IBM AIX 7.2 (テクノロジー・レベル 2 適用) リリース・ノート

AIX 7 (7200-02 適用) のインストールの前にお読みください

このソフトウェアを使用する前に、Fix Central Web サイトにアクセスし、セキュリティーのぜい弱性と他の重要な問題に対処する入手可能な最新の修正をインストールしてください。

インストールのヒント

インストールの最新のヒントは、IBM® Power® server bulletins Web サイトに記載されています。

AIX Live Update

AIX® オペレーティング・システムは、AIX カーネルに対する修正がデプロイまたは更新される際に、以前の AIX リリースで必要な AIX システムの再始動に関連したワークロード・ダウン時間を解消する AIX Live Update 機能を提供します。

AIX 7 (7200-02 適用) での AIX Live Update には、IBM Power Virtualization Center (PowerVC) で管理される LPAR に対するライブ・アップデート操作のサポートが含まれています。 PowerVC で管理されるパーティションに関して、ライブ・アップデート操作に必要となる追加ストレージはライブ・アップデート操作で割り振られて管理されるため、既存のディスクを提供する必要はありません。

Java アプリケーションまたは IBM WebSphere Application Server を実行しているときに、AIX Live Update が失敗する場合は、APAR IV78743 を適用しなければならない可能性があります。

AIX Live Update について詳しくは、『Live Update』トピックを参照してください。

ソフトウェアのご使用条件

「ソフトウェアのご使用条件」が正しく表示されない場合があります。このような場合は、Software license agreements Web サイトですべての言語の「ご使用条件」を表示することができます。 website.

ソフトウェア保守契約

AIX 7 (7200-02 適用) では、インストール時、ライセンスの受諾ウィンドウの直後に別のソフトウェア保守契約 (SWMA) の受諾ウィンドウが表示されます。SWMA 受諾 (受諾または拒否) の応答はシステムに保管されます。ライセンス受諾では先に進むためには受諾する必要がありますが、この場合はそれとは異なり、どちらの応答でもインストールを継続することができます。

SWMA 受諾ウィンドウは、ベース CD メディアからの新規上書き (Overwrite) または保存 (Preservation) インストール中に表示されます。

ベース CD メディアの新規上書きまたは保存インストールの場合、プロンプトを表示させずにインストールを行う場合は、bosinst.data ファイルの control_flow スタンザにある「ACCEPT_SWMA」フィールドを「yes」(SWMA 条件を受諾) または「no」(SWMA 条件を拒否) に設定する必要があります。「ACCEPT_SWMA」フィールドは、デフォルトではブランクに設定されています。

NIM インストールの場合、ライセンスの受諾がインストールの初期化時の選択によって行われている場合、またはカスタマイズされた bosinst.data ファイルの「ACCEPT_LICENSES」フィールドを使用して行われている場合は、これにより SWMA 受諾となります。

修正および問題解決データベース

Fix Central Web サイトで、AIX 修正のダウンロード、およびテクニカル・データベース (「APARS」や AIX 管理者の他面簿「ヒント」を含む) の検索を行うことができます。

セキュリティーに関する助言

セキュリティーに関する配信サービスは、My notifications Web サイトから利用可能です。

AIX Security Advisories 配信を設定すると、公開と同時に E メールでその情報を受け取ることができます。

システム要件

以下の情報を検討して、AIX 7 (7200-02 適用) を実行するのに必要な最小システム要件および推奨システム要件を判別してください。

必要なハードウェア

Power Architecture® Platform Requirements (PAPR) を実装した POWER7® プロセッサーまたは POWER8® プロセッサーを搭載する 64 ビットの Common Hardware Reference Platform (CHRP) マシンのみがサポートされます。

ご使用のマシンがサポートされているかどうかを確認するには、root ユーザーとしてマシンにログインし、以下のコマンドを実行してください。
prtconf | grep 'Processor Type'

ファームウェア

入出力装置の IPL の制限

ファームウェアのメモリー・サイズの制限により、論理区画または単一システム・イメージ区画に割り当てられた最初の 144 個の入出力スロットにある入出力装置のみが、IPL (ブート) ソースとして使用可能です。

HMC を使用してどのデバイスが最初の 144 個の入出力スロットにあるかを識別するには、以下のことを実行してください。
  1. 「区画のプロパティー」 > 「ハードウェア」 > 「I/O」を選択します。
  2. 「バス」列をクリックし、入出力装置を昇順にソートします。

