再生可能エネルギーはクリーン・エネルギーとも呼ばれ、太陽、水、風など、消費されるよりも早く生成および補充される天然資源から生産されます。ほとんどの再生可能エネルギー源は、二酸化炭素排出量がゼロで、大気汚染物質も最小限に抑えられています。一方、化石燃料(石油、石炭、天然ガス)は有限の資源であり、燃焼時に二酸化炭素(CO2)やメタンなどの有害な温室効果ガス(GHG)を排出します。これらは気候変動、特に地球温暖化の主な原因であると広く考えられています。
利用可能な再生可能エネルギー源の種類を理解することは、二酸化炭素排出量を削減するための重要なステップであり、組織にとっては、事業とサプライチェーンが環境に与える影響を減らすための重要なステップになり得ます。
太陽エネルギーは、効率、汎用性、回復力を提供するように進化してきました。現在、太陽光発電には主に2つの方法があります。1つは小規模な用途に使用される太陽光発電(PV)で、もう1つは主に公益事業および産業規模の用途に使用される集光型太陽熱発電(CSP)です。
ソーラー・パネルを含む太陽光発電設備には、雲の動き、天候、木の位置など、独自の課題が伴います。これらの課題を克服するために、技術が進歩を遂げ、太陽電池はより柔軟になり(ibm.com外部へのリンク)、軽量化され、設置が容易になりました。また、製造コストが低くなり、同じ量(またはそれ以上)の光を集めるのに必要なスペースがより少なくて済むことから、より強力なものになっています。
現在、太陽光発電はさまざまな産業でさまざまな用途に使用されています。個人の住宅や企業では、屋上にソーラー・パネルを設置して、自家発電する場合があります。より大規模なものでは、空き地に産業用の太陽光発電所を設置し、エネルギー支出の削減に役立てています。データセンター、病院、政府施設などは、エネルギー需要を補うために太陽光発電を利用しています。
現代的な風力タービンは1940年に建設され、それ以来、テクノロジーは着実かつ大幅に進化してきました。今日の風力タービンは、小型のもの(一戸建てや企業)から実用規模(洋上風力発電所)まで多岐にわたります。風力エネルギーは、クリーンで持続可能なエネルギーを電力供給に取り入れるための費用対効果の高い方法です。そして、野生動物に与える影響に関して言えば、風力発電プロジェクトは他のどのエネルギー源よりも低くなっています。
地域的な風力発電は、一般的な発電にも利用されていますが、穀物の製粉や水の汲み上げにも利用されています。風力発電は、電気自動車の充電ステーションにエネルギーを供給することもできます。
2022年9月、ホワイトハウス(ibm.com外部へのリンク)は、より深い水深に設置できる大型の浮体式タービンを使って、2035年までに米国の洋上風力エネルギー生産を拡大する構想を発表しました。これにより、生産能力は2倍以上になる可能性があります。
水は最大の再生可能エネルギー源です(ibm.com外部へのリンク)。水力発電は水の動きを利用しており、世界中の再生可能エネルギーの最大の供給源となっています。海洋力や潮力、小川や河川の流れ、、貯水池やダムを利用してタービンを動かし、発電します。
発電以外にも、多くの産業が水力を事業に利用しています。例えば、鉱業では採掘を助けるために遠隔地で水を使用し、繊維メーカーや化学メーカーは、洗浄、加工、衛生管理などの工程に電力を供給するため、オンサイト水力発電システムを使用することがあります。
特に潮力発電は、まだ未開拓の可能性を秘めています。現在、次のようないくつかの潮力発電テクノロジーが研究および開発されています。
水は豊富な天然資源ですが、環境の変化に敏感です。例えば、風が弱まると波の数と力に影響を与え、干ばつ状態になると、貯水池、小川、河川の水量が減少する可能性があります。
地熱エネルギー・システムは、地球内部の熱を(高温の蒸気や炭化水素蒸気の形で)電気に変換します。地熱エネルギーから発電された電気は、さまざまな産業で利用されています。例えば、農業用温室の熱や、製造業や食品加工業の冷暖房を供給しています。地熱エネルギーは、病院や学校などの商業ビルの冷暖房にも利用されています。地中熱ヒートポンプ(GHP)は、住宅への電力供給など小規模な用途に利用されます。
