dslpadmin コマンド

目的

System V 印刷サブシステムに対してディレクトリーを使用可能な印刷サービスを構成します。

構文

dslpadmin [ [ -q PrintQueueName [ -D QueueDescription ] [ -n LocalQueueName] [ -o banner | nobanner ] [ -A mail | none ] [ -F FaultRecovery ] [ [ -P PhysicalPrinterName ] [ -s NetworkEntityName ] ] ] [ -P PhysicalPrinterName [ -T PrinterType ] [ -l Location ] [ -L PDLList ] ] [ -q PrintQueueName -P PhysicalPrinterName [ -I ContentType ] [ [ -i InterfaceScript ] | [ -m [ Standard | PS ] ] ] [ -o PrintOptions ] ] [ -q PrintQueueName [ -I ContentType ] ] ] [ -q PrintQueueName -s NetworkEntityName [ -a PrintSystemDNSName | PrinterSystemAddress ] [ -t BSD | HPNP ]]

dslpadmin [ -q PrintQueueName [ -u PhysicalPrinterName] [ -U ObjectRDN ] ]

dslpadmin [ -x PrintQueueName] [ -X PhysicalPrinterName ] [ -r NetworkEntityName ]

dslpadmin [ -h ]

説明

dslpadmin コマンドは、 ディレクトリーを使用可能な印刷サービスを構成するために、以下の機能を実行する際に使用されます。
  • システムに印刷キューおよび物理プリンターを追加する。
  • 印刷キューおよび物理プリンターを変更する。
  • システムから印刷キューおよび物理プリンターを除去する。
  • ネットワーク・プリンターのためのネットワーク・エンティティー・オブジェクトを追加および削除する。

dslpadmin コマンドは、 lpadmin (これはディレクトリー指向ではない) で提供される機能のディレクトリー指向バージョンを提供し、 従来型の「フラット・ファイル」構成システムを継続して使用します。両方のシステムが使用されている場合は、 プリンター・サブシステムは、ディレクトリー内で最初に見つかった情報を採用することに注意してください。2 つの構成システム間で命名の矛盾が起きないように保証するのは、 管理者の責任です。

ディレクトリーを使用可能なコマンドは、 DN (Distinguished Name: 識別名) ではなく RDN (Relative Distinguished Name: 相対識別名) を使用します。例えば、DN が「cn=test,ou=printq,ou=print,cn=aixdata」の場合に ディレクトリーを使用可能なキューを作成するには、PrintQueueName として RDN「test」のみを使用してください。

管理者がその印刷キューをホスティングするシステム上にいない場合に印刷キューを構成する際は、 -iInterfaceScript パラメーターおよび -TPrinterType パラメーターはチェックされません。これは、 リモート・システムにはチェックのためにアクセスすることができないからです。そのため、 指定された InterfaceScript および PrinterType が確実にリモートのホスティング・システム上に存在するようにするのは、 管理者の責任です。

1 つのコマンド・ラインには、-q-P-s フラグの任意の組み合わせ、または -x-X-r フラグの任意の組み合わせを含めることができますが、いずれか 1 つの組み合わせのみが可能です。複数のディレクトリー・オブジェクトが同時に作成または変更される場合は、 3 つのオブジェクト・タイプ (プリンター、印刷キュー、ネットワーク・エンティティー) 間に適切なリンクがセットアップされます。

フラグ

項目 説明
-a PrinterSystemDNSName | PrinterSystemAddress DNS 名またはネットワーク・アドレスをシステムに関連付けます。指定された引数が IPv4 または IPv6 アドレスとして解釈できる場合は、これはアドレスであり、 解釈できない場合は DNS 名が想定されます。-a フラグは、 -s で指定されたネットワーク・エンティティー・オブジェクトを変更させるか、 あるいはまだ存在していない場合は作成させます。管理者は、 新しい印刷システム・オブジェクトを追加する代わりに既存の UNIX システム・オブジェクトを変更してしまうことが無いように、 ネットワーク・エンティティー・オブジェクトに固有の名前が与えられるようにする必要があります。このフラグは -s フラグを必要とします。
-A [ mail | none ] 印刷要求が失敗した場合に、メールによるメッセージを生成するよう印刷システムに指示します。このメールは、 その物理プリンターのオーナー、 またはそのプリンターにオーナーがいないか、 ユーザーがメール・アドレスを持っていない場合には、 その印刷キューをホスティングするシステムの root ユーザーに送付されます。デフォルトは none です。このフラグは -q フラグを必要とします。
-D QueueDescription -q フラグで指定された印刷キュー・オブジェクトについて、 記述コメントを定義します。この記述は、 ユーザーが lpstat コマンドを使用して印刷キューの完全な説明を要求した際に、常に表示されます。ホワイト・スペースを含む文字列は、 二重引用符で囲む必要があります。このフラグは -q フラグを必要とします。
-F FaultRecovery 印刷キューの障害リカバリー・モードを定義します。このフラグは、 印刷キュー上のプリンターが印刷要求を印刷している時に障害に遭った場合に使用されるリカバリーを指定します。FaultRecovery の値は、 次のいずれかを指定できます。
continue
印刷が停止したページのトップから、印刷を継続します。これには、 自動的に継続する前に障害がクリアされるのを待機するためのフィルターが必要です。
beginning
要求の印刷を、始めから再開します。
wait
PhysicalPrinterName での印刷を使用不可にし、 管理者またはユーザーが印刷を再び使用可能にするのを待機します。