    ソート済みリストの最初の 144 個の入出力装置がブート可能なアダプター・スロットにあります。

144 個を超える割り当て済み入出力スロットがある区画または単一システム・イメージ区画を使用している場合は、以下のシナリオと結果および解決策が可能です。

表 1. 144 個を超える割り当て済み入出力スロットがある区画のシナリオ
シナリオ 結果 解決策
インストールまたは診断の目的で、最初の 144 個の入出力スロットの先にあるデバイスからブートを試行します。 デバイスは、SMS メニューからブート・ソースとして選択可能ではありません。 最初の 144 個の入出力スロットにあるデバイスを使用します。
最初の 144 個の入出力スロットにあるデバイスからブートします。その後、最初の 144 個の入出力スロットより先にあるスロットにあるターゲット・インストール・デバイスの選択を試行します。 ブート後にインストール・メニューが表示されますが、最初の 144 個の入出力スロットの先にあるデバイスは、ブート可能なインストール・ターゲットとして AIX メニューにリストされません。 使用可能で、ブート可能のマークが付いたデバイスを選択します。
1 つのアダプターが最初の 144 個の入出力スロットにあり、別のアダプターが最初の 144 個の入出力スロットの先にあるスロットにある MPIO 構成を使用します。ブート時に、両方のアダプターがあります。 インストール・メニューが表示された後にブートが続き、デバイスは AIX インストール・メニューにブート可能としてリストされます。インストールは続行されますが、bootlist コマンドの失敗 (「unable to set bootpath for all paths」) が表示され、失敗します。 すべてのパスに最初の 144 個の入出力スロットのデバイスを使用します。
DLPAR を使用して最初の 144 個の入出力スロットの先にあるスロットにアダプターを追加し、その後、新しく追加されたデバイスに対して alt_disk_install コマンドの実行を試行します。 デバイスはブート可能としてリストされません。 最初の 144 個の入出力スロットにあるデバイスを使用します。
DLPAR を使用して最初の 144 個の入出力スロットより先のスロットにアダプターを追加し、 次に bootlist コマンドを使用してそのデバイスを (例えば、冗長パスを現行のブート・デバイスに動的に追加するか、ネットワーク・ブートの セットアップを行うことにより) ブート可能デバイスとして追加します。その後、元のアダプターを除去して、リブートします。 bootlist コマンドは成功しますが、指定されたデバイスからのブートは失敗し、AIX は制御を受け取りません。 最初の 144 個の入出力スロットにあるデバイスを使用します。
DLPAR を使用してアダプターを追加します。そのアダプターのプローブ順序によりそのアダプターは現在のブート可能デバイスに取って代わります。その後、リブートします。 ブートは失敗し、AIX は制御を受け取りません。 ブート・デバイスを最初の 144 個の入出力スロットの 1 つに移動するか、前に追加したデバイスを除去します。
最初の 144 個の入出力スロットより先にあるスロットのデバイスを、ファームウェア・アシスト・ダンプのダンプ・デバイスとして選択します。 sysdumpdev コマンドは、最初の 144 個の入出力スロットより先にあるスロットのデバイスをファームウェア・アシスト・ダンプのストレージ・デバイスとして選択することを許可しません。ファームウェア・アシスト・ダンプの構成中にエラーが発生し、従来の AIX ダンプが自動的に使用可能になります。 ファームウェア・アシスト・ダンプに、最初の 144 個の入出力スロット内のデバイスを使用します。
DLPAR を使用してアダプターを追加します。そのアダプターのプローブ順序によりそのアダプターは現在有効なファームウェア・アシスト・ダンプのターゲット・デバイスに取って代わります。それから、ダンプ後にリブートします。 ファームウェア・アシスト・ダンプ処理はブート処理中に失敗し、エラー・メッセージが表示されます。従来の AIX ダンプが今までどおり実行されて、ダンプ・イメージを取得します。 選択されているファームウェア・アシスト・ダンプのターゲット・デバイスを置換したり、ファームウェア・アシスト・ダンプのターゲット・デバイス選択のために sysdumpdev を再構成したりすることは避け、最初の 144 個の入出力スロット内のデバイスを指定してください。
DLPAR を使用してアダプターを追加します。そのアダプターのプローブ順序によりそのアダプターは現在有効なファームウェア・アシスト・ダンプのターゲット・デバイスに取って代わります。その後、リブートを行います。 sysdumpdev コマンドは、最初の 144 個の入出力スロットより先にあるスロットのデバイスをファームウェア・アシスト・ダンプのストレージ・デバイスとして選択することを許可しません。ファームウェア・アシスト・ダンプの構成中にエラーが発生し、従来の AIX ダンプが自動的に使用可能になります。 ファームウェア・アシスト・ダンプに、最初の 144 個の入出力スロット内のデバイスを使用します。

メモリー所要量

AIX 7 (7200-02 適用) の最小の現行メモリー所要量は、構成によって異なります。

AIX 7 (7200-02 適用) の最小の現行メモリー所要量は 2 GB です。

AIX 7 (7200-02 適用) では、最大メモリー構成とデバイス数の一方または両方が増えるにつれて最小現行メモリー所要量を増やす必要があります。 最大メモリー構成を大きくしたり、デバイスを追加したりすると、最小の現行メモリー所要量は増大します。最小メモリー所要量を最大メモリー構成に応じて増加させないと、初期プログラム・ロード (IPL) 時に区画が停止します。

ホスト・イーサネット・アダプターのメモリー所要量

ホスト・イーサネット・アダプター (HEA) を含む構成には、2 GB 以上のメモリーが必要です。構成する論理 HEA ポートごとに、102 MB のメモリーを追加する必要があります。1 つ以上の HEA ポートが構成されている構成の最小メモリー所要量は、512MB + n*102MB です (ここで、n は HEA ポートの数を示します)。

ページング・スペース要件

AIX 7 (7200-02 適用) は、新規および完全上書きインストール用に 512 MB のページング・スペースを (/dev/hd6 ディレクトリーに) 作成します。

ラージ・ページ (16 MB/16 GB) をゼロにリセットする機能拡張

共有メモリー領域を削除すると、その領域内のラージ・ページ (16MB/16GB) の内容はゼロにリセットされます。vmo コマンドで利用できる pgz_mode チューナブルを使用すると、複数のカーネル・スレッドを使用して不均等メモリー・アクセス (NUMA) 対応の並列方式でページをゼロにリセットすることで、ページのゼロ・リセットに必要な時間を短縮できます。pgz_mode チューナブルには、以下の値を指定できます。
シリアル・モード
以前のリリースの AIX オペレーティング・システムのデフォルト・オプションです。
同期並列モード
削除を開始したスレッドのコンテキスト内で並列にページが削除されます。
非同期並列モード
削除を開始したスレッドは、ページのゼロ・リセットの処理をカーネル・プロセスに並列にオフロードして、削除プロセスを続行します。

ラージ・ページ (16 MB) プールの作成とサイズ変更の機能拡張

16 MB ページ・プールの作成とサイズ変更が動的に行われます。この 16 MB プールは、vmo コマンドの一部である lgpg_size チューナブルおよび lgpg_regions チューナブルを使用して作成されます。vmo コマンドで利用できる pgz_lpgrow チューナブルを使用すると、並列にラージ・ページをゼロにリセットし、かつ複数のカーネル・スレッドを使用することで、16 MB ページ・プールの作成またはサイズ変更に必要な時間を短縮できます。pgz_lpgrow チューナブルには、以下の値を指定できます。
シリアル・モード
以前のリリースの AIX オペレーティング・システムのデフォルト・オプションです。
同期並列モード
vmo コマンドのコンテキスト内で並列にページが削除されます。
非同期並列モード
vmo コマンドは、ページのゼロ・リセットの処理をカーネル・プロセスに並列にオフロードして、プールの作成プロセスまたはサイズ変更プロセスの次のステップに進みます。

