alt_disk_mksysb コマンド

目的

mksysb インストールの基本インストール・イメージを使用して、代替ディスクを インストールします。

構文

alt_disk_mksysb -m device -d target_disks... [ -i image.data ] [ -s script ] [-R resolv_conf ] [ -p platform ] [ -L mksysb_level ] [ -n ] [ -P phase_option ] [ -c console ] [ -K ] [ -D B O Vg k r yz T S C ]

説明

alt_disk_mksysb コマンドを使用すると、ユーザーは長時間マシンを停止せずに mksysb システム・バックアップを別のディスクにインストールでき、それによって障害リスクを軽減することができます。alt_disk_mksysb コマンドの使用は、multibos 基本オペレーティング・システム (BOS) インスタンスを含むバックアップをリストアするために使用できる唯一の方法です。

mksysb システムをインストールするには、mksysb イメージ、mksysb テープ、または mksysb CD の AIX® レベルが必要です。alt_disk_mksysb コマンドは、現在は 使用中でないディスクまたはディスク・セットを使用して呼び出され、mksysb は、それらの ディスクにリストアされるので、ユーザーが選択すれば、次回のリブートでは、システムは mksysb イメージの AIX レベルにあるシステムがブートされるようになります。

alt_disk_mksysb コマンドを実行するには、bos.alt_disk_install.rte ファイルセットと bos.alt_disk_install.boot_images ファイルセットをシステムにインストールする必要があります。

使用される mksysb イメージは、そのイメージがインストールされるシステムに必要なすべてのデバイス・サポートとカーネル・サポートを備えている必要があります。新しくインストールしたディスクからシステムをリブートするまでは、新しいデバイス・サポートまたはカーネル・サポートをインストールできません。

代替ルート・ファイルシステムは、他のファイルシステムに必ず接頭部が付くように、/alt_inst としてマウントされます (/alt_inst/usr/alt_inst/var など)。ファイルには、カスタマイズ・スクリプトを使用してこの方法でアクセスする必要があります。

インストールが終了したとき、ボリューム・グループ altinst_rootvg はターゲット・ディスク上にプレースホルダーとしてオフに変更された状態で残されています。オンに変更した場合は、このボリューム・グループは、論理ボリュームをまったく所有していないものとして示され ますが、このボリューム・グループには論理ボリュームが含まれています。ただし、これらの論理ボリュームは、その名前 が稼働中のシステム上の論理ボリュームの名前と競合することになってしまったため、ODM から除去されます。altinst_rootvg ボリューム・グループをオンに変更しないで、その 代わりに、altinst_rootvg ボリューム・グループは、プレースホルダーとして残してください。

システムを新しい代替ディスクからリブートした後、前の rootvg ボリューム・グループは lspv リストに old_rootvg として表示されます。old_rootvg ボリューム・グループを オンに変更しないで、その代わりに、old_rootvg ボリューム・グループは、プレースホルダーと して残してください。

元の rootvg に戻る必要がある場合は、 bootlist コマンドを使用して、元の rootvg からリブートするよう に、ブート・リストを変更します。

注:
  1. 代替ディスク操作で、alt プレフィックスを使用して、ボリューム・グループ、論理 ボリューム、特殊装置ファイル、およびファイルシステムを作成します。 alt_disk_copy がシステムで使用されている場合、管理者は alt プレフィックスの付いたボリューム・グループ、論理ボリューム、特殊装置ファイル、またはファイルシステムの保有または作成を避ける必要があります。代替ディスク操作によりこれらの項目が不注意によって除去、変更、または損傷される場合があります。
  2. alt_disk_mksysb では、mksysb のインストール時に、以前から 存在しているブート・イメージを使用する必要があります。alt_disk_mksysb は、最初に代替 rootvg 内のブート・イメージ (つまり、 mksysb の目次) を探索します。これでブート・イメージが検出されなかった場合は、 alt_disk_mksysb は、現行の rootvg 内のルート・イメージを 検索します。
    • altinst_rootvg の代替ディスク・インストール・ブート・イメージの 位置は、/alt_inst/usr/lpp/bos.alt_disk_install/boot_images です。
    • 現行の rootvg の代替ディスク・インストール・ブート・イメージの 位置は、/usr/lpp/bos.alt_disk_install/boot_images です。
    • 代替インストール・ブート・イメージの汎用バージョンは、 bos.alt_disk_install.boot_images ファイルセットによって提供されます。
    カーネルに影響する追加の暫定修正または更新が原因で mksysb コマンドの既存のブート・イメージが機能しない場合は、–C フラグを使用できます。 -C フラグは、現行 rootvg ボリューム・グループからの代替ディスクのインストール・ブート・イメージのみを使用します。 オリジナルの /usr/lpp/bos.alt_disk_install.boot_images/bosboot.disk.chrp イメージのコピーを保存後、このイメージを、bosboot–a –b <new_location> コマンドを使用してソース・システムで作成された新しいイメージで置き換えることができます。インストールされたソフトウェアが mksysb ソース・システムと一致する場合は、別のシステム上でイメージを作成できます。 Network Installation Manager (NIM) を使用して alt_disk_mksysb コマンドを実行する場合、–C フラグはサポートされません。