この待機中に、 停止した印刷要求をサブミットした管理者またはユーザーは、 印刷を再開する場所を指定する変更要求を発行することができます。印刷が使用可能となる前に変更要求が発行されなければ、 フィルターで可能とされる場合は停止したページのトップから印刷が再開され、 そうでない場合は要求は始めから印刷されます。

FaultRecovery のデフォルト値は、 beginning です。このフラグは -q フラグを必要とします。
-h 簡潔なヘルプ画面を表示します。
-i InterfaceScript 指定された印刷キューを介してアクセスされた際の、 プリンターの InterfaceScript のパス名。このフラグは、 -P フラグが指定されていない場合は無効です。通常、 インターフェース・スクリプトはユーザーによって提供されます。このフラグは、-m も指定されている場合は使用できません。このフラグは、-q フラグと -P フラグの両方を必要とします。
-I ContentType[, ContentType, ...] 印刷キューのコンテンツ・タイプを指定します。印刷キューが、 リスト内のコンテンツ・タイプでの印刷要求を処理できるようにします。リスト内に複数の ContentType を含める場合は、 ContentType パラメーターはコンマ (,) で区切る必要があります。フォーマットの詳細な説明については、 lpadmin のマニュアル・ページを参照してください。これは、 -P フラグおよび -q フラグを必要とします。
-l Location プリンターのロケーションを定義します。これは、プリンターが物理的にどこに位置しているかを示す文字列で、 例えば "Building X, Room 6" などとなります。これは、 dslpsearch コマンドによって検索できます。この値は、1 回設定されると、 上書きのみが可能で、削除はできません。このフラグは -P フラグを必要とします。
-L PDL[, PDL, ...] そのプリンターがサポートする Page Description Language (PDL) のリストを指定します。これは、そのプリンターがサポートする PDL を公示するのに使用され、 dslpsearch コマンドを使用して検索できます。AUTOSWPCLPCLXLPOSTSCRIPTTEXTESCPPJLSIMPLE、および OTHER PDL がサポートされています。既存の物理プリンター・オブジェクトの変更に -L フラグが使用される場合は、 このリストが既存のリストを置き換えます。このフラグは -P フラグを必要とします。
-m [ standard | PS ] 指定された印刷キューを介してアクセスされた際の、 プリンターのモデル・インターフェース・プログラム。これは、 その印刷キューに使用されるモデル・インターフェース・スクリプトを選択します。物理プリンター・オブジェクトが作成され、 -m フラグおよび -i フラグのどちらも指定されていない場合は、 デフォルトは standard です。このフラグは、 -i も指定されている場合は使用できません。このフラグは、-q フラグと -P フラグの両方を必要とします。
-n LocalQueueName 印刷キューのローカル名を定義します。ディレクトリーを使用できないホスト上にそのキューがある場合は、通常、この名前がキューの RDN と異なっているだけです。これは、 受信側システム上の印刷キューを識別するために、 着信リモート・ネットワーク接続によって使用されます。デフォルト値は、印刷キューの RDN です。このフラグは -q フラグを必要とします。
-o [ banner | nobanner ] この印刷キューによってバナー・ページが常に生成されるかどうかを定義します。デフォルト値である banner はすべての印刷要求に対してバナー・ページが印刷されるよう強制し、 nobanner は、ユーザーにより、バナー・ページが印刷されないように指定して印刷ジョブをサブミットすることを可能にします。このフラグは -q フラグを必要とします。
-o PrintOption=Value[, ...] 印刷オプションの値を指定します。-o フラグで使用可能な印刷オプションの詳しい説明については、 lpadmin の文書を参照してください。このフラグは、 -q フラグと -P フラグの両方を必要とします。
-P PhysicalPrinterName 物理プリンター・オブジェクトを作成または変更します。PhysicalPrinterName 引数は、プリンター・オブジェクトの RDN を指定します。そのオブジェクトがまだ存在していない場合は、 dslpadmin はそれを作成します。
-q PrintQueueName dlspadmin が印刷キュー・オブジェクトを作成または変更します。PrintQueueName 引数は、印刷キュー・オブジェクトの RDN を指定します。新しい印刷キューを追加する時は、 追加される印刷キューの NetworkEntityName および PhysicalPrinterName をコマンドに知らせるため、 -s フラグおよび -P フラグを指定する必要があります。その印刷キュー・オブジェクトが存在しない場合は、 dslpadmin はそれを作成します。