ディスク要件

AIX バージョン 7.2 の場合、すべてのデバイス、グラフィックス・バンドル、および System Management Client バンドルを含むデフォルト・インストールには、最小 20 GB の物理ディスク・スペースが必要です。

以下の表は、AIX 7 (7200-02 適用) をインストールするときの ディスク使用量に関する情報を示しています。

ロケーション 割り振り (使用)
/ 352 MB (174 MB)
/usr 2144 MB (1876 MB)
/var 192 MB (38 MB)
/tmp 96 MB (1 MB)
/admin 128 MB (1 MB)
/opt 96 MB (82 MB)
/var/adm/ras/livedump 256 MB (1 MB)
注:
  1. /tmp ディレクトリーが 64 MB 未満の場合、移行インストール中に 64 MB まで拡張されるので、移行の終了時には AIX 7 (7200-02 適用) ブート・イメージは正常に作成されます。
  2. ブート論理ボリュームのサイズは 24 MB でなければなりません。 ご使用のメディア上の usr/lpp/bos ディレクトリーにある移行前スクリプトや、ご使用の NIM 共有プロダクト・オブジェクト・ツリー (SPOT) にある移行前スクリプトは、ストレージ・スペースを調べるスクリプトです。 移行操作時に必要に応じて hd5 (ブート論理ボリューム) が増やされます。 論理パーティションはディスクの先頭 4 GB 内で連続していなければなりません。

AIX オペレーティング・システムをインストールする前に SCSI ディスクを正しくフォーマットしておく必要があります。 AIX オペレーティング・システムでは、接続された SCSI コントローラーでサポートされるセクター・サイズに、ディスクがフォーマットされている必要があります。すべての AIX SCSI コントローラーで 512 バイトセクターの SCSI ディスクをサポートします。522 バイト・セクターの SCSI ディスクは、SCSI RAID コントローラーに接続されている場合にのみサポートされます。 もしディスクが SCSI RAID 用にフォーマットされていても、SCSI コントローラーに接続されていない場合は、ディスクは構成されないことがあります。 たとえ構成されたとしても AIX 環境からは読み取りできない可能性があります。 場合によっては、AIX 診断プログラムの中のサーティファイ機能やフォーマット機能を使用して、接続された SCSI コントローラー用にディスクを再フォーマットすることができます。

既存のファイルシステムの /opt ディレクトリーにマウント・ポイントがあるか、または /opt 自体がマウント・ポイントである場合は、新規の論理ボリュームとファイルシステムは作成されません。

AIX_FCPARRAY ドライバーは、AIX 7 (7200-02 適用) ではサポートされません。 AIX 7 (7200-02 適用) への移行を行う前に、manage_disk_drivers コマンドを使用して、すべての FCP アレイ・ディスクを AIX_FCPARRAY ドライバーから AIX_AAPCM ドライバーに変換する必要があります。 AIX_AAPCM ドライバーは、マルチパス入出力 (MPIO) デバイスをサポートします。

ディスク容量

SAS RAID コントローラーおよびファイバー・チャネル・コントローラーは、2 TB を超える容量の接続アレイおよびディスクをサポートします。サポートされる最大容量 (2 TB 超) は、接続されたストレージ・サブシステムまたは上位レベルの論理ストレージ管理によって制限されることがあります。

SAS RAID コントローラーについて詳しくは、『SAS RAID コントローラー (AIX 用)』のトピックを参照してください。

論理ストレージの AIX 容量の制限については、『論理ストレージ管理の制約』のトピックを参照してください。

インストール

このセクションでは、インストールおよび移行の情報を補足する、AIX 7.2 のインストールに関連する情報を記載しています。

AIX 7 (7200-02 適用) のインストール

AIX 7 (7200-02 適用) をインストールするには、以下の方法を使用することができます。
  • Complete overwrite installation (完全上書きインストール)
  • Preservation installation (保存インストール)
  • Migration installation (移行インストール)
注: AIX 7 (7200-02 適用) をインストールするか、システムをそれに移行した後、システム・バックアップを復元するか、ベース・メディアで新規に完全な上書きを行うことにより、下位レベルの AIX をインストールできます。AIX 7 (7200-02 適用) から下位レベルの AIX への保存インストールはサポートされていません。
注: 更新には更新メディアを使用することをお勧めします。ベース・メディアを使用して更新すると、一部の ODM 設定 (SRC サブシステムの設定など) が失われる可能性があります。ベース・メディア、またはベース・メディアから作成されたソフトウェア・ソースを使用する場合、update_all 操作に関しては、これまでのソフトウェア・インストールのヒストリーが削除されます。 ベース・イメージがインストールされるときは必ず、ファイルセット・インストールのヒストリーはリセットされます。 このヒストリーは、保守更新が update_all 操作に使用されるときに維持されます。

ブート論理ボリュームの最小サイズは 24 MB です。現在のブート論理ボリュームが 16 MB 以下の場合、 インストール・プロセスはそれを拡張しようとします。 しかし、ブート論理ボリュームの区画は連続していなければならず、ディスク上の最初の 4 GB 内にある必要があります。ご使用のシステムにこの要件を満たすフリー・スペースがない場合は、hd5 (ブート論理ボリューム) を拡張するためのスペースが足りないことを示すメッセージが表示されます。

