acctctl コマンド

目的

拡張アカウンティングを制御します。

構文

acctctl fadd file size

acctctl frm file

acctctl freset file

acctctl fquery [file]

acctctl fswitch [file]

acctctl isystem {time|off}

acctctl iprocess {time|off}

acctctl agproc {on|off}

acctctl agke {on|off}

acctctl agarm {on|off}

acctctl trquery [trid] [-@ [wpar]]

acctctl tron trid [-@ wpar]

acctctl troff trid [-@ wpar]

acctctl email {on|off|addr}

acctctl on [-@ [wpar]]

acctctl off [-@ [wpar]]

acctctl [-@ [wpar]]

acctctl turacct {on|off}

説明

拡張アカウンティング (AACCT) の管理は、ほとんどが acctctl コマンドによって実行される次の上位タスクを対象として 編成されます。
  • アカウンティング・データ・ファイルの管理
  • プロジェクトの定義および割り当ての管理
  • トランザクションの管理
  • 拡張アカウンティング・サブシステムの管理

ワークロード・パーティション内で実行する場合、-@ オプションはサポートされません。

アカウンティング・データ・ファイルの管理

最初のタスクは、ファイル管理が中心になります。ファイルが事前割り振り され、AACCT サブシステムに登録されるので、アカウンティング・データをこれらのファイルに連続的に 流すことができます。アカウンティング・ファイルの 1 つがいっぱいになると、AACCT は、使用可能な次の 登録ファイルに自動的に切り替えます。使用可能な次の登録ファイルがない場合は、管理者または 請求アプリケーションがこの問題に即時に反応しない限り、着信データが失われる恐れが あります。

ファイルの状況に対して管理者に注意を喚起するメッセージが送信されるので、管理者は、問題が 発生する前に、これらのタイプの問題を回避できます。この問題に対応する最善の方法は、あらかじめ十分なファイル・ スペースを割り当てておくことです。そうすれば、ファイルがいっぱいの状態に近づいた ときや、システムが自動的に別のファイルに切り替えたときは、メッセージが送信 されます。メッセージは、SYSLOG 機能および電子メールによる方法で送信されます。 メッセージを受信するためには、これらのサブシステムが正しく構成されている必要があります。

システムでは、アカウンティング・ファイルを使いきると、アカウンティング・データを内部でバッファーに入れる ので、データが即時に失われることはありません。管理者の応答が間に合わず、データが 失われることがあった場合でも、システムが障害についての一部の統計情報を内部的に維持し、その 状況が訂正された後で、その統計情報をアカウンティング・サブシステムのログに 記録します。

システム管理者は、AACCT を開始する前に、システム上で必要になるアカウンティング・ファイルを作成しておく 必要があります。このようなアカウンティング・ファイルの数およびサイズ は、ワークロードによって異なるので、管理者は、特定のインストール・システムの場合に適した値を 選択する必要があります。したがって、少なくとも 2 つのファイルを作成しておいて、AACCT が常時アクティブの 状態に保たれるようにすることが、推奨事項です。

ファイルの管理用として、次のコマンドが用意されています。
項目 説明
acctctl fadd file size 指定のファイル名およびサイズを持つアカウンティング・ファイルを割り当てて、定義 します。サイズは、メガバイト単位とします。
acctctl frm file 指定のアカウンティング・ファイルをアカウンティング・サブシステムから 除去します。これによってファイルがファイルシステムから除去されることはありません。
acctctl freset file 指定のファイルがこれでアカウンティング・サブシステムによって再使用できるようになったことを 示します。
acctctl fquery [file] 指定のファイルが提供されている場合は、指定のファイルの状態および現行使用状況を、それ以外の場合は、すべての アカウンティング・ファイルの状態および現行使用状況を照会します。
acctctl fswitch [file] アカウンティングを新規アカウンティング・ファイルに強制的に切り替えます。 この新規ファイルは、オプションで指定することもできます。

