データ・コレクターの管理

データ・コレクターの状況をモニターし、より多くのデータ・コレクターのデプロイ、データ・コレクターのアップグレード、特定のデバイスをモニターするためのデータ・コレクターの割り当てなどの管理タスクを実行します。

サーバー要件、デプロイメントのベスト・プラクティス、主なセキュリティー・ファクトなど、データ・コレクターのデプロイについて説明します。

データ・コレクターとは?

データ・コレクターの説明 メタデータの収集法の図

データ・コレクターは、データ・センター内のサーバーや仮想マシンにデプロイされる軽量のアプリケーションです。 データコレクターは、監視対象デバイスに関する容量、構成、およびパフォーマンスのメタデータを収集し、分析のためのメタデータを HTTPS 接続で IBM Storage Insights サービスに送信します。

わずか数分でデータ・コレクターをインストールできます。モニター対象のデバイスを追加すると、データ・センターをモニターするために必要な容量とパフォーマンスの洞察が得られます。

IBM® サポートがチケットを調査してクローズするために必要なメタデータも収集されるため、チケットを作成または更新したときにログをアップロードし、IBM サポートがメタデータにアクセスして調査し、問題を解決することもできます。

1 つのデータ・コレクターによるメタデータ収集の図

セキュリティー

デバイスとストレージ・メタデータに関する情報を保護することは重要です。 データコレクタは、メタデータをIBM Cloud データセンターのIBM Storage Insights の固有インスタンスに送信するために、HTTPS を介したアウトバウンドのみの接続を開始する。

データ・コレクターは、デバイスとストレージに関するメタデータを収集しますが、アプリケーション・データ、個人データ、ID データにはアクセスしません。

セキュリティのすべて: IBM Storage Insights では、データがどのように収集、転送、保護されるかについて詳しく説明しています:

デプロイメントの計画

データ・コレクターをインストールするサーバーまたは仮想マシンで最小 RAM およびディスク・スペース要件を満たすようにすることは、メタデータ収集をスムーズに実行するために重要です。 ホストでオペレーティング・システムを実行するための RAM とディスク・スペース要件に加えて、データ・コレクターを実行するために少なくとも 1 GB の RAM と 3 GB のディスク・スペースも用意する必要があります。

サービス停止時にディスク・スペースがどのように使用されるかについて詳しくは、こちらを参照してください

重要:
  • データコレクタを配置するには、管理者である必要があります。
  • メタデータ収集の可用性を確保し、ワークロードのバランスを向上させるには、2 つ以上のデータ・コレクターを各データ・センター内の別個のサーバー にデプロイします。
  • データ・コレクターをインストールするサーバーまたは仮想マシンは、モニター対象のデバイスにアクセスできる必要があります。 データ・コレクターはデバイスに直接接続するため、サーバーまたは仮想マシンは、これらの接続をサポートできることが必須です。
  • データコレクターをインストールするサーバーまたは仮想マシンが、IBM Storage Insights に TCP 経由でポート 443 の送信トラフィックを送信できるように、組織のファイアウォールを設定する必要があります。
  • データ・コレクターをインストールすると、サーバーやプロキシー・サーバーに接続することができます。
  • AIXベースのデータ・コレクターを使用するには、オペレーティング・システムに IBM® XL C/C++ Runtime for AIX 16.1.0.1 以降をインストールする必要があります。
以下のオペレーティング・システムにデータ・コレクターをインストールできます。
  • Windows Server 2016 以降
  • AIX® 7.x 以降を使用する POWER6® 以降のシステム
  • Red Hat® Enterprise Linux® 7 以降 ( x86-64 のみ)
  • CentOS Linux 7 以降 ( x86-64 の場合のみ)
  • Red Hat Enterprise Linux 7.x on PPC64LE (POWER8® のみ)
    制限: Linux PPC64LE 上のデータコレクターには、IBM FlashSystem A9000 を監視できないという追加の制限があります、XIVIBM Storage Accelerate、および IBM 以外のデバイス。
重要: FlashSystem デバイスの場合、ボリューム グループとポリシー ベースのレプリケーションは新しい機能であり、クラウド サービスとのコール ホームを通じてのみ監視されます。 ランサムウェアの脅威検出は Data Collector から利用できますが、FlashCore Module ドライブに関連付けられているランサムウェアの脅威検出を利用したい場合は、Call Home with cloud services を使用してデバイスを監視する必要があります。
ヒント:
  • データ・コレクターがインストールされているサーバーまたは仮想マシンで、異なる時刻に OS の更新および再始動をスケジュールします。 これらの更新の発生時に時間をずらすことにより、モニター対象のすべてのデバイスでメタデータ収集が中断されないようにすることができます。
  • クラウド環境の仮想マシンが、前述の要件を満たしている場合は、それらの仮想マシンにデータ・コレクターをインストール可能です。 データ・コレクターがクラウドにインストールされている場合は、冗長性を確保するために、ネットワーク内にも少なくとも 1 台のデータ・コレクターをインストールすることをお勧めします。
  • データ・コレクターをラップトップやパーソナル・ワークステーション上にインストールすることは推奨されません。 ノート PC やパーソナル・ワークステーションをシャットダウンしたり、スリープ・モードにしたりするとデータ収集が中断されます。 データ・コレクターをインストールするサーバーや仮想マシンは 24 時間 365 日 稼働状態であることが必要です。
  • データ・コレクターは、ユーザー・ログイン・セッションでマウントまたはマップされたファイル・システムにインストールしないでください。 これらのファイル・システムは一時的なものであったり、ネットワークからユーザーがログアウトした後は保持されなかったりする場合があります。 これらのファイル・システムは通常より永続的なものであるため、データ・コレクターをシステムがマウントされたファイル・システムまたはマップされたファイル・システムにインストールすることが 可能 です。
  • データ・コレクターのインストールまたは抽出には、システム予約のディレクトリー・パスを使用しないでください。 データ・コレクターをインストールするには、必ず新しいディレクトリーを作成してください。
  • サーバー変更管理が組織内に実装されている場合は、データ・コレクターを更新するプロセスがサーバー・チームにあることを確認してください。 このプロセスには、IBM Storage Insights からデータコレクターパッケージをダウンロードし、環境内に展開する機能が含まれている必要があります。