AIX 7 (7200-02 適用) をインストールするには、基本オペレーティング・システムのインストールのトピックの説明に従ってください。

USB フラッシュ・メモリー・スティックを使用して AIX をインストール

AIX 7 (7200-02 適用) は、USB フラッシュ・メモリー・スティックを使用して POWER8 以降のシステムにインストールできます。 AIX インストール・イメージが含まれた USB フラッシュ・メモリー・スティックを作成するには、まず AIX インストール・イメージを IBM Entitled System Support Web サイトからダウンロードします。 IBM Entitled System Support Web サイトでは、USB フラッシュ・メモリーに書き込むための AIX 7 (7200-02 適用) のボリューム・インストール・イメージが 1 つ使用可能になります。 ダウンロードした AIX インストール・イメージは USB フラッシュ・メモリー・スティックに書き込むことができます。 IBM では、最近製造された USB フラッシュ・メモリー・スティックの使用をお勧めしています。 AIX インストール用の USB フラッシュ・メモリー・スティックの最小容量要件は 16 GB です。 AIX/Linux ベースのシステムでは、dd コマンドを使用すれば、イメージを USB フラッシュ・メモリー・スティックに書き込むことができます。

また、dd コマンドを使用して AIX DVD インストール・メディアからイメージを直接コピーしても、インストール可能 USB フラッシュ・メモリー・スティックを作成できます。
$ dd if=/dev/cd0 of=/dev/usbms0 bs=4k

インストール・イメージを USB フラッシュ・メモリー・スティックに書き込むための同等のコマンドは Windows ベースのマシンにも存在します。

作成した USB フラッシュ・メモリー・スティック AIX インストール・メディアは、DVD インストール・メディアと同様に POWER8 以降のシステムで使用できます。
注: AIX パーティションの IPL 時に USB フラッシュ・メモリー・スティックが存在していた場合、AIX の bootlist コマンドでブート可能デバイスとして認識できるのは、その USB フラッシュ・メモリー・スティック (usbmsX) のみです。 POWER8 以降のシステムでは、SMS メニューを使用していつでも USB フラッシュ・メモリー・スティックをブート・ソースとして割り当てることができます。

AIX および IBM Power Systems の USB 実装は関連 USB 標準に準拠します。 万が一、USB フラッシュ・メモリー・スティックが AIX で正しく認識されない場合、IBM では、別のブランドのデバイスを使用することをお勧めします。

更新された LPP_SOURCE を使用した NIM インストール

以前のリリースからの基本イメージを含む LPP_SOURCE ディレクトリー、および現行リリースへの更新を含む LPP_SOURCE ディレクトリーを使用する NIM インストールでは、オペレーティング・システムのインストール時に image_data リソースを使用する必要があります。

前のリリースからの基本イメージや、現行リリースへの更新を含む LPP_SOURCE ディレクトリーを使用する場合、オペレーティング・システムのインストールに使用する image_data リソースを作成してください。LPP_SOURCE ディレクトリーに追加された更新を使用して SPOT を更新するか、または新しい SPOT を作成する必要があります。その SPOT で、<SPOT_LOCATION>/lpp/bosinst/image.template で検出された image.template ファイルを、SPOT の外部にある新しいロケーションにコピーします。そのロケーションを指す新しい NIM image_data リソースを作成します。オペレーティング・システムのすべてのインストールにその NIM image_data リソースを使用します。

特定のファイルシステムのサイズが増えます。オペレーティング・システムのインストール時に使用されるデフォルトの image.data ファイルは、LPP_SOURCE ディレクトリーの bos イメージからのものです。これは前のリリースの image.data ファイルです。

ネットワーク・インストール・マネージメント

ネットワーク・インストール・マネージメント (NIM) には、NIM マスター・ファイルセット bos.sysmgt.nim.master と共にインストールされる README ファイルが入っています。ファイルのパス名は、 /usr/lpp/bos.sysmgt/nim/README です。

AIX 用の IBM SDK および JRE、Java Technology Edition バージョン 7 (64 ビット版)

Java™ Technology Edition バージョン 7 (64 ビット版) は、AIX ベース・メディアで利用できます。

AIX 用 IBM Software Development Kit (SDK) および Java ランタイム環境 (JRE)、Java Technology Edition が JavaV.x ファイルセットでリリースされました。ここで、V は Java のバージョン (Java 7 など) を表し、x は個別のファイルセット (Java7_64.sdk など) を表します。

あるバージョンの Java の新しいサービス・リフレッシュが使用可能かどうかを確認するには、AIX Download and service information Web サイトを参照してください。

注: Java 5 は、AIX 7 (7200-02 適用) ベース・メディアまたは AIX バージョン 7.2 Expansion Pack メディアでは利用できません。その他のバージョンの Java は、AIX 7 (7200-02 適用) Expansion Pack メディアで利用できます。

ファイルセットの変更

システムにインストールされているソフトウェアをさらに厳密に制御できるよう、bos.net.tcp.client ファイルセットと bos.net.tcp.server ファイルセットが 33 の新規ファイルセットに分割されました。

元の各ファイルセットのコア・コードは bos.net.tcp.client_core ファイルセットと bos.net.tcp.server_core ファイルセットに入っています。AIX オペレーティング・システムに付属のソフトウェアの必要条件 (bos.net.tcp.client ファイルセットと bos.net.tcp.server ファイルセット) は、bos.net.tcp.client_core ファイルセットと bos.net.tcp.server_core ファイルセットに変更されています。その他の新規ファイルセットには、必要に応じて追加の必要条件が設定されています。

元のファイルセットは他のソフトウェアによる必要条件を満たすために引き続き存在しています。 すべての要件が確実に満たされるよう、元のファイルセットには、すべての新規ファイルセットに対する必要条件が含まれています。

新規ファイルセットのいずれかを除去するには、まず、bos.net.tcp.client ファイルセットか bos.net.tcp.server ファイルセットか、どちらか一方を除去する必要があります。bos.net.tcp.client ファイルセット、bos.net.tcp.server ファイルセット、または新規ファイルセットを除去するには、lslpp -d fileset_name コマンドを実行します。除去するファイルセットを必要条件とするソフトウェアが他になければ、除去が可能です。

オペレーティング・システムの移行中にコード変更が行われるため、すべてのシステム構成とユーザー構成可能ファイル (bos.net.tcp.client ファイルセットと bos.net.tcp.server ファイルセットに所有されていたファイル) は、それらのファイルの所有者となった新規ファイルセットにマージされます。

