lparstat コマンド
目的
論理区画 (LPAR) の関連情報および統計情報をレポートします。
構文
lparstat {-i [ -W | -x | -s | -P ] | -W | -s | -P | -d | -m [ -e [ r | R ] [ -p[w] ] ] | [ -H | -h ] | [-X [-o filename ] ] [ -c ] | [-E [w ] ] = [ Interval [ Count ] ] [-L]}
説明
lparstat コマンドは、LPAR の関連情報および使用率の統計情報のレポートを提供します。このコマンドは、現在の LPAR に関連するパラメーターおよびハイパーバイザー情報のほか、LPAR の使用率統計を表示します。インターバル・メカニズムによって、一定のインターバルで、レポートの数をリトリーブできます。
lparstat コマンドのさまざまなオプションは相互に排他的です。 lparstat コマンドをオプションを指定せずに実行すると、ブート時以降の、LPAR に関連した使用率統計情報が入った単一レポートが生成されます。-h オプションを指定すると、レポートには、ハイパーバイザーに関連した要約統計情報が組み込まれます。interval および count が指定された場合は、 上記のレポートには、interval 秒ごと、および count 反復回数ごとの繰り返しが表示されます。interval および count は、-i オプションと一緒に使用できません。root ユーザーのみが、-h および -H フラグを実行できます。
interval パラメーターは、各レポートの間隔を秒で指定します。interval パラメーターを指定しない場合、lparstat コマンドはシステム起動時以降の統計を含む単一のレポートを生成して終了します。count パラメーターは、interval パラメーターと一緒に指定する必要があります。count パラメーターを指定すると、その値によって、生成されるレポートの数と間隔 (秒数) が決まります。count パラメーターなしで interval パラメーターを指定すると、レポートは連続して生成されます。count パラメーターに、ゼロの値を指定しないでください。
-i フラグを指定せずに lparstat コマンドが起動されると、2 行の統計情報が表示されます。 最初の行にはシステム構成が表示されます。 これは、コマンドが開始されたときに一度、さらに、システム構成が変更されるたびに表示されます。 2 番目の行には使用率統計情報が入っており、 これは一定のインターバルで表示され、さらに、 これらの統計値が前のインターバルからの差分を生じているときにいつでも表示されます。
-X オプションを指定する場合、lparstat コマンドは XML ファイルを作成します。
- type
- 区画タイプを示します。この値は、dedicated または shared のいずれかになります。
- mode
- 区画プロセッサー・キャパシティーに上限が定められているか、あるいは上限が定められておらず、共用プールからのアイドル・サイクルを消費できるかを示します。 専用 LPAR では上限が定められているか、またはドネーションです。
- smt
- この区画で同時マルチスレッド化が使用可能になっているか使用不可になっているかを示します。 2 つの SMT スレッドがある場合、この行には「on」と表示されます。ただし、2 個を超える SMT スレッドがある場合は、SMT スレッドの数が表示されます。
- lcpu
- オンライン論理プロセッサーの数を示します。
- mem
- オンラインのメモリー・キャパシティーを示します。注: Active Memory Expansion が使用可能である場合、mem はこの LPAR 用に構成された拡張メモリー・サイズを指定します。ただし、環境変数 AME_MEMVIEW が TRUE に設定される場合、mem 値は実メモリー・サイズを指定します。
- psize
- プール内のオンライン物理プロセッサーの数を示します。
- ent
- 処理装置内のライセンス済み処理キャパシティーを示します。この情報は、区画タイプが共用である場合にのみ表示されます。
- lcpu
- オンライン論理プロセッサーの数を示します。
- ent
- 処理装置内のライセンス済み処理キャパシティーを示します。
- mem
- オンラインのメモリー・キャパシティーを示します。注: Active Memory Expansion が使用可能である場合、mem はこの LPAR 用に構成された拡張メモリー・サイズを指定します。ただし、環境変数 AME_MEMVIEW が TRUE に設定される場合、mem 値は実メモリー・サイズを指定します。