デプロイメントのベスト・プラクティス

冗長度
データ収集サービスの堅牢性を高めるには、各データ・センターの別個のサーバーまたは仮想マシンに 2 つ以上のデータ・コレクターをインストールします。
複数のデータ・コレクターの説明 複数のデータ・コレクターの図
モニター対象のデバイスを追加すると、デプロイしたデータ・コレクターがテストされ、それらのデバイスと通信できるかどうかが確認されます。 複数のデータ・コレクターがデバイスと通信できる場合、応答時間が最も短いデータ・コレクターがメタデータを収集します。 メタデータの収集が中断されると、データ・コレクターが再度テストされ、応答時間が最も短いデータ・コレクターが引き継ぎを行います。
複数のデータ・コレクターによるメタデータ収集の図
複数のデータ・センター内のデバイスのモニター
異なるロケーションにあるデータ・センターのデバイスをモニターするときに、ネットワーク待ち時間が長くなり、メタデータの収集が中断されないようにするには、各データ・センターの別々のサーバーに複数のデータ・コレクターをインストールします。
複数のデータ・センターを使用する環境のデータ・コレクター 複数のデータ・コレクターの内 1 つに障害が起きている図
例えば、ダラスとシカゴのデータ・センターにデータ・コレクターをインストールし、両方のデータ・センターがネットワーク経由で接続されているとします。 ダラス・データ・センターのデータ・コレクターがオフラインになると、シカゴ・データ・センターのデータ・コレクターが両方のデータ・センターのメタデータの収集を引き継ぎます。
1 つのデータ・コレクターが失敗した場合に他のデータ・コレクターによるデータ収集を示す 2 つのデータ・センターの図
大規模環境
組織が 25 個を超えるデバイス (ストレージ・システム、 VMware ホスト、およびスイッチの組み合わせを含むことができます) を使用している場合、またはストレージ・システムが 50,000 個を超えるボリュームを管理している場合、環境は「大規模」と見なされます。
  • 大規模環境のベスト・プラクティスは、モニター対象の 25 個のデバイスごとに 1 つのデータ・コレクターをデプロイすることです。
  • ストレージ・システムが管理するボリュームの数によって、デプロイする必要があるデータ・コレクターの数も決まります。 例えば、50,000 個のボリュームを管理する 10 個のストレージ・システムを追加する場合、メタデータの収集を管理するために、さらに多くのデータ・コレクターをデプロイする必要があります。
大規模環境でのデータ・コレクターのハードウェア要件: オペレーティング・システムを実行するための RAM とディスク・スペースの要件に加えて、データ・コレクターがデプロイされるサーバーまたは仮想マシンに、少なくとも 4 GB の RAM と 4 GB のディスク・スペースを 2 つの CPU に提供する必要もあります。

IBM サポートは IBM Storage Insights サービスを監視し、メタデータの収集に関連する問題を通知します。 メタデータの収集で繰り返し発生する問題は、収集ワークロードを共有するために追加のデータ・コレクターをデプロイする必要があることを示している可能性があります。

プロキシー・サーバー
データ・コレクターをインストールしたら、プロキシー・サーバーに接続することができます。

プロキシー・サーバーに接続するには、そのホスト名とポート番号が必要です。 セキュア・プロキシー・サーバーに接続する場合は、ユーザー名とパスワードの資格情報も必要になります。

「データ・コレクター」 ページの情報

「データ・コレクター」ページへのアクセス方法: 「構成」 メニューから、 「データ・コレクター」をクリックします。 データ・コレクターごとに以下の情報が表示されます。
名前
データ・コレクターの名前。 デフォルトの表示名 (データ・コレクターのホスト名) を、組織内で容易に識別できる名前に変更できます。 例えば、chicago.storage.collector1chicago.storage.collector2newyork.storage.collector1 などの地理的構成要素を、名前に追加することができます。 詳しくは、 データ・コレクターの名前変更を参照してください。
状況
接続
データコレクターは正常に動作し、IBM Storage Insightsと通信しています。
未接続
データ・コレクターがサーバーで停止しているため、メタデータを収集できません。 ネットワークまたはファイアウォールの問題により、データコレクタがIBM Storage Insightsと通信していない場合、ステータスが表示されることがあります。 サーバーでデータ収集サービスを開始して、メタデータ収集を再開してください。