    代わりに、ソース・システム上のカーネルに影響する他の暫定修正がわかっている場合は、–C フラグを使用して、そのシステムから mksysb イメージを作成できます。 このプロセスにより、mksysb イメージの作成時にブート・イメージをカスタマイズします。

  3. インストールする mksysb コマンドのバージョン、リリース、メンテナンスまたはテクノロジーのレベルは、bos.alt_disk_install.boot_images ファイルセットのレベルに一致する必要があります。 例えば、ソース・システム (mksysb コマンドが作成されたシステム) 上の oslevel6.1.0.0 が 戻される場合、bos.alt_disk_install.boot_images ファイルセットは 6.1.0.X でなければなりません。 ここで、X は最上位の使用可能フィックス・レベルです。
  4. alt_disk_mksysb が、bos.alt_disk_install.boot_images ファイルセットと共に配送されている汎用ブート・イメージを使用する必要がある場合は、代替 rootvg からの初回ブート時に、システムが追加リブートを 実行します。
  5. alt_disk_mksysb コマンドを使用して、システムにインストールされている AIX のバージョンよりも前のバージョンの AIX バージョン 7.1 をインストールすることはできません。 例えば、AIX バージョン 7.1 オペレーティング・システムが稼働するシステムに AIX バージョン 6.1 mksysb をインストールすることはできません。 multibos mksysb の場合、mksysb の作成に使用されるアクティブ AIX のバージョンが、mksysb の AIX バージョンになります。
  6. 論理ボリューム名に関する現行の LVM 限度は、15 文字です。代替ディスク・インストール・コマンドには、4 文字の alt_ プレフィックスが含まれるため、コピーまたはインストールの対象となる rootvg の元の論理ボリューム名の限度は 11 文字になります。 元の論理ボリューム名が 11 文字を超えている場合は、カスタマイズされた image.data (-i フラグを参照) を使用して短縮できます。
  7. 代替 rootvg ボリューム・グループに対して、LVM コマンド (exportvgimportvgvaryoffvg、 および chlv など) を直接使用しないでください。
  8. alt_disk_mksysb 機能は、NIM でも使用できます。NIM を使用して alt_disk_mksysb コマンドを実行する場合、–C フラグはサポートされません。

