mkfs コマンド

目的

ファイルシステムを作成します。

構文

mkfs [ -b Boot ] [ -l Label ] [ -i i-Nodes ] [ -o Options ] [ -p Prototype ] [ -s Size ] [ -v VolumeLabel ] [ -V VfsName ] Device

説明

mkfs コマンドは、指定されたデバイス上に新しいファイルシステムを作成します。 mkfs コマンドは、ボリューム・ラベル、ファイルシステム・ラベル、始動ブロックを初期化します。

Device パラメーターで、ブロック・デバイス名、ロウ・デバイス名、またはファイルシステムの名前を指定します。パラメーターでファイルシステム名を指定する場合に、次のパラメーターを mkfs コマンドと共に入力されなければ、mkfs コマンドは、この名前を使用して、次のパラメーターを /etc/filesystems ファイル内の該当するスタンザから取り出します。

項目 説明
dev デバイス名。
vol ボリューム ID
size ファイルシステム・サイズ
boot 始動ブロック内にインストールされるプログラム
vfs 仮想ファイルシステムの定義
options ファイルシステムのインプリメンテーション固有のオプション (Keyword,Keyword=Value の形式)。
注:
  1. ファイルシステムは、setgid (セット・グループ ID) ビットを使用可能にして作成されます。setgid ビットは、デフォルトのグループ許可を決定します。新しいファイルシステム下で作成されたディレクトリーはすべて、同じデフォルトのグループ許可を持ちます。
  2. mkfs コマンドは、ファイルシステムのラベルも含めて、マウントされた ファイルシステムには一切変更を加えません。 ファイルシステムのラベルが変更されるのは、そのファイルシステムがマウントされていないときに、ユーザーがマウント・ポイントを変更したときです。
  3. ストライプ論理ボリューム上でファイルシステムを作成する方法については、mklv の記述 (ストライプ論理ボリューム上のファイルシステム) を参照してください。
  4. 論理ボリュームに JFS2 ファイルシステムを作成するには、論理ボリュームのマイナー番号が 3071 より大でなければなりません。

フラグ

項目 説明
-b Boot 新しいファイルシステムのブロック 0 にインストールするプログラム名を指定します。
-i i-Nodes ファイルシステム上の初期の i ノード数を指定します。このフラグは、ジャーナル・ファイルシステムを作成するときには無視されます。
-l Label 新しいファイルシステム用のファイルシステム・ラベルを指定します。
-o Options 仮想ファイルシステムのインプリメンテーション固有のオプションのリストをコンマで区切って指定します。

次のオプションは、ジャーナル・ファイルシステム (JFS) に固有のものです。

項目 説明
-o ag={ 8 | 16 | 32 | 64 } 割り当てグループのサイズを M バイト単位で指定します。割り当てグループとは、BSD のシリンダー・グループと 同じように、i ノードとディスク・ブロックをまとめたものです。 デフォルト ag 値は 8 です。
-o bf={ true | false } ラージ・ファイル・イネーブル・ファイルシステムを指定します。詳細については、 ラージ・ファイルおよび JFS の説明を参照してください。ラージ・ファイル・イネーブル・ファイルシステムを必要としない場合は、このオプションを false に設定してください (これはデフォルトです)。 bf=true を指定すると、フラグメント・サイズ 4096 および compress=no を指定する必要があります。
-o frag={ 512 | 1024 | 2048 | 4096 } JFS フラグメント・サイズをバイト単位で指定します。ファイルシステムのフラグメントとは、ファイルに割り当てることができるディスク・ストレージの最小単位です。デフォルトのフラグメント・サイズは 4096 バイトです。
-o compress={ no | LZ } データの圧縮を指定します。データを圧縮したくない場合は、 このオプションを no に設定します。 データの圧縮を選択する場合、フラグメントのサイズを 2048 以下にしてください。
-o nbpi={ 512 | 1024 | 2048 | 4096 |8192 | 16384 | 32768 | 65536 | 131072 } i ノード 1 個当たりのバイト数 (nbpi) を指定します。nbpi は、i ノードの合計数に対するファイルシステム・サイズ (バイト単位) の比率です。 デフォルトの nbpi 値は 4096 バイトです。
注:
  • agbfcompressfrag、および nbpi 属性は、ファイルシステム作成時に設定されるので、ファイルシステムが正常に作成された後で変更することはできません。 size 属性は、最小ファイルシステム・サイズを定義するもので、 ファイルシステムの作成後には縮小できません。
  • ルート・ファイルシステム (/) は圧縮できません。
  • nbpi 値および割り当てグループ・サイズは相互に排他的になることがあります。 詳しくは、『JFS サイズの制限について』を参照してください。

