを行う検索からファイルまたはディレクトリーを除外するには、 検索文字列の先頭文字として ^ (脱字記号) を使用し、後ろに . (ドット文字) を入れ、さらに除外するファイル名またはディレクトリーを続けます。

除外されるファイル名またはディレクトリーが別のファイル名またはディレクトリーのサブストリングの場合は、^. (脱字記号に続けてドット文字) を使用して検索が行の先頭で始まる必要があることを示し、$ (ドル記号) を使用して検索が行の末尾で終了する必要があることを示します。

-F filename 以前に作成した mksysb イメージを指定します。そのイメージからバックアップ・テープが作成されます。 バックアップ・テープをブート可能にすることを試行します。 さらに、このフラグはテープ・デバイスと使用する必要があります。
-G システム・バックアップから WPAR ファイルシステムを除外します。 このフラグは、-N フラグと共に指定した場合は無効です。
-i /image.data ファイルを生成する mkszfile コマンドを呼び出します。 /image.data ファイルには、ボリューム・グループ、論理ボリューム、ファイルシステム、ページング・スペース、および物理ボリュームに関する詳細が入っています。 この情報は、将来インストール・プロセスで使用できるように、バックアップに入れられます。

-i フラグを使用する必要があります。使用しない場合、システム・バックアップをリストアするための十分なスペース要件が入っていない古い /image.data ファイルが保存される可能性があります。

注: mkszfile コマンドを実行する前に、/tmp ファイルにブート・イメージを保管できる十分なスペースがあることを確認してください。 このスペースは、バックアップ時とインストール時に必要になります。/tmp ファイル内で必要なスペースの量を判別するには、次のコマンドを入力します。
bosboot -q -a -d device
/dev/usbms0 という名前の UDFS 対応デバイスを使用している場合、デバイス名として /dev/cd0 を指定する必要があります。これは、/dev/usbms0 デバイスが bosboot コマンドでサポートされていないためです。mksysb コマンドと共に -X フラグを使用すると、 bosboot コマンドを実行して /tmp ファイルで必要なスペースを決定する必要がなくなります。
-m -m フラグを指定して mkszfile コマンドを呼び出し、マップ・ファイルを生成します。
注: -m フラグを使用すると、-i フラグの機能も実行されます。
-M multibos コマンドとの使用が意図されているバックアップ・ファイルを作成します。-M フラグは、//usr/var、および /opt ファイルシステムをバックアップします。システムを再インストールするためにバックアップを使用しないでください。システムと同じレベルの bos.alt_disk_install.boot_images ファイルセットをインストールする必要があります。
-N システム・バックアップに、定義された状態の workload partition (WPAR) に属するファイルシステムを組み込みます。
注: バックアップに含めるためには、定義された状態の WPAR に属するすべてのファイルシステムが rootvg ボリューム・グループに入っている必要があります。
-p バックアップされるファイルのソフトウェア・パッキングを使用不可にします。 磁気テープ・ドライブのなかには、独自のパッキングおよび圧縮アルゴリズムを使用するものもあります。
-P /etc/exclude_packing.rootvg/etc/exclude_packing.vgname、 または /etc/exclude_packing.WPARname ファイルに 1 行ずつリストされたファイルをパックされないように除外します。

例えば、/etc/filesystems および /usr/bin/zcat ファイルを mksysb バックアップ時にパックされないように除外するには、/etc/exclude_packing.type を編集して、連続する行 /etc/filesystems および /usr/bin/zcat に追加します。

この場合、ファイル /etc/exclude_packing.type は次のようになります。
/etc/filesystems
/usr/bin/zcat

-P および -p フラグは同時には指定できません。

-t argument ディレクトリーへのパス、または -F フラグで指定された mksysb ファイルからブート・イメージを作成するために使用したファイルシステムを指定します。-t フラグを -F フラグと共に使わない場合、デフォルトでブート・イメージは /tmp ファイルに作成されます。約 100 MB のフリー・スペースが必要です。 ブート・イメージが作成された後にこのスペースは解放されます。
-T スナップショットを使用してバックアップを作成します。このコマンドは、JFS2 ファイルシステムにのみ適用されます。

-T フラグを指定して、ボリューム・グループ・バックアップの作成にスナップショットを使用すると、外部 JFS2 スナップショットが作成されます。 スナップショットによって JFS2 ファイルシステムのポイント・イン・タイム・イメージができるため、システムを一時的に非アクティブ状態にする必要はありません。スナップショットのサイズは、ファイルシステムのサイズの 2% から 15% です。バックアップが完了すると、スナップショットの論理ボリュームは除去されます。ただし、ファイルシステムに既に他のスナップショットがある場合は、スナップショットは除去されません。さらに、ファイルシステムに内部スナップショットがある場合、外部スナップショットは作成できないため、ファイルシステムのバックアップを作成するのにスナップショットは使用されません。-T フラグの使用は、バックアップされているボリューム・グループ内に存在する JFS ファイルシステムには影響を及ぼしません。これらのファイルシステムは、以前に行われていたのと同じ方法でバックアップされます。

