モンテカルロ・シミュレーション

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モンテカルロ・シミュレーション

モンテカルロ・シミュレーションは、乱数サンプリングを繰り返し実行することによって、ある範囲の結果が発生する可能性を算定する計算アルゴリズムです。このページでは、モンテカルロ・シミュレーションの概要、仕組み、使用方法、リスク分析とモンテカルロ・シミュレーション用に最適化されているIBM SPSS StatisticsなどのIBM製品について解説します。

モンテカルロ・シミュレーションの概要

モンテカルロ・シミュレーションは、ある不確実な事象について起こりうる結果を推定するために使用される、数学的技法です。モンテカルロ法、また多重確率シミュレーションとも呼ばれています。 この技法は、不確実な状況下での意思決定を改善するために、第二次世界大戦中にJohn von NeumannとStanislaw Ulamによって考案されました。 ルーレット・ゲームと同様に偶然の要素が中核となっているモデリング・アプローチであることから、カジノで有名なモナコ公国の地区にちなんで命名されています。

これまで、モンテカルロ・シミュレーションは、人工知能、株価、販売予測、プロジェクト管理、価格設定など、多くの現実的なシナリオにおけるリスクの影響の評価に使用されています。 また、固定入力値による予測モデルと比較して、感応度分析が可能である、入力の相関を算出できるなど、多くの点で優れています。 感応度分析を使用すると、意思決定者は特定の結果に対するそれぞれの入力の影響を確認できます。また、相関を算出すると、入力変数間の関係を理解できます。

モンテカルロ・シミュレーションの仕組み

モンテカルロ・シミュレーションでは、通常の予測モデルとは異なり、固定入力値のセットの代わりに一連の推定値を使用して、一連の結果を予測します。 このつまり、モンテカルロ・シミュレーションでは、固有の不確実性を持つ任意の変数について、一様分布や正規分布などの確率分布を活用することによって、発生可能な結果のモデルを構築します。 そして次に、その一連の結果を繰り返し再計算します。使用する乱数のセットは、最小値から最大値までの範囲の中内から、計算ごとに異なるものを抽出します。 典型的なモンテカルロ実験では、発生可能な結果を数多く得るために、この演算が数千回も繰り返されます。

モンテカルロ・シミュレーションはその正確性から、長期予測にも活用されています。 入力の数が増えるにつれて、予測の数も増大するため、時間をかけるほど結果をより正確に予測することが可能になります。 モンテカルロ・シミュレーションが完了すると、発生可能な結果の範囲と、結果ごとの発生確率が導出されます。

モンテカルロ・シミュレーションの単純な例として、2つの標準的なサイコロを振って出る目の確率の計算について考えてみましょう。 サイコロの目には36の組み合わせが存在します。 これに基づいて、特定の結果の確率を手動で計算することができます。 しかし、モンテカルロ・シミュレーションを使用すると、サイコロを1万回(またはそれ以上)振るシミュレーションを行うことができるため、より正確な予測を導出できます。

モンテカルロ法の使用法

どんなツールを使用する場合でも、モンテカルロ・シミュレーションの技法は、次の3つの基本ステップに分けられます。

  1. 予測モデルをセットアップします。予測の対象とする従属変数と、予測の要因とする独立変数(入力、リスク、または予測変数とも呼ばれる)の両方を識別する必要があります。
  2. 独立変数の確率分布を指定します。 過去のデータまたは分析者の主観的判断に基づいて、一連の発生可能な値を定義し、それぞれに確率の重みを割り当てます。
  3. シミュレーションを繰り返し実行し、独立変数の乱数値を生成します。 結果が十分に収集されるまで続行して、無限に近い数の発生可能な組み合わせを代表する、サンプルを構成します。

モンテカルロ・シミュレーションは、データをシミュレートするために使用する基礎パラメーターを変更することによって、何回でも必要なだけ実行できます。 しかし、散らばり具合の測定方法として一般的に使用されている分散と標準偏差を求めることによって、サンプル内の変動範囲を算出することも可能です。 ある変数の分散は、変数とその期待値の差を二乗して得られた値の期待値です。 標準偏差は分散の平方根です。 通常は、分散が小さいほどよいとされます。

モンテカルロ・シミュレーションの実行方法の詳細についてはこちら(IBM外部へのリンク)をご覧ください。

モンテカルロ・シミュレーションとIBM

モンテカルロ・シミュレーションは、Microsoft Excelなど、さまざまなツールで実行できます。しかし、最適なツールは、リスク分析とモンテカルロ・シミュレーション用に最適化されている IBM SPSS Statisticsを始めとする、高度な統計ソフトウェア・プログラムです。 IBM SPSS Statisticsは、強力な統計ソフトウェア・プラットフォームです。この製品が提供する堅牢な機能のセットにより、組織のお客様はデータから実用的な洞察を導出できます。

SPSS Statisticsでできること

  • 使いやすいインターフェースにより、データの分析と理解が向上し、ビジネスや調査における複雑な問題を解決することが可能になります。
  • 高度な統計プロシージャーを使用して、大規模で複雑なデータ・セットをより迅速に理解し、高精度で高品質の意思決定の実現に役立てます。
  • 拡張機能、Python、Rプログラミング言語のコードを使用して、オープンソース・ソフトウェアと統合できます。
  • 柔軟な実装オプションで、ソフトウェアをより簡単に選択して管理します。

例えば、SPSS Statisticsのシミュレーション・モジュールを使用してさまざまな広告予算額をシミュレートし、総売上高へのそれぞれの影響を確認できます。 シミュレーションの結果に基づいて、総売上目標を達成するために広告費用の増額を決定することになるかもしれません。 IBM SPSS Statisticsを使用したモンテカルロ・シミュレーションの詳細については、こちら(IBM外部へのリンク)をご覧ください。

IBM Cloud Functionsも、モンテカルロ・シミュレーションに役立ちます。 IBM Cloud Functionsは、入力事象への応答としてコードを実行する、サーバーレスのFunctions-as-a-Serviceプラットフォームです。 IBM Cloud Functionsを使用したモンテカルロ・シミュレーションの全工程は、わずか90秒で完了しました。その間に行われた並行呼び出しは、1,000件です。 IBMのツールを使用したモンテカルロ・シミュレーションの詳細については、こちらをご覧ください。

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