cron デーモン

目的

コマンドを自動的に実行します。

構文

cron [ -f configurationfile ] [ -Q ]

説明

cron デーモンは、指定された日時にシェル・コマンドを実行します。以下のイベント・タイプが、cron デーモンによってスケジュールされます。

  • crontab コマンド・イベント
  • at コマンド・イベント
  • batch コマンド・イベント
  • sync サブルーチン・イベント
  • ksh コマンド・イベント
  • csh コマンド・イベント

これらのイベントを操作する方法は、/var/adm/cron/queuedefs ファイルによって指定されます。

定期的に実行するコマンドは、 crontab ファイルに入っている命令に従って指定することができます。 crontab ファイルの実行を依頼するには、 crontab コマンドを使用します。 一度しか実行しないコマンドの実行を依頼するには、at コマンドを使用します。cron デーモンは終了することがないので、一度だけ実行してください。

cron デーモンは、cron が初期化されたときにのみ、crontab ファイルおよび at コマンド・ファイルを調べます。crontab コマンドを使って crontab ファイルを変更すると、 変更を示すメッセージが cron デーモンに送られます。 これにより、新しいファイルや変更されたファイルがあるかどうかを定期的に調べるオーバーヘッドがなくなります。
注: ユーザーがもう使用できない場合、そのユーザーの cron ジョブはもう実行されません。 ユーザーがついに使用できるようになっても、そのユーザーの cron イベントはもうキューに入れられません。 cron デーモンは、cronlog ファイルをユーザーが使用できるかどうかについての情報をログに記録しません。

TZ 環境変数を chtz コマンドで、または SMIT を使用してのいずれかで変更したときは、cron デーモンを再始動する必要があります。これにより、cron デーモンは新しい TZ 環境変数に合った時間帯と夏時間変更情報を使用できるようになります。

注:
  1. タイムゾーンが夏時間から標準時間に変わる日の午前 1:00 から午前 2:00 の間に実行されるようにスケジュールされたジョブがある場合、 そのジョブは 2 回実行されます。
  2. タイムゾーンが標準時間から夏時間に変わる日の午前 2:01 から午前 2:59 の間に実行されるようにスケジュールされたジョブがある場合、 そのジョブは実行されません。 これらのジョブを実行する時間を変更したり、 ジョブを手動で実行したり、あるいは翌日に実行したりすることができます。 cron デーモンを停止する必要はありません。 ただし、TZ 環境変数を変更した場合は、 現行の cron デーモンを削除して、 デーモンが新しい TZ の設定を自動的に再作成し、認識するようにしてください。
  3. タイムゾーンが標準時間から夏時間に変わる日の午前 2:00 に実行されるようにスケジュールされたジョブがある場合、 そのジョブは 1 秒早く実行されます。

cron デーモンは、ユーザーによって提供された /etc/cronlog.conf 構成ファイルを読み取って、情報をログに記録します。構成ファイルが 作成されていなかった場合は、cron デーモンは、その アクティビティーのログを /var/adm/cron/log ファイル内に 作成します。cron デーモンが構成ファイルを 読み取るのは、それが活動化された時点、およびハングアップ信号を受信した 時点です。

cron デーモンがユーザー指定ファイルを作成または オープンできない場合は、そのアクティビティーのログを /var/adm/cron/log 内に 作成します。

フラグ

項目 説明
-f ConfigurationFile 代替構成ファイルを指定します。
-Q 抑制モード。-Q が指定された場合は、cron のロギングが 使用不可にされます。このパラメーターが有効なのは、ユーザー構成ログ・ファイル、ならびに デフォルトの /var/adm/cron/log ファイルの場合です。このオプションは、-f オプションの 後に続く必要があります (-f が指定されている場合)。

セキュリティー

監査イベント

監査サブシステムが適切に構成されており、かつ使用可能である場合、cron デーモンを実行するたびに、 次の監査レコード (イベント) が生成されます。

イベント 情報
CRON_Start それぞれのジョブの名前、ジョブが at コマンドまたは cron コマンドによって開始されたものであるかどうか、およびジョブの開始時間をリスト表示します。
CRON_Finish ユーザー名、ジョブのプロセス ID、およびプロセスの完了時間をリスト表示します。

RBAC ユーザーと Trusted AIX® ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権の詳細情報については、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドを参照してください。

ファイル

項目 説明
/var/adm/cron/FIFO crontab または at コマンドを使用して新規ジョブを実行依頼したときに、cron デーモンにメッセージを送る名前付きパイプです。
/var/adm/cron 主要な cron デーモン・ディレクトリーを指定します。
/var/adm/cron/log すべての実行済み cron に関するアカウンティング情報を指定する デフォルトのログ・ファイル。cron ジョブの所有者、PID、開始時刻、コマンド、および終了状況などの ような情報が入ります。このファイルに対しては、回転は 実行されません。
/etc/cronlog.conf 情報をログに記録するためのデフォルトの cron 構成ファイルを 指定します。
/var/adm/cron/queuedefs      cron デーモン・イベント・ファイルを指定します。
/var/spool/cron スプール域を指定します。
/usr cron デーモンによってオープンされているディレクトリーを示します。
/usr/bin cron デーモンによってオープンされているディレクトリーを示します。
/usr/lib cron デーモンによってオープンされているディレクトリーを示します。
/etc cron デーモンによってオープンされているディレクトリーを示します。
/tmp cron デーモンによってオープンされているディレクトリーを示します。

構成ファイル

構成ファイルは、cron デーモンに情報をログに記録する場所および方法を 通知します。構成ファイルを使用して、ログ・ファイル名、サイズ制限、回転ポリシー、圧縮および アーカイブ属性を指定できます。

-f フラグを使用しなかった場合は、cron デーモンは、デフォルトの /etc/cronlog.conf 構成ファイルを読み取ります。

cron は、構成ファイルのオープンに失敗した場合は、/var/adm/cron/log から 続けます。

cron デーモンは、ブランク行および # (ポンド記号) で始まる行を 無視します。