- mpsz
- 区画が属するプールのメモリー・プール・サイズを示します (GB)。
- iome
- 区画のライセンス済み入出力メモリー (MB) を示します。
- iomp
- LPAR 内のライセンス済みメモリー・プールの数を示します。
- mmode
- システムのメモリー・モードを示します。mmode の値は次のとおりです。
項目 説明 Ded Active Memory Sharing も Active Memory Expansion も使用不可 Shar Active Memory Sharing が使用可能 Ded-E Active Memory Expansion が使用可能 Shar-E Active Memory Sharing と Active Memory Expansion の両方が使用可能 - mem
- LPAR の拡張メモリー・サイズを示します。
- tmem
- LPAR の実メモリー・サイズを示します。
- %user
- ユーザー・レベル (アプリケーション) での実行中に使用されるライセンス済み処理キャパシティーのパーセンテージを示します。
専用区画の場合、ライセンス済み処理キャパシティーは物理プロセッサーの数です。
ライセンス済みキャパシティーを超える現行の物理プロセッサー消費量を伴う上限なし区画の場合は、そのパーセンテージは、消費される物理プロセッサーの数 (physc) に関連するようになります。
- %sys
- システム・レベル (カーネル) での実行中に使用されるライセンス済み処理キャパシティーのパーセンテージを示します。
専用区画の場合、ライセンス済み処理キャパシティーは物理プロセッサーの数です。
ライセンス済みキャパシティーを超える現行の物理プロセッサー消費量を伴う上限なし区画の場合は、そのパーセンテージは、消費される物理プロセッサーの数 (physc) に関連するようになります。
- %idle
- 区画がアイドルで、未解決のディスク入出力要求がなかったときに使用されなかった、ライセンス済み処理キャパシティーのパーセンテージを示します。
専用区画の場合、ライセンス済み処理キャパシティーは物理プロセッサーの数です。
ライセンス済みキャパシティーを超える現行の物理プロセッサー消費量を伴う上限なし区画の場合は、そのパーセンテージは、消費される物理プロセッサーの数 (physc) に関連するようになります。
- %wait
- 区画がアイドルで、未解決のディスク入出力要求があったときに使用されなかった、ライセンス済み処理キャパシティーのパーセンテージを示します。
専用区画の場合、ライセンス済み処理キャパシティーは物理プロセッサーの数です。
ライセンス済みキャパシティーを超える現行の物理プロセッサー消費量を伴う上限なし区画の場合は、そのパーセンテージは、消費される物理プロセッサーの数 (physc) に関連するようになります。
- physc
- 消費された物理プロセッサーの数を示します。
- vcsw
- 仮想プロセッサー・ハードウェア優先使用である仮想コンテキスト・スイッチの数を示します。
- %entc
- 消費されたライセンス済みキャパシティーのパーセンテージを示します。このデータを計算する基になる時間基準が変動する場合があるため、ライセンス済みキャパシティーのパーセンテージが 100% を超えることがあります。 この超過はサンプリング間隔が短い場合にのみ目立ちます。
- lbusy
- ユーザーおよびシステム・レベルで実行中に生じた論理プロセッサーの使用率のパーセンテージを示します。
- app
- 共用プール内の使用可能な物理プロセッサーを示します。
- phint
- 受信したファントム (このプール内の別の共用区画が宛先の) 割り込みの数を示します。
- %hypv
- ハイパーバイザーの呼び出しに費やされた物理プロセッサー消費量のパーセンテージを示します。
- hcalls
- 開始されたハイパーバイザー呼び出しの平均数を示します。
- %nsp
- 現行の平均プロセッサー速度を、公称速度のパーセンテージで示します。
- %utcyc
- 不明のターボ・サイクルの合計パーセンテージを示します。
- %utuser
- ユーザー・モード実行 (アプリケーション) での不明ターボ・サイクルのパーセンテージを示します。
- %utsys
- カーネル・モード実行 (カーネル) での不明ターボ・サイクルのパーセンテージを示します。
- %utidle
- 区画がアイドルで、未解決のディスク入出力要求がない場合の、不明ターボ・サイクルのパーセンテージを示します。
- %utwait
