バックアップの概要

データベース・サービスが停止した場合のデータ損失を防ぐために、 Db2® データベースおよび関連する保管データのバックアップを作成します。 バックアップ処理を行うために使用可能なツールがいくつかあります。

Db2 BACKUP DATABASE コマンドの最も単純な形式の場合、必要なのは、バックアップするデータベースの別名を指定することだけです。 以下に例を示します。
db2 backup db sample

IBM® Data Studio バージョン 3.1 以降では、 データベースのバックアップにタスク・アシストを使用できます。 タスク・アシスタントは、オプションの設定、タスク実行のために自動生成されたコマンドの確認、およびそれらのコマンドの実行のプロセスをガイドします。 詳しくは、 タスク・アシストを使用したデータベースの管理を参照してください。

コマンドが正常に完了すると、 コマンドを出したパスまたはディレクトリーに新しいバックアップ・イメージが作成されます。 このディレクトリーに入れられる理由は、 この例のコマンドはバックアップ・イメージの宛先を明示的に指定していないからです。 Db2 バージョン 9.5 以降で作成されたバックアップ・イメージは、ファイル・モード 600 で生成されます。これは、UNIX ではインスタンス所有者のみが読み取りおよび書き込み特権を持ち、Windows では DB2ADMNS (および管理者) グループのメンバーのみがバックアップ・イメージにアクセスできることを意味します。
注: Db2 クライアントとサーバーが同じシステム上にない場合、 Db2 データベース・システムは、どのディレクトリーがクライアント・マシン上の現行作業ディレクトリーであるかを判別し、それをサーバー上のバックアップ・ターゲット・ディレクトリーとして使用します。 このため、バックアップ・イメージ用のターゲット・ディレクトリーを指定することをお勧めします。
バックアップ・イメージは、バックアップ・ユーティリティーを起動する際に指定された宛先に作成されます。 指定できる場所は次のとおりです。
  • ディレクトリー (ディスクまたはディスケットへのバックアップの場合)
  • 装置 (テープへのバックアップの場合)
  • Tivoli® Storage Manager (TSM) サーバー
  • 他のベンダーのサーバー

データベースのバックアップ操作を起動すると、 履歴ファイルがサマリー情報によって自動的に更新されます。 このファイルは、データベース構成ファイルと同じディレクトリーに作成されます。

バックアップがファイルとして保管されている場合は、必要なくなった古いバックアップ・イメージを削除したい場合、そのファイルを削除することができます。 その後、 BACKUP オプションを指定して LIST HISTORY コマンドを実行すると、削除されたバックアップ・イメージに関する情報も返されます。 リカバリー履歴ファイルからこれらの項目を除去するには、PRUNE コマンドを使用しなければなりません。

リカバリー・オブジェクトが Tivoli Storage Manager (TSM) を使用して保管されている場合は、 db2adutl ユーティリティーを使用して、リカバリー・オブジェクトの照会、抽出、検証、および削除を行うことができます。 Linux® および UNIX の場合、このユーティリティーは sqllib/adsm ディレクトリーにあり、Windows オペレーティング・システムの場合は sqllib\binにあります。 スナップショットの場合は、 sqllib/binにある db2acsutil ユーティリティーを使用します。

