MEANスタック：完全ガイド| IBM

MEANスタックとは

比較的新しいスタックであるMEANは、MongoDB、Express.js、AngularJS、N ode.jsの頭文字をとったものです。 MEANは、主にクラウド対応のアプリケーションに使用されるエンドツーエンドのJavaScriptスタックです。 MEANを使用する理由を理解し、その使用例について学び、個々のコンポーネントを深く掘り下げて知ることは、ソフトウェア開発におけるMEANの価値を最大化するのに役立ちます。

MEANスタックのメリット

アプリケーションをゼロから構築する場合は、一貫性のある標準化されたソフトウェア・スタックを使用することが極めて重要です。連携して動作するように設計された一連のツールを使用してバックエンドを作成すると、開発時間を短縮し、リソースを合理化できます。

しかし、スタックの分野には、 LAMP からRuby on Railsに至るまで、数多くの選択肢が存在します。各スタックには利点と欠点があり、それぞれ異なるプロジェクトを対象としています。万能な開発用スタックというものはありません。

MEANは、クラウドでホストされるアプリケーションの作成で主に使用されるオープンソースのWebスタックです。 MEANスタック・アプリケーションは、柔軟性と拡張性が高いため、クラウド・ホスティングの最適な候補です。このスタックには独自のWebサーバーが含まれているため、スタックの導入は簡単です。データベースは、一時的な使用量の急増に合わせてオンデマンドで拡張できます。 MEANアプリケーションは、コスト削減やパフォーマンス向上といったクラウドの利点を活用できるように最適化されています。

JavaScriptは、柔軟性があり動的で使いやすいため、長きにわたってフロントエンドWeb開発で人気の言語です。しかし、JavaScriptは数年間は、バックエンドとデータベースの開発にしか使用できなかったため、開発者はエンドツーエンドでJavaScriptを使用してアプリケーションを作成してきました。 MEANはすべての部分で同じ言語を使用するため、開発チームを合理化できます。 MEANを使用すると、アプリケーションの各部分を開発するために、さまざまな専門家を雇う必要がなくなります。代わりに、JavaScript開発者から成る人材プールを使用して、必要なときに必要な場所で適応的に作業できます。 JavaScriptを標準化すると、アプリケーション全体でコードを再利用できるため、不要な再開発を減らすことができます。

MEANスタックのユースケース

MEANスタックは、すべてのアプリケーションに最適なわけではありませんが、多くのユースケースで優位性があります。 MEANスタックは、その拡張性の高さと同時ユーザーを管理する機能により、クラウドネイティブ・アプリケーションの開発の強力な選択肢です。 AngularJSフロントエンド・フレームワークは、単一のページですべての情報や機能を提供するシングル・ページ・アプリケーション（SPA）の開発にも理想的です。 MEANの使用例をいくつか示します。

カレンダー
経費の追跡
ニュース集約サイト
地図作製と場所検索

MEANスタックのコンポーネント

MongoDB
MongoDBは、クラウド・アプリケーション用に設計されたオープンソースのNoSQLデータベースです。 MongoDBは、リレーショナル・モデルではなくオブジェクト指向の構造を使用します。

MEANスタックでは、MongoDBはアプリケーションのデータを保管します。アプリケーションとデータベースの両方がJavaScriptを使用しているため、オブジェクトがアプリケーションとデータベースの間を往復するときにオブジェクトを変換する必要はありません。アプリケーションは、中断することなくバックエンドとデータベースの間でオブジェクトをプッシュおよびプルできます。

MongoDBは、ストレージとパフォーマンスの両方における拡張性の高さが評価されています。 MongoDBは、テーブル全体を再ロードせずにデータベースにフィールドを追加することを可能にします。また、データ・アクセスを損なうことなく大量のデータを管理できることでよく知られています。数回クリックするだけでデータベースで使用するリソースを拡張できるため、アクティビティーが不定期に増加するアプリケーションに最適です。

MongoDBの詳細については、「MongoDB：必須ガイド」をご覧ください。

Express
Expressは、Node.js用のWebアプリケーション・フレームワークです。使いやすさと高い機能性を兼ね備えています。

MEANスタックのバックエンドを形成するExpressは、フロントエンドとデータベースの間のすべてのやり取りを処理し、エンド・ユーザーへのデータの円滑な転送を保証します。 Node.jsと共に使用されるように設計されているため、スタック全体でJavaScriptを一貫して使用できるようにします。

Expressは、最小限のフレームワークです。アプリケーションを煩雑にすることなく、プロセスを効率的に処理するように設計されています。ただし、最小限とは機能不足という意味ではありません。 Expressは、開発を支援する優れたエラー処理とテンプレート作成の機能を提供します。

Expressは、CommonJSモジュール規格を使用して、共有された名前空間内での不注意な変数の上書きを防ぐため、ユーザーをエラーから守ることもできます。そのため、ユーザーは既に作成済みの変数を誤って再定義することはありません。このJavaScriptクロージャーの適用は、時間とコストのかかるエラーの防止に役立ちます。

AngularJS
AngularJS（GoogleのJavaScriptフロントエンド・フレームワーク）は、使用されている唯一のフロントエンド・フレームワークというわけではありませんが、非常に人気があります。これは、実質的にフロントエンドJavaScript開発の既定フレームワークになっています。 JavaScriptでWebアプリケーションを開発する場合は、AngularJSを使用しています。

MEANスタックには、開発者がアプリケーションのユーザー・インターフェースを構築するのを支援するためにAngularJSが含まれています。バックエンド、フロントエンド、データベースをすべてJavaScriptで構築するため、アプリケーションのすべての部分間で情報が円滑に流れます。

AngularJSが最も人気のあるJavaScriptフロントエンド・フレームワークになったことには理由があります。 AngularJSは、デスクトップとモバイル用に同時に開発できる機能、よく調整されたパフォーマンス、使いやすいテンプレートを備えているため、クラウドネイティブ・アプリケーションを構築するのに理想的なフロントエンドです。

Node.js
Node.jsは、非同期イベントを使用して複数の接続を同時に処理するオープンソースのJavaScriptフレームワークです。 Node.jsは、簡単にオンデマンドで要求をスケーリングできるため、クラウド・ベースのアプリケーションに理想的なフレームワークです。よく知られたWebプレゼンスの多くには、高い確率でNode.jsが使用されています。

Node.jsは、MEANスタックを支える基幹技術です。 Expressは、Node.js上で動作するように専用に設計されています。AngularJSは、Node.jsにシームレスに接続して、高速のデータ・サービスを提供します。 Node.jsには統合されたWebサーバーが含まれているため、MongoDBのデータベースとアプリケーションをクラウドに簡単に導入できます。

Node.jsの最大の強みは、その拡張性の高さです。クラウド・アプリケーションは、使用量の急増に素早く対応できてこそ真価を発揮します。実質的に無制限の処理能力も、ユーザーのタイムアウト後にしか使用できないものだったとしたら何の意味もありません。必要に応じてリソースを拡張することで、より多くのユーザーにサービスを提供できます。また、このフレームワークのシングル・スレッド・アーキテクチャーにより、アプリケーションは多数の接続にわたってスムーズなユーザー体験を効果的に提供できます。 Node.jsは100万もの同時接続に対応できます。

ただし、Node.jsは、リソースを大量に消費する要求ではなく、多数の低リソースの要求に対して最適に機能します。シングル・スレッドはプロセスのデッドロックを予防しますが、すべてのクライアントのシステムをフリーズする大規模なプロセスには影響されます。