ファイルはすべて、絶対パス名である必要があります。ファイルの作成にあたっては、ファイルシステムに 十分なスペースが確保されるようにしてください。

プロジェクトの定義および割り当ての管理

2 番目のタスクである、プロジェクトの定義および割り当ての管理 は、projctl コマンドの使用によってサポートされます。プロジェクト は、オプションです。 この機能の説明については、コマンド・リファレンス 第 4 巻 に記載の projctl コマンドを参照して ください。

トランザクションの管理

3 番目のタスクである、トランザクションの管理は、アプリケーションおよび ミドルウェアによってトランザクションを提供できるため、作成されるアカウンティング・データのタイプ (これは 構成に応じて異なります) を制御するように設計されています。次のタイプのアカウンティングがすべてのシステム上で サポートされます。
  • プロセス
  • ディスク
  • ネットワーク・インターフェース
  • ファイルシステム
  • システム (CPU およびメモリーのグローバル使用を示す)

上記のアカウンティング・データ・ソースに対する管理コントロールは、これらのソースで作成されるアカウンティング・ レコードを使用可能にしたり、使用不可にしたりすることによって提供されます。各アカウンティング・レコードには それぞれ固有の ID が割り当てられるので、アカウンティング・ファイルの処理時に、報告コマンドおよび分析コマンドで該当 するテンプレートを適用できます。 これらの固有 ID は、トランザクション特定コマンドのパラメーターとしてサポートされ、指定されるさまざまな タイプのアカウンティングの名前を指定する場合にも使用されます。 ID は、sys ファイル内にリストされます。

トランザクションの管理用として、次のコマンドが用意されています。
項目 説明
acctctl trquery [trid] [-@ [wpar]] 指定の trid が提供されている場合は、指定の trid の状態および名前を、それ以外の 場合は、すべての trid の状態および名前を照会します。 wpar パラメーターを付けずに -@ オプションを指定した場合、すべてのアクティブなworkload partitions で trid を照会します。wpar パラメーターを付けて -@ オプションを指定した場合、指定したworkload partition のみに対して trid を照会します。
acctctl tron trid [-@ wpar] 指定したトランザクションを使用可能にします。 wpar パラメーターを付けて -@ オプションを指定した場合、指定したworkload partition のみで、トランザクションを使用可能にします。
acctctl troff trid [-@ wpar] 指定したトランザクションを使用不可にします。 wpar パラメーターを付けて -@ オプションを指定した場合、指定したworkload partition のみで、トランザクションを使用不可にします。

デフォルトでは、トランザクション ID がすべて使用可能になっています。

トランザクションの一部には、派生タイプで、他のトランザクションに依存しているものもある ため、トランザクション ID は、すべてが使用不可にできるとは限りません。例えば、プロセス集約レコードは、プロセス・レコードに依存しているので、プロセス集約レコードだけを使用不可にすることは できません。集合は使用可能にも使用不可にもできますし、プロセスのアカウンティングも 使用可能にも使用不可にもできますが、集約プロセス・レコードに対応するトランザクション ID は 使用不可にできません。集約は、内部的にデータを 集約して、作成されるレコード数を削減するという意味での 便宜です。事例によっては、データ集約が提供されるのは、データ管理を単純化するためである 場合もあります。

拡張アカウンティング・サブシステムの管理

4 番目のタスクである、拡張アカウンティング・サブシステムの管理 は、サブシステム自体の実行環境の制御に関わるものです。サブタスクでは、AACCT の構成、実行、停止、およ び照会を指向します。