すべてのオペレーティング・システムで、ディスク上に作成されるバックアップ・イメージのファイル名は、複数のエレメントを連結してピリオドで区切ったものになります。
DB_alias.Type.Inst_name.DBPARTnnn.timestamp.Seq_num
以下に例を示します。
STAFF.0.DB201.DBPART000.19950922120112.001
データベース別名
バックアップ・ユーティリティーを起動する際に指定した、1 から 8 文字のデータベース別名。
タイプ
バックアップ操作のタイプ。 0 は全データベース・レベルのバックアップ、 3 は表スペース・レベルのバックアップ、 4LOAD COPY TO コマンドによって生成されたバックアップ・イメージ
インスタンス名
DB2INSTANCE 環境変数から取得される現行インスタンスの 1 文字から 8 文字までの名前。
データベース・パーティション番号
単一パーティション・データベース環境では、この値は常に DBPART000 です。 パーティション・データベース環境では、この値は DBPARTxxx です。 xxx は、db2nodes.cfg ファイル中でデータベース・パーティションに割り当てられている数です。
タイム・スタンプ
バックアップ操作が実行された日付と時刻を 14 文字で表記したもの。 タイム・スタンプの形式は yyyymmddhhnnss です。 ただし、
  • yyyy は年 (1995 から 9999)
  • mm は月 (01 から 12)
  • dd は日 (01 から 31)
  • hh は時 (00 から 23)
  • nn は分 (00 から 59)
  • ss は秒 (00 から 59)
シーケンス番号
ファイル拡張子として使用する 3 桁の番号。

バックアップ・イメージをテープに書き込む際には、以下のようになります。

  • ファイル名は作成されません。 しかし、検査するために、前述の情報がバックアップ・ヘッダーに保管されます。
  • テープ装置が標準オペレーティング・システム・インターフェースを介して使用可能でなければなりません。 しかし、大規模なパーティション・データベース環境では、テープ装置を各データベース・パーティション・サーバーに専用接続することは実際的でないことがあります。 この場合は、複数のテープ装置を 1 つまたは複数の TSM サーバーに接続することができます。 これは、これらのテープ装置に対するアクセスを、 各データベース・パーティション・サーバーから可能にするためです。
  • 区画データベース環境では、REELlibrarian4.2やCLIO/Sなどの仮想テープ装置機能付きの製品も利用できます。 これらの製品を使って、疑似テープデバイスを介して他のノード(データベースパーティションサーバー)接続テープデバイスにアクセスできます。 リモート・テープ装置へのアクセスはユーザーが意識せずに実行され、 標準オペレーティング・システム・インターフェースを介して疑似テープ装置にアクセスできます。

標準またはバックアップ・ペンディング状態になっていないデータベースのバックアップをとることはできません。 標準またはバックアップ・ペンディング状態になっている表スペースのバックアップをとることはできます。 表スペースが標準またはバックアップ・ペンディング状態になっていない場合は、バックアップは許可される場合もあれば許可されない場合もあります。

同じ表スペースに対する並行バックアップ操作は許可されていません。 特定の表スペースに対してバックアップ操作が開始されたら、それ以降の操作は失敗します (SQL2048N)。

リストア操作中にシステム障害が起きたために、 データベースまたは表スペースが部分的にリストアされた状態になっている場合、 そのデータベースまたは表スペースを正常にリストアしてからでなければ、 バックアップをとることはできません。

バックアップ操作は、 バックアップする表スペースのリストに TEMPORARY 表スペースの名前が含まれていると、 失敗します。

バックアップ・ユーティリティーには、 異なるデータベースのバックアップ・コピーを作成する複数のプロセスのための並行性を制御する機能が用意されています。 この並行制御機能のために、 すべてのバックアップ操作が終了するまでバックアップ先の装置はオープンしたままになります。 バックアップ操作時にエラーが発生してオープン・コンテナーがクローズできない場合は、同じドライブに対する他のバックアップ操作にはアクセス・エラーが発生することがあります。 この種のアクセス・エラーを訂正するには、エラーが発生したバックアップ操作を終了し、 バックアップ先装置との接続も切断する必要があります。 バックアップ・ユーティリティーを使用してテープへのバックアップの複数の並行操作を実行する場合は、 それらのプロセスのバックアップ先を同じテープにしないようにしてください。

バックアップ情報の表示

db2ckbkp を使用して、 既存のバックアップ・イメージに関する情報を表示できます。 このユーティリティーによって、次のことが可能です。

  • バックアップ・イメージの整合性のテスト、およびリストアできるかどうかの判別。
  • バックアップ・ヘッダーに保管されている情報の表示。
  • バックアップ・イメージのオブジェクトおよびログ・ファイル・ヘッダーに関する情報の表示。