- 区画がアイドルで、未解決のディスク入出力要求がある場合の、不明ターボ・サイクルのパーセンテージを示します。
- physb
- 物理プロセッサーがビジーであることを示します。
- %entc
- 消費されたライセンス済みキャパシティーのパーセンテージを示します。このデータを計算する基になる時間基準が変動する可能性があるため、ライセンス済みキャパシティーのパーセンテージが 100% を超えることがあります。この超過はサンプリング間隔が短い場合にのみ目立ちます。
- vcsw
- 仮想プロセッサー・ハードウェア優先使用である仮想コンテキスト・スイッチの数を示します。
- hpi
- 発生したハイパーバイザー・ページインの数を示します。
- hpit
- ハイパーバイザー・ページインの待機に費やされた時間をミリ秒で示します。
- pmem
- ハイパーバイザーによって LPAR に割り当てられる物理メモリーを GB で示します。
- iomin
- 入出力メモリー・プールのうち最小のライセンス済み入出力メモリーを MB で示します。
- iomu
- 使用されている LPAR のうちライセンス済み入出力メモリーを MB で示します。
- iomf
- 空きライセンス済み入出力メモリーを MB で示します。
- iohwm
- ライセンス済み入出力メモリー使用率の上限基準点を GB で示します。
- iomaf
- システム始動以降、ライセンス済み入出力メモリー・プールへの割り当て要求が失敗した合計回数を示します。
- iompn
- ライセンス済み入出力メモリー・プールの名前を示します。
- iomin
- 入出力メモリー・プールのうち最小のライセンス済み入出力メモリーを MB で示します。
- iodes
- 入出力メモリー・プールのうち希望するライセンス済み入出力メモリーを MB で示します。
- ioinu
- 使用中のライセンス済み入出力メモリー・プールを示します (MB)。
- iores
- 予約されている、ライセンス済み入出力メモリー・プールを示します (MB)。
- iohwm
- 入出力メモリー・プールのライセンス済み使用量の上限基準点を示します (MB)。
- ioafl
- システム始動以降、このライセンス済みの入出力メモリー・プールへの割り当て要求が失敗した合計回数を示します。
- %xcpu
- Active Memory Expansion (AME) アクティビティーでの使用率を示すパーセンテージ (論理区画による CPU 使用量全体に相対する率) を示します。
- xphysc
- Active Memory Expansion アクティビティーに使用される物理プロセッサーの数を示します。
- dxm
- LPAR の拡張メモリーの不足サイズを MB 単位で示します。
- pgcol
- Active Memory 共用アクティビティーの実行中に合体された、呼び出し側区画の論理実メモリー・ページをメガバイト単位で示します。
- mpgcol
- Active Memory 共用アクティビティーの実行中に、合体された区画のメモリー・プールによって呼び出されたメモリー・ページのメガバイト数を示します。 その区画にプール全体の統計にアクセスする権限がない場合、メトリックにはゼロが表示されます。
- ccol
- Active Memory 共用アクティビティーの実行中にページの合体で使用された CPU の部分を示します。 その区画にプール全体の統計にアクセスする権限がない場合、メトリックにはゼロが表示されます。
フラグ
項目 | 説明 |
---|---|
-c | デフォルトの lparstat 出力に LPAR のメモリー圧縮の統計を追加します。
注: このオプションは、Active
Memory Expansion が使用可能である場合のみ有効です。
|
-d | CPU 使用率詳細統計情報を表示します。ターボ・モード・アカウンティングが使用不可の場合は、lparstat コマンドは、専用、ドネーション、または共用の使用状況列 (%user、%sys、%idle、%wait、%entc、%idon、%bdon、%istol、および %bstol) と一緒に不明ターボ・サイクルのカテゴリー別に明細を表示します。 |
-e | LPAR のライセンス済み入出力メモリー・プールに関する情報を表示します。-e フラグは、–m フラグと一緒にのみ指定できます。 -m フラグを指定するときに表示されるメトリックを参照してください。 |
-E | Scaled Processor Utilization Resource Register (SPURR) に基づく使用率メトリックを報告します (SPURR 対応のプロセッサーで実行された場合)。 |