サブシステムの管理用として、次のコマンドが用意されています。
項目 説明
acctctl email {on|off|addr} 電子メール通知をセットアップします。on サブコマンドが指定されている場合は、直前に 使用された電子メール・アドレスが使用されます。電子メール・アドレスは 80 文字以下に 制限されます。メールは、電子メール通知が機能するように構成する必要が あります。
acctctl iprocess {time|off} time 分ごとにプロセス・インターバル・アカウンティングを使用可能にするか、または プロセス・インターバル・アカウンティングを完全に使用不可にします。
acctctl isystem {time|off} time 分ごとにシステム・インターバル・アカウンティングを使用可能にするか、またはシステム・インターバル・ アカウンティングを完全に使用不可にします。
acctctl agproc {on|off} システム全体にわたるプロセスの集約を使用可能または使用不可にします。
acctctl agke {on|off} システム全体にわたるサード・パーティー・カーネル・エクステンションの集合を使用可能または 使用不可にします。
acctctl agarm {on|off} システム全体にわたる ARM トランザクションの集合を使用可能または 使用不可にします。
acctctl dump pid 名前を指定されたプロセスのアカウンティング・レコードをアカウンティング・ファイルに 書き込みます。
acctctl on [-@ [wpar]] 拡張アカウンティングを開始します。 wpar パラメーターを付けずに -@ オプションを指定した場合、すべてのアクティブな workload partitions に対して、拡張アカウンティングを開始します。wpar パラメーターを付けて -@ オプションを指定した場合、指定した workload partition のみに対して、拡張アカウンティングを開始します。
acctctl off [-@ [wpar]] 拡張アカウンティングを停止します。 wpar パラメーターを付けずに -@ オプションを指定した場合、すべてのアクティブな workload partitions に対して、拡張アカウンティングを停止します。wpar パラメーターを付けて -@ オプションを指定した場合、指定した workload partition のみに対して、拡張アカウンティングを停止します。
acctctl [-@ [wpar]] 全体的なアカウンティング状態を照会します。 wpar パラメーターを付けずに -@ オプションを指定した場合、すべてのアクティブな workload partitions に対して、拡張アカウンティング状態を照会します。wpar パラメーターを付けて -@ オプションを指定した場合、指定した workload partition のみに対して、拡張アカウンティング状態を照会します。
acctctl turacct {on|off} ターボ・モードの Scaled Performance Utilization Resources Register (SPURR) に基づいて、 アカウンティングを使用可能または使用不可にします。

終了状況

このコマンドは次の終了値を戻します。

項目 説明
0 コマンドが正常に実行されました。
>0 エラーが発生しました。

セキュリティー

このコマンドを使用するには、root 権限が必要です。

このコマンドによって、データ・ファイルが作成されます。これらのファイルは、root が所有します が、adm グループのメンバーであれば読めます。

RBAC ユーザーと Trusted AIX® ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権の詳細情報については、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. 状況を表示する場合は、次のように入力します。
    acctctl
    次のような出力が 表示されます。
    Advanced Accounting is not running.
    Email notification is off.
    The current email address to be used is not set.   
    Process Interval Accounting is off.
    System Interval Accounting is off.
    System-wide aggregation of process data is off.
    System-wide aggregation of third party kernel extension data is off.
    System-wide aggregation of ARM transactions is off.
    Files: 0 defined, 0 available.
  2. アカウンティングをオンにする場合は、次のように入力します。
    acctctl on
  3. 200 MB データ・ファイルを追加する場合は、次のように入力します。
    acctctl fadd /var/aacct/acctdata1 200
  4. プロセス・インターバルを使用可能にして、2 時間ごとにデータを収集するようにするには、次のように 入力します。
    acctctl iprocess 120
  5. プロセス集約を設定する場合は、次のように入力します。
    acctctl agproc on
  6. 電子メール通知を使用可能にする場合は、次のように入力します。
    acctctl email on
  7. 通知のために電子メール・アドレスを指定する場合は、次のように入力します。
    
    acctctl email user@company.com
  8. システム上の WPAR に対するアカウンティングをオンにするには、 次のコマンドを使用します。
    
    acctctl on -@
  9. wpar1 に指定された WPAR に固有の trid をリストするには、 次のコマンドを使用します。
    acctctl trquery -@ wpar1
    次のような結果が表示されます。
    NUMBER       	STATE           NAME
    	33           disabled       wpar-proc
    	34           disabled       wpar-agg_proc
    	35           disabled       wpar-agg_app
    	36           enabled        wpar-system
    	38           enabled        wpar-file
    	39           enabled        wpar-netif
    	44           disabled       wpar-agg_KE

位置

/usr/bin/acctctl

ファイル

項目 説明
/var/aacct アカウンティング・データ・ファイルのデフォルトのディレクトリー
/var/aacct/acctdata デフォルトのアカウンティング・データ・ファイル

データ・ファイルは、システム管理者が別の場所に作成してもかまいません。