新規ファイルセットのリストは以下のとおりです。

  • bos.net.tcp.client_core
  • bos.net.tcp.server_core
  • bos.net.tcp.bind
  • bos.net.tcp.bind_utils
  • bos.net.tcp.bootp
  • bos.net.tcp.dfpd
  • bos.net.tcp.dhcp
  • bos.net.tcp.dhcpd
  • bos.net.tcp.ftp
  • bos.net.tcp.ftpd
  • bos.net.tcp.gated
  • bos.net.tcp.imapd
  • bos.net.tcp.mail_utils
  • bos.net.tcp.ntp
  • bos.net.tcp.ntpd
  • bos.net.tcp.pop3d
  • bos.net.tcp.pxed
  • bos.net.tcp.rcmd
  • bos.net.tcp.rcmd_server
  • bos.net.tcp.sendmail
  • bos.net.tcp.slip
  • bos.net.tcp.slp
  • bos.net.tcp.snmp
  • bos.net.tcp.snmpd
  • bos.net.tcp.syslogd
  • bos.net.tcp.tcpdump
  • bos.net.tcp.telnet
  • bos.net.tcp.telnetd
  • bos.net.tcp.tftp
  • bos.net.tcp.tftpd
  • bos.net.tcp.timed
  • bos.net.tcp.traceroute
  • bos.net.tcp.x500

bos.net.uucp ファイルセット内のエンコード・ソフトウェアを bos.net.uucode ファイルセットに移動しました。

移行

AIX 7.2 ブートをサポートするシステムでは、あらゆるレベルの AIX オペレーティング・システムから、AIX 7 (7200-02 適用) へのオペレーティング・システムの移行を行うことができます。新しいレベルの AIX をインストールするときは、常に以前のレベルより多くのディスク・スペースが必要です。 ファイルシステム内に十分なフリー・スペースを確保してあるか、あるいは rootvg 内に空き区画があるか、確認してください。 移行には、基本インストールよりやや多くのフリー・スペースが必要です。

前のレベルのベース・メディアおよびより新しいレベルでの追加更新で作成された NIM lpp_source を使用する場合は、最初に lpp_source を同じリリース日のベース・メディア、または移行元の AIX 5.3、AIX 6.1、または AIX 7.1 のレベル以降のベース・メディアで作成する必要があります。oslevel -s コマンドの出力結果の最後の 4 桁は、現在インストール済みの Service Pack の年と週 (YYWW) を表しています。

j2_inodeCacheSize チューナブル・パラメーターのデフォルト値が 400 から 200 に変更されました。 j2_inodeCacheSize チューナブル・パラメーターを使用すれば、1 ギガバイト (GB) のメイン・メモリーごとに約 50,000 個のオープン・ファイルが許可されるため、システム・パフォーマンスが向上します。 ただし、メイン・メモリーの量が少なく (4 GB 以下)、並行ユーザーや並行オープン・ファイルが多いシステムでは、j2_inodeCacheSize チューナブル・パラメーター値が 200 だと、問題が発生する可能性があります。 そのような問題を修正するには、次のコマンドを実行して、チューナブル・パラメーター j2_inodeCacheSize および j2_metadataCacheSize の値を 200 から以前の値の 400 に変更します。
注: 次のコマンドを実行すると、両方のチューナブル・パラメーターの現行値とブート値がリセットされます。
ioo -p -o j2_inodeCacheSize=400 -o j2_metadataCacheSize=400

チューナブル・パラメーター j2_inodeCacheSize および j2_metadataCacheSize の値を変更しても問題が修正されない場合は、IBM サポートに連絡してください。

IBM License Metric Tool

IBM License Metric Tool (ILMT) バージョン 7.2 はサポートされなくなりました。 後継バージョンである ILMT バージョン 9.x については、『IBM License Metric Tool 9.2』を参照してください。
注: BigFix Lifecycle を既にインストールしてある場合は、同じ BigFix Enterprise Server (BES) for ILMT 9.x を利用できます。

Java バージョン 5 の除去

デフォルトでは、AIX 7 (7200-02 適用) への移行時に、Java バージョン 5 ソフトウェアが除去されます。ただし、基本オペレーティング・システムのインストール・メニューまたは NIM bosinst_data リソースで選択内容を変更することで、Java 5 を保持することができます。移行が完了し、Java 5 が除去された後で、/etc/environment ファイルの PATH 変数を java7_64 に変更する必要があります。

注: Java 5 は、AIX バージョン 7.2 ベース・メディアまたは Expansion Pack メディアでは利用できません。その他のバージョンの Java は、AIX Expansion Pack メディアで利用できます。

IBM PowerSC Trusted Surveyor

IBM PowerSC™ Trusted Surveyor は、AIX 7 (7200-02 適用) ではサポートされていません。AIX 7 (7200-02 適用) に移行する場合は、powersc.ts ファイルセットを除去してから、移行プロセスを開始する必要があります。移行しようとしている WPAR がある場合は、powersc.ts ファイルが WPAR にインストールされていないことを確認する必要があります。

高信頼性スケーラブル・クラスター・テクノロジー (RSCT) (Reliable Scalable Cluster Technology (RSCT))

AIX 7 (7200-02 適用) にアップグレードすると、RSCT バージョン 3.2.3.0 がインストールされ、前のバージョンの RSCT に取って代わります。 RSCT について詳しくは、RSCT 3.2.3 Knowledge Center Web サイトを参照してください。

AIX 7 (7200-02 適用) に移行すると、rsct.core.utils 3.2.3.0 ファイルセットが適用されます。 RSCT バージョン 3.2.3.0 は、ご使用のシステムに既にインストールされている可能性のある rsct.vsd ファイルセットや rsct.lapi.rte ファイルセットと互換性がありません。 rsct.vsd ファイルセットおよび rsct.lapi.rte ファイルセットをアンインストールしてから、AIX 7 (7200-02 適用) に移行する必要があります。それらのファイルセットを削除した後で、mv /opt/rsct /opt/rsct.old コマンドを実行して、/opt/rsct ディレクトリーの名前を変更する必要があります。ファイルセットの削除やディレクトリーの名前変更を行わない場合、rsct.core.utils 3.2.3.0 ファイルセットや他の前提条件 RSCT ファイルセットはインストールされません。

rsct.vsd ファイルセットも rsct.lapi.rte ファイルセットも削除せず、/opt/rsct ディレクトリー名も変更しない場合は、rsct.core.utils 3.2.3.0 ファイルセットのインストール時に以下のエラーが発生します。
rmdir(/opt/rsct): Do not specify an existing file.
sysck: 3001-017 Errors were detected validating the files
for package rsct.core.utils.