フラグ

項目 説明
-B 操作後はブート・リストを実行しないことを指定します。 このフラグが設定されている場合は、-r フラグは使用できません。
-C 現行 rootvg ボリューム・グループからのみ /usr/lpp/bos.alt_disk_install/boot_images/bosboot.disk.chrp ファイルを使用することを指定します。 NIM を使用して alt_disk_mksysb コマンドを実行する場合、このフラグはサポートされません。 このフラグは、AIX オペレーティング・システムのスタンバイ multibos 基本オペレーティング・システム (BOS) インスタンスには影響しません。 -C フラグについて詳しくは、『注』セクションを参照してください。
-c console 代替 rootvg のシステム・コンソールとして使用されるデバイス名を指定します。 このフラグが有効なのは、-O フラグと共に指定された 場合のみです。
-D デバッグをオンにします (-x 出力を設定します)。
-d target_disks 代替 rootvg が作成されるターゲット・ディスクの名前 (複数の場合もある) をスペースで 区切ったリストを指定します。これらのディスクは、現在ボリューム・グループ定義を含んでいるものであってはなりません。lspv コマンドは、これらのディスクがボリューム・グループ None に属していることを示す必要があります。
-g target_disks のブート可能検査は看過されることを 指定します。
-K 可能な場合 64 ビット・カーネルを使用する必要があることを指定します。
-k mksysb デバイスが保持されることを 指定します (以前は、ALT_KEEP_MDEV 変数)。
-i image_data mksysb イメージからのデフォルトの image.data ファイルの代わりに使用する、オプションの image.data ファイル。image.data ファイル名は、絶対パス名 (例えば、 /tmp/my_image.data) である必要があります。
-L mksysb_level このレベルとプラットフォーム・タイプを組み合わせて、 ブート・イメージ名 (例えば、AIX 6.1 以前では rspc_6.1.0_boot) を作成します。これは V.R.M のフォーマットでなければなりません。 mksysb イメージはこのレベルと比較され、両者が一致するかどうかが確認されます。
-m device device には、次のいずれかの値を指定できます。
  • テープ装置 (例えば、/dev/rmt0)
  • ファイルシステム内の mksysb イメージのパス名
-n NIM クライアントを継続します。 /.rhosts ファイルおよび /etc/niminfo ファイルが、代替 rootvg のファイルシステムにコピーされます。
-P Phases alt_disk_mksysb コマンドのこの呼び出し中に実行する フェーズ (複数の場合もある)。有効値は、1、2、3、12、23、または all。
12
フェーズ 1 および 2 を実行します。
23
フェーズ 2 および 3 を実行します。
all
3 つのフェーズすべてを実行します。
-p platform ディスク・ブート・イメージの名前を作成するために使用されるプラットフォーム。ディスク・ブート・イメージは、この機能をサポートするベンダーから提供される場合があります。
-O ターゲット altinst_rootvg 上でデバイスのリセットを 実行します。これが原因で、ユーザー定義デバイス構成があっても、alt_disk_install では、そのいずれも保存しません。このフラグが役に立つのは、(例えば、ロジカル・パーティショニングや システム・ディスク・スワップなどの場合に) ターゲット・ディスクまたは複数のディスクが異なるシステム の rootvg になる場合です。
-R resolv_conf mksysb がリストアされた後で、既存のファイルを 置き換える resolv.conf ファイル。 resolv_conf には絶対パス名を使用する必要があります。
-r alt_disk_mksysb コマンドの完了時に、新しいディスクから リブートすることを指定します。
-s script mksysb のインストールの終了時に実行するオプションのカスタマイズ・ スクリプト。このファイルは実行可能ファイルでなければなりません。 このスクリプトは、/alt_inst ファイルシステムがアンマウントされる前に、稼働中のシステムで呼び出されるので、リブートの前に、稼働中のシステムから /alt_inst ファイルシステムに、ファイルがコピーできます。これは、代替ファイルシステム内のファイルのコピーまたは変更が できる唯一の機会です。その理由は、論理ボリューム名が rootvg の名前に 一致するように変更されることになり、新しい代替 rootvg を使用して、システムが リブートされるか、または alt_rootvg_op コマンドを使用して、『ウェイクアップ』 が altinst_rootvg に対して実行されるまでは、代替ファイルシステム内のファイルが アクセス不能になるからです。スクリプトには絶対パス名を使用する必要があります。
-S クローン作成またはインストール操作を開始する前に、ターゲット・ディスクでのスペース・チェックをスキップするよう指示します。
重要: JFS2 ファイルシステムには、JFS ファイルシステムより多くのメタデータが含まれます。 -S フラグを -T フラグと一緒に使用すると、スペース・チェックがスキップされます。この状態では、新しく作成された JFS2 ファイルシステムに、ファイルシステムの内容と追加のメタデータを保管するための十分なスペースがあるかどうかの検証は行われません。
-T ターゲット・ディスクで rootvg ボリューム・グループの再作成処理中に JFS ファイルシステムを JFS2 ファイルシステムに変換するよう指示します。
-V 詳細出力をオンにします。 これによって、alt_disk_mksysb 操作中にリストアされるファイルが 表示されます。
-y mksysb ボリューム・グループを探索し、(検出された 場合は) インポートします。このフラグを設定すると、alt_disk_install は 、mksysb に既知のデータ VG をインポートし、インストール時に既知のローカル・ データ VG (デフォルト) をインポートしなくなります。 これらのインポートは、スクリプト /usr/lpp/bos.alt_disk_install/bin/alt_import_oldvgs によって実行されます。
-z どのタイプの非 rootvg ボリューム・グループも インポートしません。このフラグを設定すると、-y フラグが無効になります。

終了状況

項目 説明
0 すべての alt_disk_mksysb 関連操作が正常に 完了しました。
>0 エラーが発生しました。

  1. mksysb イメージを hdisk3 および hdisk4 にインストールした上で、リブート前に、カスタマイズしたスクリプト (/tmp/script) を 実行して、一部のユーザー・ファイルを代替 rootvg ファイルシステムにコピーする場合は、次の ように入力します。
         alt_disk_mksysb -m /mksysb_images/my_mksysb -d "hdisk3 hdisk4" -s /tmp/script
  2. mksysb イメージを hdisk2 にインストールし、フェーズ 1 後に 停止する場合は、次のように入力します。
         alt_disk_mksysb -m /mksysb_images/my_mksysb -d hdisk2 -P1
    注意: クローン作製された rootvg を使用するために、このブート・リストを変更してはなりません。
  3. hdisk4 上の既存の代替 rootvg に対して フェーズ 2 および 3 を実行し、正常に完了した時点で、システムをリブートする場合は、次のように 入力します。
         alt_disk_mksysb -d hdisk4 -m /mksysb_images/my_mksysb -P23 -r
  4. mksysb イメージを hdisk1 にインストールし、ファイルシステムを JFS ファイルシステムから JFS2 ファイルシステムに変換するには、次のコマンドを実行します。
    alt_disk_mksysb -B -T -m  /mksysb_images/my_mksysb -d hdisk1

位置

/usr/sbin/alt_disk_mksysb

ファイル

項目 説明
/usr/sbin/alt_disk_mksysb alt_disk_mksysb コマンドが入ります。