次のオプションは、拡張ジャーナル・ファイルシステムに固有のものです。

項目 説明
-o agblksize={ 512 | 1024 | 2048 | 4096 } 拡張ジャーナル・ファイルシステム (JFS2) のブロック・サイズ (バイト単位) を指定します。 ファイルシステム・ブロックは、 ファイルに割り当てることができるディスク・ストレージの最小単位です。 デフォルトのブロック・サイズは 4096 バイトです。
-o isnapshot={yes|no} ファイルシステムが内部スナップショットをサポートできるかどうかを指定します。「yes」を指定すると、ファイルシステムは、内部スナップショットおよび v2 拡張属性をサポートできるようになります。その結果のファイルシステムは、AIX® 6.1 以前のリリースとは互換性がありません。
-o name=mountpoint ファイルシステムのマウント・ポイントを指定します。
-o log=LVName ログ論理ボリューム名を指定します。 指定した論理ボリュームは、新しい JFS2 のロギング用装置となります。
-o log=INLINE

JFS2 ファイルシステムが存在する論理ボリューム内にログを置くために指定します。INLINE ログは、ログ・サイズが指定されないと、 デフォルトによって論理ボリューム・サイズの .4% になります。

-o logsize=Value INLINE ログのサイズを M バイト単位で指定します。 INLINE ログが使用されない場合には、無視されます。 2047 M バイトより大きくはできず、ファイルシステムのサイズの 10% より大きくはできません。
-o ea={v1 | v2} 指定された拡張属性を JFS2 ファイルシステムに保管するために使用するフォーマットを指定します。 v2 フォーマットは、NFS4 ACL はもちろん、指定された、拡張が容易な拡張属性をサポートします。 v1 フォーマットは、AIX の前のリリースと互換性があります。デフォルトのフォーマットは、v1 です。
-o efs={yes|no}

暗号化を指定します。「yes」を指定すると、JFS2 ファイルシステムの暗号化が可能になります。

  • efs 属性が「yes」に設定されると、mkfs コマンドは、拡張属性フォーマットが v2 に設定されている JFS2 ファイルシステムを自動的に作成します。ea 属性は必須ではありません。
  • efs 属性が「no」に設定されると、mkfs コマンドは、暗号化されないファイルシステムを作成します。
-o vix={yes|no}
ファイルシステム内にフリーの隣接する 16 KB のエクステントがない場合、デフォルトの 16 KB より小さい i-node のエクステントをファイルシステムが割り振れるかどうかを指定します。AIX 5.1 以前のリリースでは、 ファイルシステムの小さい空きエクステントが使用可能になった後に、そのファイルシステムにアクセスすることはできません。
yes
ファイルシステムは、可変長の i-node エクステントを割り振れます。AIX 6.1 以降、これはデフォルト値です。
no
ファイルシステムは i-node エクステントに、デフォルト・サイズの 16 KB を使用する必要があります。既にファイルシステムに可変長の i-node エクステントが含まれている場合、これは無効です。
-o maxext=Value ファイルシステム・ブロック内のファイル・エクステントの最大サイズを指定します。ゼロ値は、JFS2 のデフォルトの最大値を使用する必要があることを指定します。0 未満の値、またはサポートされる最大エクステント・サイズ 16777215 を超える値は無効です。
注: agblksize 属性は、ファイルシステムの作成時に設定され、ファイルシステムが正常に作成された後では変更できません。

ea 属性フォーマットは、ファイルシステムの作成時に設定されます。 chfs コマンドを使用して 拡張属性フォーマットを v1 から v2 に変換することができますが、 逆方向には変換できません。この変換は、オンデマンド方法で行われます。 つまり、拡張属性または ACL の書き込みが行われると、 そのファイル・オブジェクトの変換が行われます。