0503-464 installp: The installation has FAILED for the "usr" part

失敗した移行から回復するには、ファイルセットを削除し、ディレクトリーの名前を変更した後で、smitty update_all コマンドを実行して、欠落している RSCT ファイルセットをインストールしてください。

DSM

dsm.core には /etc/ibm/sysmgt/dsm/overrides/dsm.properties ファイルが含まれており、ユーザーはこのファイルを使用して SSH 構成をオーバーライドできます。このファイルは上書きされるため、このファイルを変更した場合は、更新または移行の前にこのファイルを手動でバックアップしておく必要があります。

シン・サーバー

以前のどのバージョンの AIX Common Operating System Image (COSI) および関連する AIX シン・サーバーでも、それらを AIX 7 (7200-02 適用) に移行した場合は、移行されたシン・サーバーに関連するすべてのダンプ・デバイスを削除し、シン・サーバーを再作成することをお勧めします。

さらに、AIX 7 (7200-02 適用) シン・サーバーでダンプ・デバイスを作成する には、NIM マスター上に devices.tmiscsw.rte ファイルセットをインストールする必要があります。devices.tmiscsw.rte ファイルセットは、AIX 拡張パックに含まれています。

IBM サブシステム・デバイス・ドライバー

AIX バージョン 7.2 は、IBM TotalStorage Enterprise Storage Server®、IBM TotalStorage DS ファミリー、および IBM System Storage® SAN ボリューム・コントローラー用の IBM Subsystem Device Driver (SDD) をサポートしません。SDD を使用している場合は、AIX での IBM SAN ストレージに対するマルチパス・サポートのために、サブシステム・デバイス・ドライバー・パス制御モジュール (SDDPCM) または AIX パス制御モジュール (PCM) に移行する必要があります。この移行を支援するために、SDD から SDDPCM への移行スクリプトが使用できます。

移行スクリプトの利用を要求するには、IBM ストレージ技術サポートにお問い合わせください。

IBM SAN ストレージ製品の、使用可能なマルチパス入出力ソリューションおよびサポートされる AIX バージョンについて詳しくは、IBM System Storage Interoperation Center (SSIC) Web サイトを参照してください。

DB2 移行

IBM DB2® バージョン 10.5 (FP7 適用済み) は、AIX ベース・メディアで利用できます。DB2 環境を DB2 バージョン 10.1、9.8、または 9.7 から DB2 バージョン 10.5 にアップグレードすることができます。DB2 バージョン 10.5 へのアップグレードについて詳しくは、DB2バージョン 10.5 へのアップグレードのトピックを参照してください。

構成

このセクションには、AIX オペレーティング・システムの構成に関する情報が含まれています。

MPIO デバイスの動的キュー深度

デバイスが開かれた状態の時にデバイス属性を変更すると、動的変更が発生します。AIX オペレーティング・システムでは、-U フラグを立てて chdev コマンドを実行することにより、デバイスが開かれた状態のときに特定のデバイス属性を変更できます。AIX 7 (7200-02 適用) では、MPIO デバイスの queue_depth 属性を動的に変更できます。

AIX scsidisk デバイス・ドライバーが管理する各デバイスについて、別個のコマンド・キューが作成されます。このキューは、該当デバイスに送信される SCSI コマンドのバッファーとして使用されます。queue_depth 属性は、そのキューで許可される SCSI コマンドの最大数を表します。queue_depth 属性の初期設定は、該当デバイスのインストール時に ODM で構成されます。AIX オペレーティング・システムの以前のリリースでは、デバイスが開かれた状態のとき、queue_depth 属性は静的でした。AIX 7 (7200-02 適用) では、chdev -U -l hdiskX -a queue_depth=NEW_VALUE コマンドを実行することにより、ディスクが開かれた状態のときに queue_depth 属性を変更できます。ここで、NEW_VALUE は新しいキュー深度です。

libusb ライブラリー

libusb ライブラリーは、AIX 7 (7200-02 適用) でサポートされるオープン・ソース C ライブラリーです。libusb ライブラリーは、USB デバイスに対する汎用アクセス権限を提供します。この新しい libusb パッケージを使用してアプリケーションを再コンパイルすることにより、AIX 7 (7200-02 適用) で libusb アプリケーションを実行できます。https://public.dhe.ibm.com/aix/freeSoftware/aixtoolbox/RPMS/ppc/libusb/ Web サイトから libusb RPM Package Manager (RPM) をダウンロードできます。libusb ライブラリーの使用について詳しくは、以下のトピックを参照してください。

シン・プロビジョニング

AIX 7 (7200-02 適用) には、論理ボリューム・マネージャー (LVM) を使用することで、追加されたシン・プロビジョン・ディスクに対するスペース再利用サポートが含まれています。物理ボリュームからの十分な量のディスク・スペースが使用可能な場合、LVM はこのディスク・スペースを解放してストレージ・デバイスに戻します。この機能は、デフォルトで有効になっており、ioo コマンドを使用して、オフにすることができます。スペース再利用機能は、N_Port ID Virtualization (NPIV) または直接接続 FC アダプターを備えた AIX オペレーティング・システムに対して公開されているディスクでのみサポートされます。シン・プロビジョニングは、SCSI シン・プロビジョニング (論理ブロック・プロビジョニング) コマンドをサポートする、以下のストレージ製品で使用可能です。
  • IBM DS8000
  • IBM XIV
  • EMC Symmetric ファミリー