-h | デフォルトの lparstat 出力に、ハイパーバイザー統計情報の要約を追加します。 |
-H | 詳細なハイパーバイザー情報を提供します。 このオプションは基本的に箇々のハイパーバイザー呼び出しの統計を表示します。
各ハイパーバイザー呼び出しの、このオプションによって表示されるさまざまなハイパーバイザー統計情報を以下に示します。
|
-i | LPAR 構成の詳細をリストします。-i オプションによって表示されるさまざまな詳細を以下にリストします。
|
(-i フラグによって表示される詳細は以下のとおりです。)
|
|
(-i フラグによって表示される詳細は以下のとおりです。)
-i フラグは、単独で指定することも、-P、-W、および -s の各フラグと一緒に指定することもできます。 |
|
-L | Live Partition Mobility (LPM) 操作を LPAR に対して実行できるかどうかを表示します。 |
-m | 以下の側面に関連する統計を表示します。
|
-o | XML 出力のファイル名を指定します。 |
-p | LPAR のページ合体統計に関する情報を表示します。 -p フラグは、-m フラグと一緒にのみ指定できます。-w および -p フラグを指定して lparstat コマンドを実行すると、その結果として、-e フラグによって表示されるすべてのメトリックが単一行に表示されます。 |
-P | エネルギー管理チューニング・パラメーターに関する情報を表示します。 -P フラグは、単独で指定することも、-i、-W、および -s の各フラグと一緒に指定することもできます。 |
-r | コマンドの最初に、ライセンス済み入出力メモリーの上限基準点をリセットします。このフラグは、-m フラグおよび -e フラグと一緒にのみ使用できます。 |
-R | それぞれのモニター間隔の最初に、上限基準点をリセットします。-r と -R フラグの両方を指定した場合は、-R フラグが有効になります。 |
-s | LPAR 情報を表示します。-s フラグは、以下の詳細を表示します。
-s フラグは、単独で指定することも、-P、-i、および -W の各フラグと一緒に指定することもできます。 |
-t | 間隔をおいてコマンドが実行される時刻を HH:MM:SS 形式で表示します。 |
-W | workload partition (WPAR) 構成に関する詳細をリストします。コマンドがグローバル環境から実行される場合は、WPAR キー の値は 0 です。-W フラグにより、以下の詳細が表示されます。
-W フラグは、単独で指定することも、-P、-i、および -s の各フラグと一緒に指定することもできます。 |
-x | LPAR のセキュリティー・モード設定をリストします。 |
-X | XML 出力を生成します。デフォルトのファイル名は lparstat_DDMMYYHHMM.xml です。ただし、ユーザーが –o オプションを使用して別のファイル名を指定する場合を除きます。 |
例
- デフォルトの LPAR 統計を取得するには、次のコマンドを入力します。
lparstat 1 1
- デフォルトの LPAR 統計をハイパーバイザーの要約統計とともに取得するには、次のコマンドを入力します。
lparstat -h 1 1
- 区画に関する情報を取得するには、次のコマンドを入力します。
lparstat -i
- 詳細なハイパーバイザー統計を取得するには、次のコマンドを入力します。
lparstat -H 1 1
- 共用メモリー・プールおよび区画のライセンス済み入出力メモリーに関する統計を取得するには、次のコマンドを入力します。
lparstat -m
- LPAR 内の入出力メモリー・プール数に関する統計を取得するには、次のコマンドを入力します。
lparstat -me
- LPAR が共用モードで、4 SMT スレッドで実行されている場合、タイプは次のフォーマットになります。
Type - Shared-SMT-4
- LPAR が専用モードで、2 SMT スレッドで実行されている場合、タイプは次のフォーマットになります。
Type - Dedicated-SMT
- Active Memory Expansion が使用可能な場合に LPAR でのメモリー圧縮の統計を計算するには、次のコマンドを入力してください。
lparstat -c 1 1
- LPAR 内のページ合体に関する統計を取得するには、次のコマンドを入力します。
lparstat -mp
ファイル
項目 | 説明 |
---|---|
/usr/bin/lparstat | lparstat コマンドが入っています。 |