この状況は、データ・コレクターがサーバーでアンインストールされたが GUI からは削除されていない場合にも、表示されることがあります。

失敗
データ・コレクターは作動していません。
ダウン・レベル
最新バージョンのデータ・コレクターがサーバーにデプロイされていません。 最新のフィックスを適用した最新のデータ・コレクターを常に使用できるように自動アップグレードを有効にします。
ダウンロード
データ・コレクターの現行バージョンは、IBM からのダウンロード処理の途中です。
パフォーマンス・マネージャーの キャッシングをアップロード中
アップグレードプロセスは、アップグレードプロセスを続行する前に、Performance Manager データが IBM Storage Insights にアップロードされるのを待っています。
解凍中
ダウンロードされたデータ・コレクターは、サーバーまたは仮想マシンに解凍されている処理の途中です。
置き換え中
データ・コレクターの再始動前に、古いデータ・コレクター・ファイルが、新しいデータ・コレクター・ファイルに置き換えられています。
アップグレード失敗
アップグレードに失敗し、IBM Storage Insights はデータコレクターと通信できません。

データ・コレクターのアップグレードのトラブルシューティングを参照してください。

候補
データ・コレクターが割り当てられるデバイスの数。 「割り当て」タブで、データ・コレクターを 1 つ以上のデバイスに割り当てることができます。 デバイスをモニターしているデータ・コレクターに障害が発生した場合、次に使用可能な候補が代わりにデバイスのモニターを開始します。
モニター対象デバイス
データ・コレクターが現在モニターしているデバイスの数。
到達不能デバイス
接続の問題のためにデータ・コレクターが到達できない候補デバイスの数。
IP アドレス
データ・コレクターが割り当てられるデバイスの IP アドレス。
バージョン
現在実行中のデータ・コレクターのバージョン番号。
タイム・ゾーン
データ・コレクターが割り当てられるデバイスが存在するタイム・ゾーン。
最終開始時刻
データ・コレクターが開始された日時。
OS タイプ、OS バージョン、および OS アーキテクチャー
データ・コレクターがモニターしているデバイスで稼働中のオペレーティング・システムに関する詳細。
アップグレード
最後に試みられたデータ・コレクター・アップグレードの日時と状況。

データ・コレクターの詳細ページの情報

「構成」 メニューから、 「データ・コレクター」をクリックします。 次に、表示するデータ・コレクターをダブルクリックします。 データ・コレクターごとに以下の情報が表示されます。

接続状況
データ・コレクターと、データ・コレクターに表示されるデバイスとの間の接続状況。 この情報を使用して、データ・コレクターが接続できるデバイスを素早く検証します。 また、モニター対象の候補であるが、まだデータ・コレクターによってモニターされていないデバイスを識別することもできます。 例えば、到達可能な 状況のデバイスは、モニタリングの候補になります。
最後の通信 (Last contact)
データ・コレクターによって、デバイスが正常にアクセスされた最新日時。 この情報を使用して、接続状況が最新であることを確認し、到達不能なデバイスが、いつ、どれくらいの時間、コンタクトできなかったかを特定することができます。

データ・コレクターによってモニターされるデバイスの場合、プローブやパフォーマンス・モニターによるメタデータの収集、資格情報の変更、手動による接続テスト、およびその他の操作のときなど、この値が頻繁に更新されます。

モニター対象 であるが、モニター対象候補デバイスの場合、10 分ごとに、デバイスとデータ・コレクター間の接続テストを行います。 候補は、コレクターがアクセスできるデバイスで、State 列に 許可 という値を持っています。
ヒント: 候補デバイスとデータ・コレクターの間の接続テストの頻度を変更する方法については、 接続状況の更新頻度の構成を参照してください。
名前
ネットワーク上のデータ・コレクターに対して表示されるデバイスの名前。 データ・コレクターにアクセス可能なデバイスのみが表示されます。 データ・コレクターは複数のデバイスを同時にモニタリングできますが、それらのデバイスは、データ・コレクターがインストールされているサーバーまたは仮想マシンからアクセス可能でなければなりません。
状態
データ・コレクターによって、デバイスが正常にアクセスされた最新日時。 データ・コレクターによってモニターされるデバイスの場合、プローブやパフォーマンス・モニターによるメタデータの収集、資格情報の変更、手動による接続テスト、およびその他の操作のときなど、この値が頻繁に更新されます。 モニター対象外であるが、モニター対象候補デバイスの場合、10 分ごとに、デバイスとデータ・コレクター間の接続テストを行います。 候補は、許可された 状態 のデバイスです。

この情報を使用して、接続状況が最新であることを確認し、到達不能なデバイスが、いつ、どれくらいの時間、コンタクトできなかったかを特定することができます。