ベンジャミン・フランクリンはかつて、「計画を立てないことは、失敗を計画しているのと同じことだ」と言いました。リスク軽減計画の成功に関しても、同じことが言えます。リスクを効果的に軽減する唯一の方法は、組織が段階的なリスク軽減ストラテジーを使用してリスクを分類および管理し、予期しないイベントに備えて組織が事業継続計画を確実に実行することです。
有効なリスク軽減ストラテジーを立てておくことで、組織はリスクに直面しても、しっかりと対応できるようになります。これにより、最終的には、サイバー攻撃、自然災害、事業運営が直面する可能性のあるその他の脆弱性など、ビジネスに対する脅威の悪影響を軽減できます。
リスク軽減とは、組織が直面する可能性のあるリスクの影響を軽減または排除するための行動計画を実行することです。組織が計画を立て、これを実行したら、時間の経過とともに事業が成長し進化するのに合わせて、進捗状況を継続的に監視し、変更を加える必要があります。サプライチェーンのあらゆる側面に目を向け、ビジネス全体にわたるリスクに対処することが重要です。
リスクは業界によって大きく異なりますが、一般的に認識されている注目すべきリスクがいくつかあります。
コンプライアンス・リスク: 組織が内部および外部の規則に違反し、その評判や財務が危険にさらされるリスク。
法的リスク:組織が政府の規則に違反し、金銭的損失や評判の損失につながるコンプライアンス・リスク。
オペレーション・リスク:プロセスの失敗や欠陥により、組織の日常業務に損失が発生するリスク。
組織がリスク軽減計画を立てるために実行できる工夫や手法はいくつかあります。ただし、組織は他の組織をそのままコピーしないように注意する必要があります。ほとんどの場合、企業には独自のニーズがあり、成功するためには独自のリスク軽減計画を立てる必要があります。
時間をかけて強力なリスク軽減チームを構築し、ストラテジーを考え、効果的な計画を立てることが重要です。このリスク軽減計画では、各リスクの影響を評価し、重大度に基づいてリスクに優先順位を付ける必要があります。計画は必要に応じて異なりますが、成功するリスク軽減ストラテジーを構築するための5つの重要なステップは次のとおりです。
あらゆるリスク軽減計画の最初のステップは、リスクの特定です。この最初のステップに最適なアプローチは、各リスクを徹底的に文書化し、リスク軽減プロセス全体を通じて文書化を継続することです。
事業のあらゆる側面から関係者を集めて意見を出してもらい、プロジェクト管理チームを設置します。リスクを明らかにし、できるだけ多くのリスクを見つけるには、できるだけ多くの視点が必要です。
組織内のすべてのチーム・メンバーが重要であることを覚えておくことが重要です。潜在的なリスクを特定する際には、メンバー一人ひとりの意見を尊重することが重要です。
次のステップは、最初のステップで特定された各リスクのリスク・レベルを定量化することです。このステップは計画全体の基礎を築くため、これはリスク軽減計画の重要な部分です。
評価段階では、各リスクを相互に測定し、各リスクの発生確率を分析します。また、サイバーセキュリティーや運用リスクなどのリスクが発生した場合に組織が直面する被害の程度も分析します。
リスクが特定・分析されたら、次に、重大度に基づいてリスクをランク付けします。重大度は、前のステップで明確にしているはずです。
優先順位付けの一環として、組織の一部を保護するため、別の部分で一定のリスクを受け入れることが考えられます。このトレードオフは、組織がさまざまな領域にわたって複数のリスクを抱えており、許容可能なリスクレベルを確立している場合に発生する可能性があります。
組織がこのしきい値を確立すると、組織全体のビジネス継続性に必要なリソースを準備し、リスク軽減計画を実行できるようになります。
ベースができたら、いよいよ実行です。この段階までに、詳細なリスク軽減策と管理計画を立てておく必要があります。後は、リスクに対処し、継続的に監視することだけです。
組織が常に変化しているのと同様に、ビジネス・ニーズも変化し続けています。したがって、組織が各リスク、そのカテゴリー、および対応する軽減ストラテジーを長期にわたって追跡するための強力なメトリクスを持つことが重要です。
ミーティングでリスクについて話し合うか、リスク・プロファイルの変化を追跡するために統計ツールを使用することをお勧めします。
リスク軽減ストラテジーの最後のステップは、計画を実施し、モニタリングとメトリクスに基づいて有効性について再評価することです。常に評価し、適切と思われる場合には変更する必要があります。
リスク軽減ストラテジーを分析して、それが最新であり、最新の規制およびコンプライアンス・ルールを遵守し、ビジネスにとって適切に機能していることを確認することが重要です。何か急激な変化やリスクの高いイベントが発生した場合に備えて、緊急時対応計画を策定する必要があります。
以下のリスク軽減ストラテジーは多くの場合、ビジネスリスクと組織への潜在的な影響に応じて、並行して使用されています。
リスクの受け入れ:このストラテジーでは、報酬がリスクを上回る可能性を認識している場合にとられます。恒久的なストラテジーとする必要はありませんが、ある期間においては、ストラテジーとして他のリスクや脅威を優先したほうがよい場合も存在します。
リスク回避:リスクの発生を回避する措置を講じることにより、リスクを軽減する手法です。このアプローチをとると、他のリソースやストラテジーに支障をきたす場合があります。
リスク・モニタリング:このアプローチは、組織がリスク軽減のための分析を完了し、リスクが発生する可能性や発生した場合の影響を軽減するための措置を講じることを決定した後に実施されます。リスクがなくなるわけではありません。むしろ、リスクを受け入れ、損失を抑制し、損失の拡大を防ぐためにできる限りの手段をとることに重点を置いています。
リスク移転:リスク移転とは、リスクを第三者に転嫁することです。このストラテジーでは、リスクが組織から別の当事者に移転されます。多くの場合、リスクは保険会社に移ります。この例は、物的損害または人身傷害をカバーする保険商品を購入することです。
今日の企業は、金融犯罪や詐欺との闘い、金融リスクの管理、テクノロジーや事業運営におけるリスクの軽減など、多くの課題に直面しています。そのため、リスク評価の実施、規制準拠、コンプライアンスの達成のためのプログラムを強化しながら、成功するリスク管理ストラテジーを策定し、実行する必要があります。
IBMは、自社の統合テクノロジーと、規制に関する深い専門知識、そしてIBM傘下のPromontory社のマネージド・サービスを組み合わせたサービスを提供しています。スケーラブルな運用とインテリジェントなワークフローを使用し、IBMはクライアントが優先順位を達成し、リスクを管理し、金融犯罪や詐欺と闘い、監督上の要件を満たしながら変化する顧客の要求に対応できるよう支援します。
リスク管理と軽減サービスの詳細はこちら