スペース再利用情報の表示については、lvmstat コマンドを参照してください。

診断タスク

AIX 7 (7200-02 適用) は、1 日に 1 回だけでなく複数回の定期的な診断のスケジューリングをサポートします。1 日に複数回の定期的な診断をスケジュールするには、diag コマンドを実行し、「タスク選択」 > 「定期的診断」を選択して、各テスト間の時間間隔を指定してください。

AIX 7 (7200-02 適用) は、一度に 1 つのディスクではなく、並行して最大 10 個のディスクをフォーマットおよび認定する処理をサポートします。 複数のディスクをフォーマットおよび認定するには、diag コマンドを実行し、「タスク選択 (Task Selection)」メニューから「メディアの並行認定 (Certify Media in Parallel)」または「メディアの並行フォーマット (Format Media in Parallel)」を選択します。 適格なリソースがすべてリストに表示されます。 そのリストから最大 10 個のディスクを選択できます。 操作の状況は 5 秒ごとに更新されます。 ディスクごとに操作が完了するまでにかかる時間は、ディスクのタイプ、サイズ、速度など、さまざまな要因に基づきます。

制限および制約事項

このセクションでは、AIX 7 (7200-02 適用) に適用される制約事項および制限をリストします。

IBM Security Directory Server のアップグレード

IBM Security Directory Server バージョン 6.4 は、AIX ベース・メディアで利用できます。Security Directory Server バージョン 6.4 にアップグレードする場合は、Security Directory Server バージョン 6.3 からアップグレードする必要があります。Security Directory Server バージョン 6.4 へのアップグレード手順については、IBM Security Directory Server のインスタンスのアップグレードのトピックを参照してください。

IBM Security Directory Server バージョン 6.3.0.17 以降を、AIX オペレーティング・システムとともにインストールする際、ライセンス条項に手動で同意することが必要な場合があります。ライセンス条項に同意するまでインストール・プロセスは停止します。そのため、ライセンスがまだインストールされていないときに自動インストールが行われることはありません。詳しくは、「License acceptance required for Security Directory Server 6.3.0.17 (or later)」トピックを参照してください。

AIX 7.2 Enterprise Edition 1.1 以降

以前のバージョンの AIX Enterprise Edition には、IBM® Tivoli® Monitoring バージョン 6.2.3 およびバージョン 6.3.0 が組み込まれていました。しかし、AIX 7.2 Enterprise Edition 1.1 以降では、Tivoli Monitoring バージョン 6.3.0 のみが組み込まれます。AIX 7.2 Enterprise Edition 1.1 以降を使用するためには、Tivoli Monitoring バージョン 6.3.0 にアップグレードする必要があります。

OpenSSL バージョン 1.0.2

旧バージョンの OpenSSL との互換性を保つために OpenSSL 0.9.8 共有オブジェクト (libcrypto.so.0.9.8 および libssl.so.0.9.8) も OpenSSL 1.0.2.1100 ファイルセット・ライブラリーに組み込まれています。

IBM は OpenSSL バージョン 0.9.8 および 1.0.1 を今後サポートしません。 OpenSSL 0.9.8 共有オブジェクトは、現状のままライブラリーで保持されます。 ご使用のアプリケーションを更新して、より新しいバージョンの OpenSSL ライブラリーを使用する必要があります。

アプリケーションは、サポート対象バージョンの OpenSSL を使用し続けるには、OpenSSL 1.0.2.1100 ファイルセットのライブラリーに組み込まれている OpenSSL バージョン 1.0.2 共有オブジェクト (libcrypto.so または libcrypto.so.1.0.0、および libssl.so または libssl.so.1.0.0) を使用しなければなりません。

POWER8 ハードウェア暗号化機能および OpenSSL バージョン 1.0.2.1100

OpenSSL バージョン 1.0.2.1100 ファイルセットおよび AIX 7 (7200-02 適用) は、POWER8 システムで使用できるメモリー内暗号関数を使用できます。 この機能を使用するには、以下の条件を満たす必要があります。
  • 旧バージョンの OpenSSL ファイルセットを使用する既存のアプリケーションは最新ヘッダーで再コンパイルし、OpenSSL 1.0.2.1100 ファイルセットとともに組み込まれている新しい 1.0.2 ライブラリーに再リンクする必要があります。
  • dlopen 関数を使用して 0.9.8 バージョンの OpenSSL 共有オブジェクトをロードするアプリケーションを、1.0.2 バージョンの OpenSSL 共有オブジェクトをロードするように再構成する必要があります。
  • 互換性のない将来の OpenSSL リリースは最新ヘッダーで再コンパイルして、より新しいバイナリーと再リンクする必要があります。
以下のアルゴリズムは、POWER8 メモリー内暗号機能を使用できる OpenSSL バージョン 1.0.2 にのみ実装されます。
  • AES-128-CBC
  • AES-192-CBC
  • AES-256-CBC
  • AES-128-ECB
  • AES-192-ECB
  • AES-256-ECB
  • AES-128-GCM
  • AES-192-GCM
  • AES-256-GCM
  • AES-128-XTS
  • AES-192-XTS
  • AES-256-XTS
  • SHA1
  • SHA224
  • SHA256
  • SHA384
  • SHA512
注: 旧バージョンの OpenSSL ファイルセットを使用するアプリケーションは引き続き機能して、POWER8 システム上で OpenSSL デフォルト・ソフトウェア暗号モジュールを使用します。

最新バージョンの OpenSSL ファイルセットをダウンロードするには、「AIXWeb Download Pack Programs」 Web サイトを参照してください。

OpenSSH バージョン 7.1p1

OpenSSH ファイルセットが、AIX VRMF 7.1.102.1100 でオープン・ソース・コミュニティー 7.1p1 リリースに更新されました。
  • OpenSSH ファイルセットには、GSSAPI 鍵交換機能に対するパッチが含まれています。
  • OpenSSH ファイルセットが openSSL 1.0.2k バージョンでコンパイルされました。
    注: openSSL 1.0.1 と 1.0.2 には互換性があるため、このファイルセットはどちらのバージョンの openSSL にもインストールできます。
  • 上位バージョンの openSSH (7.5p1 リリースを含む) で報告されたぜい弱性はすべて、このファイルセットにも存在します。

