かつては「デジタルワーカー」という言葉で、デジタル・スキルを持つ従業員を指していましたが、最近では、人と連携して特定のタスクやプロセスを実行するように訓練されたソフトウェア・ロボットの一カテゴリーとして定義されています。
具体的には、Forrester社はデジタルワーカーの自動化について次のように定義しています。「対話型インテリジェンスや[ロボティック・プロセス・オートメーション](RPA)など、[インテリジェントな自動化](IA)の構成要素を組み合わせたもので、従業員と共に業務にあたる。これらは人間の意図を理解し、質問に答え、人間に代わって行動する。制御や権限は人間に委ねられ、エクスペリエンスが強化される」
IBM Automationもデジタルワーカーについて同様に捉えており、さまざまなスキルを使用してエンドツーエンドの複雑なプロセスのうちで意味のある部分を独立して実行できるソフトウェアベースの労働力として定義しています。デジタルワーカーは、機械学習、コンピューター・ビジョン、自然言語処理などの人工知能機能を活用して、所定のワークフローの中で一連のタスクを実行します。例えば、買掛金を扱うデジタルワーカーは、カスタマー・サービス担当、請求担当、入金消込担当または異議解決担当という3つの従来の職務の一部を自律的に遂行してOrder to Cash(OTC)プロセスを完了できる可能性があります。デジタルワーカーを活用すると従業員のキャパシティーが増えます。このためデジタル・トランスフォーメーションの取り組みを通じてデジタルワーカーは広く導入され、企業はより戦略的なタスクに労働力を再配置できるようになりました。
デジタルワーカーを導入する際、設計者は自動化できるプロセスと人間の要素の両方を考慮します。具体的には、デジタルワーカーが従業員とどのようにやり取りしながらインテリジェントなワークフローを最適化できるかを考慮します。
そこからのプロセスは、通常以下のような流れになります。
Ocashは、入金消込処理を専門とするデジタルワーカーであり、財務・会計部門にとって最新の戦力です。会社の業務の中でどの職種にあたるかを検討してデジタルワーカーを配置することは、多くの場合に有用です。
Ocashを作成するために、IBMのサービス・チームは最初に、ワークフローがもたらす成果を意識しました。ERPシステムからデータを取得して、OTCのプロセスを分解し、その構成要素を特定しました。そこから、チームはプロセスの中で手作業が特に多い側面の1つに焦点を当てました。チームは、自動化が可能なタスクは自動化し、引き続き人間の作業が必要なタスクは拡張しました。
Ocashは、自動化に最適なタスクを実行するように設計されており、必要な場合にのみ人による手作業を介入させます。一方、Ocashの設計者は、これらのやり取りをプロセスを最適化する機会として利用しました。例えば、プロセス開始時の顧客との請求書の正確性の確認作業を自動化すると、後で発生する支払い紛争の数を大幅に削減できます。
デジタルワーカーはデジタル・タスク以外への拡張も可能ですが、さまざまなビジネス機能のサポート業務で主に活用されています。例としては、次のようなものがあります。
デジタルワーカーはプロセスの効率を向上させますが、デジタル労働力を導入する中で課題が生じることがあります。成功を阻む障壁には次のようなものがあります。
AIとIBM Automationによりビジネスを再構築することで、ITシステムをより事前対応できるようにし、プロセスをさらに効率化して従業員の生産性を高めます。
IBMは、エクストリーム・オートメーション・コンサルティング・サービスにより、企業顧客のビジネス・トランスフォーメーションを実現します。
IBM Cloud Pak for Business Automation は、運用管理と自動化のための統合ソフトウェア・コンポーネントのモジュール式セットです。