教育によって収入に差があるのか、SPSSで分散分析をしてみた
教育は個人の収入に大きな影響を与える要因の一つです。一般的には、高い学歴を持つ人ほど高収入を得る傾向にあるとされています。しかし、この関係は一様ではなく、他の要因(地域、職業、産業など)も関与してきます。そこで、分散分析などの平均の差を検定することで、教育と収入の関係が統計的に有意であるかどうかを検証することができます。
教育は個人の収入に大きな影響を与える要因の一つです。一般的には、高い学歴を持つ人ほど高収入を得る傾向にあるとされています。しかし、この関係は一様ではなく、他の要因(地域、職業、産業など)も関与してきます。そこで、分散分析などの平均の差を検定することで、教育と収入の関係が統計的に有意であるかどうかを検証することができます。
分散分析(Analysis of Variance, ANOVA)は、複数のグループ間で平均値に統計的に有意な差があるかどうかを検証するための統計手法です。この手法は、グループ間の変動とグループ内の変動を比較することで、グループ間の差異が偶然によるものか、他の要因によるものかを判断します。
当コラムではSPSS Statistics を使って、以下のように順を追って実施していくことで様々な角度から検証をしていきます。
今回使用するデータは下記のようなデータです。
分析を始める前にデータを絞り込んだり尺度を変更して、分析を行いやすいように準備をします。世帯全体の収入のヒストグラムを見ると長い尾を引いたグラフになっていて外れ値が多いことが確認できます。このような外れ値は平均などの値に大きな影響を与えてしまうので分析から除外することがあります。今回は世帯全体の収入が200,000ドル以上のデータは分析から除外することにします。
※ヒストグラムは 「グラフ」メニュー のヒストグラムからご確認いただけます。
2.IF条件が満たされるケースを選択しIFのボタンをクリックします。
3.式に 「収入<=200」 と入力します。
4.タブをデータビューから変数ビューに切り替えます。
5.「教育」 の尺度をスケールから順序に切り替えます。
中学、高校、大学、大学院と教育レベルが上がるにつれて世帯収入も上がっていくことが確認できます。
今度は箱ひげ図を用いてデータの分布を視覚的に表現してみましょう。
1. 「グラフ」メニューからグラフボードテンプレートを選択。
2. 世帯全体の収入 と 教育のレベル を同時に選択し右側の 箱ひげ図 をクリック。
箱ひげ図で視覚的に確認すると大学院はほかの4つと比べて世帯収入が高い印象がありますね。
箱ひげ図(Box Plot)は、データの分布を視覚的に表現するためのグラフです。データの中央値や四分位範囲、最小値、最大値、及び外れ値を示すことで、データの特性を一目で理解することができます。
1.箱(ボックス):
2.中央値(第2四分位数、Q2):
3.ひげ(ウィスカー):
4.外れ値(アウトライア):
男性、女性等の性別によって世帯収入に差があるかどうか調べてみましょう。
1.「分析」メニューから平均値と比率の比較、そして独立したサンプルのt検定を選択。
2.**検定変数 **に「世帯全体の収入」を、**グループ化変数 **に「性別」を設定。
グループ統計量を確認すると男性の方が平均が高いです。しかしこの差は統計的に有意なのでしょうか。もう少し詳しくみてみましょう。独立サンプルの検定の欄で「等分散性のためのLeveneの検定」を見ると有意確率が0.01で0.05を下回っているので分散が有意に異なるといった結果になります。したがって「等分散を仮定しない」の行を見ることにします。「二つの母平均の差の検定」を見ると両側検定の値(両側p値)が0.05を上回っているので有意な差はないと判断できます。つまり男性と女性の収入の平均に有意な差はないことになります。
単一の独立変数(要因)に対して、複数のグループの平均値を比較する手法です。
教育のレベルによって世帯収入に統計的に有意な差があるかどうか確認してみましょう。
3.「分析」メニューから平均値と比率の比較、そして一元配置分散分析を選択。
4. **従属変数リスト**に「世帯全体の年収」を、**因子**に「教育のレベル」を設定。
分散分析の有意確率を見ると0.05未満なので有意な差があると判断できます。
分散分析は、複数のグループ間の平均値の差を統計的に評価するための強力なツールです。この手法を正しく理解し、適切に適用することで、データに基づいた客観的な判断を行うことが可能になります。分散分析をマスターすることで、データ分析のスキルを一段と向上させることができるでしょう。
本記事は、株式会社AITの許諾を得て転載しています。
原題:「分散分析(平均の差の検定) SPSS Statisticsによる実践解説」
※当社にて一部改編を行っています。 詳細は元記事をご確認ください → 【出典元リンク】