項目 説明
-p Prototype JFS ファイルシステムを作成するときに、プロトタイプ・ファイルの名前を指定します。コマンド・ラインで指定したオプションは、プロトタイプ・ファイル内の属性をオーバーライドします。
-sSize ファイルシステムのサイズを指定します。サイズは、512 バイト・ブロック単位、メガバイト (末尾に M を付けます) またはギガバイト (末尾に G を付けます) で指定できます。詳細については、JFS および JFS2 の説明を参照してください。
注:
  • ファイルシステムが存在するボリューム・グループは、最大論理ボリューム・サイズを定義し、 さらにファイルシステムのサイズを制限します。
  • -s Size フラグは、 最小ファイル・サイズを指定します。ファイルシステムが正常に作成された後で、 このサイズを小さくすることはできません。
  • 以前のリリースでは、maxext 属性は、それより後のリリースでその属性を使ってファイルシステムが作成された場合であっても無視されます。
項目 説明
-v VolumeLabel 新しいファイルシステム用のボリューム・ラベルを指定します。
-V VfsName 仮想ファイルシステム (VFS) のタイプを指定します。 VFS のエントリーは、/etc/vfs ファイル内になければなりません。
制約事項: mkfs コマンドは、以下のファイルシステム (マウント・ポイント) が EFS ファイルシステムを使用可能にすることを防止します。これは、セキュリティー・インフラストラクチャー (カーネル・エクステンション、ライブラリーなど) がシステムの起動時には使用不可であるためです。以下に、ユーザーが使用できない既知のファイルシステム (マウント・ポイント) のリストを示します。
"/"
"/usr"
"/var"
"/opt"

セキュリティー

アクセス制御: このコマンドを実行するには、root ユーザーまたは システム・グループのメンバーでなければなりません。

RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. 新しいファイルシステムのボリュームとファイルシステム名を指定するには、次のように入力します。
    mkfs  -lworks  -vvol001 /dev/hd3
    このコマンドは、/dev/hd3 デバイス に空のファイルシステムを作成し、ボリューム通し番号を vol001 に、 ファイルシステム名を works にします。 新しいファイルシステムは、デバイス全体を占めます。 このファイルシステムは、デフォルトのフラグメント・サイズ (4096 バイト) とデフォルトの nbpi 比率 (4096) を持ちます。
  2. デフォルト以外の属性を持つファイルシステムを作成するには、次のように入力します。
    mkfs  -s 8192  -o nbpi=2048,frag=512 /dev/lv01
    このコマンドは、/dev/lv01 デバイスに、512 バイトのフラグメントと、2048 バイトごとに 1 個の i ノードを持つ、空の 4MB のファイルシステムを作成します。
  3. ラージ・ファイル・イネーブル・ファイルシステムを作成するには、次のように入力します。
    mkfs -V jfs -o nbpi=131072,bf=true,ag=64 /dev/lv01
    これによって、131072 バイトのすべてのディスクについて、 割り当てグループのサイズが 64 M バイトで、i ノードが 1 つのラージ・ファイル・イネーブル JFS ファイルシステムが作成されます。 ファイルシステムのサイズは、論理ボリューム lv01 のサイズとなります。
  4. デフォルト以外の属性を持つファイルシステムを作成するには、次のように入力します。
    mkfs -s 4M -o nbpi=2048, frag=512 /dev/lv01
    このコマンドは、/dev/lv01 デバイスに、512 バイトのフラグメントと、2048 バイトごとに 1 個の i ノードを持つ、空の 4MB のファイルシステムを作成します。
  5. NFS4 ACL をサポートできる JFS2 ファイルシステムを作成するには、次のように入力します。
    mkfs -V jfs2 -o ea=v2 /dev/lv01
    このコマンドは、/dev/lv01 デバイスに、 拡張属性用の v2 フォーマットを持つ空のファイルシステムを作成します。

ファイル

項目 説明
/etc/vfs 仮想ファイルシステムのタイプに関する記述が入っています。
/etc/filesystems 既知のファイルシステムをリストし、その特性を定義します。