OpenSSH 6.0p1 (VRMF 6.0.0.6204) やそれ以前のものはサポートされなくなりました。 最新バージョンの OpenSSH ファイルセットをダウンロードするには、「AIXWeb Download Pack Programs」 Web サイトを参照してください。

NIST 準拠のための GSKit バージョン要件

GSKit バージョン 8.0.50.59 は、AIX 7 (7200-02 適用) Expansion Pack メディアで提供されています。

2048 ビットを超える Rivest-Shamir-Adleman (RSA) 鍵の長さを持つ IP セキュリティーを使用する場合は、GSKit バージョン 8.0.50.10 以降を使用する必要があります。 Special Publication 800-131A に定義されているように、2048 ビットという最小の RSA 鍵の長さは、米国連邦情報・技術局 (NIST) 標準に準拠するための要件です。

nmon コマンドの変更

AIX バージョン 7.2 では、PCPU セクションおよび SCPU セクションの nmon の記録動作が変更され、デフォルトでは記録されなくなりました。PCPU セクションおよび SCPU セクションの記録を有効にするには、-y PCPU=on,SCPU=on オプションを指定して nmon の記録を実行します。PCPU セクションおよび SCPU セクションが使用可能な場合、記録形式は、以前のバージョンの AIX オペレーティング・システムの場合と同じです。nmon コマンドについて詳しくは、nmon コマンドのトピックを参照してください。

Perl

以前のバージョンの Perl は、AIX バージョン 7.2 で Perl バージョン 5.20.1 にアップグレードされました。Perl は別個の第三者のオープン・ソース・パッケージで、IBM が所有するものではありません。Perl パッケージは、全バージョンにわたる完全な互換性を維持していない可能性があります。Perl スクリプトをバージョン 5.20.1 に移行する場合は、スクリプトの評価を実行して、引き続き期待どおりに動作することを確認する必要があります。Perl について詳しくは、Perl Programming Documentation Web サイトを参照してください。

AIX バージョン 7.2 で除去されたコード

AIX バージョン 7.2 以降、以下のコードおよび機能が除去されています。
  • Fcparrayhead ドライバー
  • graPHIGS プログラミング・インターフェース
  • Network Data Administration Facility (NDAF)
  • Network Information Services + (NIS+)
    注: NIS は引き続き使用可能です。
  • IBM Systems Director Console for AIX
  • ファイバー・チャネル (FC) 経由の IP ドライバー

AIX バージョン 7.2 でサポートされないライセンス・プログラム

以下のライセンス・プログラムは、AIX バージョン 7.2 ではサポートされません。
  • AIX Fast Connect
  • Performance Toolbox for AIX
  • IBM PowerSC Trusted Surveyor
  • AIX Profile Manager

CIFS クライアントのファイルセット

bos.cifs_fs ソフトウェア・パッケージは、AIX バージョン 7.2 Expansion Pack メディアに移動しました。CIFS クライアントは、現状のまま (サポートなしで) 提供されます。

共有プロセッサー・パーティション仮想 CPU 制限

AIX オペレーティング・システムにおける共有プロセッサー・パーティションは最大 128 個の仮想プロセッサーに制限されます。 仮想プロセッサーごとに最大 8 個のハードウェア・スレッドが含まれ、SMT8 モードで稼働する POWER8 システムに対して最大 1024 個の論理プロセッサーが許可されます。 さらに多くの AIX LPAR プロセッサーが、ご使用の構成で要求される場合は、専用プロセッサーを使用する必要があります。

追加情報

IBM AIX バージョン 7.2 Knowledge Center

AIX バージョン 7.2 情報の最新バージョンを表示するには、AIXKnowledge Center Web サイトを参照してください。

物理メディアに収録された AIX バージョン 7.2 Knowledge Center をオーダーするには、Entitled Software Service Web サイトまたは eConfig ツールで、製品 ID 5692-A6P、フィーチャー 2321 をオーダーしてください。

Entitled Software Service Web サイトから、.zip ファイルの AIX バージョン 7.2 Knowledge Center をダウンロードすることもできます。.zip ファイルをダウンロードしたら、その .zip ファイルを解凍し、setup.exe ファイルを実行して AIX バージョン 7.2 Knowledge Center をインストールする必要があります。

AIX Dynamic System Optimizer

IBM AIX Dynamic System Optimizer (DSO) は、Active System Optimizer (ASO) で提供される機能を拡張したもので、一部のシステム設定を自動的に調整して、ご使用のシステムで最大限の効率が得られるようにします。 これによって、適格なワークロードを最適化するためのシステム設定を手動で調整するという困難な作業が自動化されます。DSO で提供される追加機能は、ラージ・ページの最適化とデータ・ストリーム・プリフェッチの最適化です。

DSO は、スタンドアロン機能ではなくなり、ASO の一部として AIX バージョン 7.2 以降に組み込まれています。DSO および ASO について詳しくは、AIX Dynamic System Optimizerのトピックを参照してください。

Linux SHA-256 および SHA-512 のパスワード暗号アルゴリズム

Linux SHA-256 および SHA-512 のパスワード暗号アルゴリズムをサポートするロード可能パスワード・アルゴリズム (LPA) モデルが使用可能です。Linux SHA-256 および SHA-512 のパスワード暗号アルゴリズムは、他のオペレーティング・システムでサポートされており、Ulrich Drepper (https://www.akkadia.org/drepper/SHA-crypt.txt) によりパブリック・ドメインで公開されました。

LPA モデルは、pwmod Licensed Program Product (LPP) パッケージに含まれています。pwmod パッケージは、AIX Web Download Pack Web サイトから入手可能です。

新規 Unicode ロケールのサーバー・サイド・サポート

新規 Unicode ロケールのサーバー・サイド・サポートについては、サポートされる言語とロケールのトピックを参照してください。