1 つのコマンド・ラインには、-q-P-s フラグの任意の組み合わせ、または -x-X-r フラグの任意の組み合わせを含めることができますが、いずれか 1 つの組み合わせのみが可能です。複数のディレクトリー・オブジェクトが同時に作成または変更される場合は、 3 つのオブジェクト・タイプ (プリンター、印刷キュー、ネットワーク・エンティティー) 間に適切なリンクがセットアップされます。

-r NetworkEntityName ネットワーク・エンティティー・システム・オブジェクトを削除します。非プリンター・システム・オブジェクトを削除しないように、 注意が必要です。確実に正しいオブジェクトが削除されるようにするのは、 管理者の責任です。
-s NetworkEntityName その印刷キューにホスティングするネットワーク・エンティティー・システム・オブジェクトを指定します。-a も指定された場合は、 そのオブジェクトは作成または変更されます。NetworkEntityName 引数は、現行ディレクトリー・コンテキスト内のオブジェクトの RDN を指定します。ネットワーク・エンティティー・オブジェクトは、 リモート・クライアントが印刷キューにアクセスするのに使用する必要があるネットワーク・アドレスを定義します。
-t [ BSD | HPNP ] この「ネットワーク・プリンター」の印刷キューに使用される印刷プロトコルを定義します。再試行およびタイムアウトの値は、 それらのネットワーク・プリンター用のデフォルト値に設定されます。これらの値を変更するには、 dslpprotocol コマンドを使用する必要があります。このフラグは、 BSD または HPNP プロトコルをサポートするネットワーク・プリンターに対してのみ使用する必要があることに注意してください。このフラグは -q フラグを必要とします。
-T PrinterType[, PrinterType, ...] プリンター・タイプのリスト。これは、例えば "hplaserjet" などのように、 そのプリンターを 1 つ以上のプリンター・タイプのものであると識別します。詳細については、lpadmin のマニュアル・ページを参照してください。このフラグは -P フラグを必要とします。
-u PhysicalPrinterName 指定された物理プリンターを、 そのオブジェクトは削除せずに、印刷キュー (-q フラグで指定される) からリンク解除します。このフラグは -q フラグを必要とします。
-U ObjectRDN 物理プリンターまたは印刷キュー・オブジェクト (ObjectRDN で指定される) のいずれかを、 そのオブジェクトは削除せずに、印刷キュー (-q フラグで指定される) からリンク解除します。このフラグは -q フラグを必要とします。
-x PrintQueueName 印刷キュー・オブジェクトを削除します。
-X PhysicalPrinterName 物理プリンター・オブジェクトを削除します。

終了状況

0
成功を示します。
255 (または -1)
構成におけるエラーを示します。エラーまたは障害について説明するエラー・メッセージが表示されます。

次の各例は、ディレクトリーを使用可能な UNIX システムにユーザーがログオンした際の dslpadmin コマンドの使用法について示しています。

  1. 次の例では、印刷キューの RDN が「denlj5n」、物理プリンターの RDN が「denplj5n」で、BSD リモート印刷プロトコルを使用する HP LaserJet ネットワーク・プリンターを追加します。これは、"HP JetDirect (PostScript)" の記述、プリンター・タイプ "PS-b"、およびモデル・インターフェース・スクリプト "PS" を印刷キューに指定しています。このプリンターは、ネットワーク・アドレス "p_hplj.ibm.com" を持ちます。
    
    dslpadmin -q denlj5n -P denplj5n -T PS-b -D "HP JetDirect (Postscript)" ¥
    -I PS -m PS -A mail -o nobanner  -s denslj5n -a p_hplj.ibm.com -t BSD
    この印刷システムは、 この印刷キューに対するコンテンツ・タイプ PS の印刷要求を許可し、 バナー・ページを使用不可にすることを許可します。
  2. 次の例では、印刷キューの RDN が「dehpnp」、物理プリンターの RDN が「dephpnp」で、HPNP リモート印刷プロトコルを使用する、HP LaserJet PostScript ネットワーク・プリンターを追加します。これは、"HPNP (PCL)" の記述、 プリンター・タイプ "hplaserjet"、およびモデル・インターフェース・スクリプト "standard" を印刷キューに指定しています。 このプリンターは、ネットワーク・アドレス "p_hplj.ibm.com" を持ちます。
    
    dslpadmin -q dehpnp -P dephpnp -T hplaserjet -D "HPNP (PCL)" -I pcl ¥
    -m standard -A mail -s deshpnp -a p_hplj.ibm.com -t HPNP
    この印刷システムは、 この印刷キューに対するコンテンツ・タイプ PCL の印刷要求を許可し、 バナー・ページ無しが要求された場合は要求を拒否します。 プリンターの障害が発生した場合は、 この印刷システムはプリンターのオーナーにメールを送付します。
  3. 次の例では、HP LaserJet PostScript プリンターを削除します。
    dslpadmin -x delj5n  -X deplj5n
  4. 次の例では、HPNP プリンターを削除します。
    dslpadmin -x dehpnp  -X dephpnp -r deshpnp