-T フラグを指定する場合は、-i フラグも指定する必要があります。-i フラグを指定しなかった場合、古い /image.data ファイルが十分なスペース要件を持たないことがあります。このため、データをスナップショットに保存するときに、障害が起きる可能性があります。

-v 詳細モード。 バックアップされるファイルをリストで示します。
-V テープ・バックアップを検証します。 このフラグを指定すると、mksysb コマンドは、バックアップ・テープ上の 各ファイルのファイル・ヘッダーを検証し、読み取りエラー発生時にレポートします。
-x file ファイルでリストされたファイルシステムをシステム・バックアップから除外します。ファイルシステムのマウント・ポイントは、1 行につき 1 つずつリストする必要があります。
-X 必要に応じて、/tmp ファイルシステムを自動的に拡張するように指定します。 /tmp ファイルシステムは、ブート可能バックアップをテープに作成する場合、ブート・イメージのために場所を空けるように拡張する必要のある場合があります。
-Z どのファイル、ディレクトリー、およびファイルシステムの暗号化ファイルシステム (EFS) 情報もバックアップしないことを指定します。 ファイルシステムが暗号化されており、テープ上にバックアップを作成している場合、-Z フラグは必須です。
重要: オペレーティング・システムのバックアップからファイルシステムを除外するときに -x フラグを使用する場合は注意が必要です。結果のバックアップをシステムのリストアのために使用できなくなる可能性があります。

パラメーター

項目 説明
Device | File デバイスまたはファイルの名前を指定します。

終了状況

このコマンドは以下の終了値を返します。
項目 説明
0 コマンドは正常に完了しました。
1 mksysb コマンドの使用でエラーが発生しました。
2 savevg コマンドの使用でエラーが発生しました。 savevgmksysb へのリンクです。
3 ファイルシステムがマウントされる前にエラーが発生しました。
4 トラップのため終了します。
5 スペースがなかったため終了します。
6 ボリューム・グループ名が無効のため終了します。

  1. システム・バックアップを生成し、(mkszfile コマンドで生成された) /image.data ファイルを、/dev/rmt0 という名前の磁気テープ装置に作成するには、次のコマンドを入力します。
    mksysb -i /dev/rmt0
  2. システム・バックアップを生成し、(mkszfile コマンドによって生成された) /image.data ファイルをマップ・ファイルとともに、/dev/rmt1 という名前の磁気テープ装置に作成するには、次のコマンドを入力します。
    mksysb -m /dev/rmt1
  3. ディレクトリー /home/user1/tmp 内のファイルを除外して、新しい /image.data ファイルでシステムのバックアップを生成するには、行 /home/user1/tmp/ を含むファイル /etc/exclude.rootvg を作成し、次のコマンドを入力します。
    mksysb -i -e /dev/rmt1
    このコマンドは、ディレクトリー /home/user1/tmp をバックアップしますが、そのディレクトリー内に含まれるファイルのバックアップは行いません。
  4. /mksysb_images/node1 という名前のシステム・バックアップ・ファイルとそのイメージの新規 /image.data ファイルを生成するには、次のコマンドを入力します。
    mksysb -i /mksysb_images/node1
    注: このファイルはブート可能ではなく、ネットワーク・インストール管理 (NIM) を使用することによってのみインストールすることができます。
  5. mkszfile コマンドを独立して実行し、テープ・デバイス /dev/rmt0 上にシステム・バックアップを生成した後、ファイル・ヘッダーの可読性を検査するには、次のコマンドを入力します。
    mksysb  /dev/rmt0 -V
  6. multibos コマンドで使用される /mksysb_images/mksysb1 という名前のシステム・バックアップ・ファイルを生成して、そのイメージ用に /image.data ファイルを作成するには、次のコマンドを入力します。
    mksysb -iM /mksysb_images/mksysb1
  7. システム・バックアップを生成し、(mkszfile コマンドによって生成される) /image.data ファイルを、/dev/usbms0 という名前の UDFS 対応デバイスに作成するには、次のコマンドを入力します。
    mksysb -i /dev/usbms0
    注: ボリューム・グループのバックアップについては、listvgbackup コマンドを参照してください。ボリューム・グループ・バックアップから個々のファイルをリストアするには、restorevgfiles コマンドを参照してください。

ファイル

項目 説明
/usr/bin/mksysb mksysb コマンドが入っています。