大型の地熱発電所も、小規模のGHPも、他の再生可能エネルギー源に比べて、比較的小さな設置面積で済みます。さらに、地球内部の無尽蔵の熱流は、継続的に補充可能な燃料源を提供します。
バイオマスは、有機物や副産物を利用して、直接熱を供給したり、電力を発電したり、バイオディーゼルやエタノールなどのバイオ燃料を製造したりします。バイオ燃料は工業用ボイラーで蒸気を発生させて、プロセスの動力源とすることができます。また、輸送部門でも、化石燃料に取って代わる可能性を秘めています。
バイオエネルギーは、太陽光や風力エネルギーよりも安定した総発電量を提供しますが、低レベルの温室効果ガスを発生させます。これらのガスは、埋立地での使用による影響など、その他の環境への影響と相まって、バイオマス・エネルギーが本当に持続可能なものなのか疑問を投げかけています。
原子力発電は、希少で再生不可能な鉱物ウランを必要としますが、それでも低炭素排出のエネルギー源と考えられています。次世代の原子力発電所と発電機は、より小型で汎用性が高く、エネルギー効率が高いものとなっています。先進的な小型モジュール炉(SMR)は、必要性に応じてサイズを変えることができ、発電、海水淡水化、暖房などさまざまな用途があります。
原子力発電と水力発電を合わせると、世界の低炭素エネルギーの4分の3が供給されますが、安全性への懸念と運用コストのために、先進国では原子力発電が減少しています。新規投資を最小限に抑えれば、原子力発電は2040年までに3分の2減少する可能性があります(ibm.com外部へのリンク)。
どこでどのように発電されるかを理解することは、最も効果的な再生可能エネルギー戦略を決定するのに役立ちます。多くの送電網では、再生可能エネルギーと化石燃料を組み合わせて安定した電力供給を行っています。マイクログリッド(小規模で独立したネットワーク)はメイングリッドに接続し、再生可能電力や代替エネルギー源を使用して負荷のバランスを取ります。マイクログリッドは電力網の安定性と回復力を高めながら地域電力を供給するため、エネルギー供給が途絶える可能性を減らすのに役立ちます。
再生可能エネルギーには多くの選択肢があるため、人々や組織はサステナビリティーの目標を達成するために最適な選択肢を選ぶことができます。専用のオンサイト再生可能エネルギー・システム、エネルギー源をミックスして利用するグリッド、あるいは両方を組み合わせたハイブリッド・アプローチのいずれであっても、利便性、費用対効果、その他の要因に基づいて選択することができます。
IBMでは、全世界の事業所で消費されるエネルギーの64%が再生可能エネルギーです。そのうち、49%は再生可能エネルギー供給者から、15%は送電網から直接調達されています。IBMの影響の詳細については、こちらをご覧ください。
人工知能(AI)やデータ分析などのテクノロジーは、再生可能エネルギーのメリットを高めるための鍵となります。エネルギー供給の最適化を促進するためにカスタマイズされたモデルを作成するなど、エネルギー技術の合理化と自動化を支援できます。
例えば、データはエネルギー・公益事業会社に計り知れない価値をもたらします。デジタル資産を含む運用資産のパフォーマンスと健全性、メンテナンス、修理、交換のスケジュールに関する洞察は、電力を維持する上で重要です。AIを統合することで、問題の根本原因を掘り下げる新たな洞察を活用し、また予知保全のフレームワークを構築することで、エネルギー・公益事業のオペレーションをさらに最適化することができます。Bruce Power社が IBM® Maximo Application Suiteを使用して構築されたダイナミックなエンタープライズ資産管理(EAM)プラットフォームにより、どのように未来を管理しているかをご覧ください。
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