ITサービス・マネジメント(ITSM)

menu icon

ITサービス・マネジメント(ITSM)

顧客および利用部門が必要とする方法で、ITサービスを確実に提供することを目指します。

ITサービス・マネジメント(ITSM)とは

ITサービス・マネジメント(ITSM)とは、エンド・ユーザーのニーズとビジネス目標に対応するITサービスを計画して、継続的に提供およびサポートすることです。

この定義では、エンド・ユーザーには、社員、顧客、ビジネス・パートナーなどが含まれます。 ITサービスには、企業がユーザー向けに提供するすべてのハードウェア、ソフトウェア、コンピューティング・リソースがあります。ここには、企業のノートPC、ソフトウェア資産、Webアプリケーションから、モバイル・アプリケーション、クラウド・ストレージ・ソリューション、開発用仮想サーバー、その他のサービスまで、あらゆるものが含まれます。

ITSMは複雑な分野ですが、その意図する目標は、社内のすべてのユーザー向けに、個々のすべてのITリソースの最適な導入、運用、管理を可能にし、維持することです。 この記事は、このテーマの基本的な理解を目標として書かれています。 

ITILとは  

ITIL(Information Technology Infrastructure Library)とは、ITSMの実装と文書化のために最も広く採用されているベスト・プラクティスのガイダンス・フレームワークです。 これは実際のライブラリーであり、最新バージョンのITIL 4は、34のITSMプラクティス(ITIL 3の26から増加)について説明する5つのカテゴリーに分類されます。 ITILフレームワークは、以下のカテゴリーで記述されます。

  1. サービス戦略。ITSMプロセスのライフサイクル(ITサービス・ポートフォリオの設計、開発、実装、管理)全体と、これらのサービスの費用と予算の決定、サービスに対する将来的な需要の予測に焦点を当てます。
  2. サービス設計。ユーザーに関する可用性、セキュリティー、サービス・レベル・アグリーメント(SLA)と継続性(バックアップと災害復旧のサービスを含む)などのビジネス要件に関するサービスとプロセスの設計を扱います。
  3. サービス移行。サービスの品質とパフォーマンスへの影響を最小限に抑えながら、新規サービスまたは変更されたサービスに移行するためのベスト・プラクティスを記述します。
  4. サービス運用。(ユーザーまたは部門からの)サービス要求の実行、問題とインシデントへの対応、サービスへのアクセスの制御など、導入済みサービスの日常的な基本的管理の概要を示します。
  5. 継続的なサービス改善。ビジネス・ニーズの変化に応じてサービスを改訂または拡張するための手順を扱います。

ITLSは幅広くすべてのものを網羅しますが、企業のITSMプログラムでITLSを包括的に実行する必要はありません。企業は、必要なITILのプロセスとプラクティスのみを選択できます。

また他のベスト・プラクティスのITSMフレームワークが存在します。ITILと密接に関連しているものもあれば、ITILと連携して使用されるものも多数あります。 それには、以下が含まれます。

  • BiSL(Business Information Services Library)。ユーザーの観点からITSMに焦点を当てています(これはしばしば「需要」の観点と呼ばれます)。
  • COBIT(Control Objectives for Information and Related Technologies)。制御とガバナンスに重点を置いています。
  • ISO/IEC 20000。サービス・マネジメントの最初の国際標準です。
  • MOF(Microsoft Operations Framework)。ITILの代替となる選択肢です。
  • シックス・シグマ。統計的に高いレベルの製品品質の達成を目標とする、IT組織、製造などのプロセスを管理するためのツール・セットです。

ITSMの主要なプラクティスと概念

34のITSMプラクティスすべてを1つの記事で確認することはできませんが、最も頻繁に採用される重要なプラクティスに言及することはできます。

  • インシデント管理:ITSMに関していえば、インシデントとは計画外の停止またはサービスの中断を意味します。 インシデント管理では、ユーザーとビジネスへの影響を最小限に抑えながらサービスを復元することを目的として、インシデントに対応するプロセスを定義します。
  • 問題管理:これは、インシデントの根本原因だけでなく、根本原因につながる要因を特定して対処し、それを排除するための最良の方法を決定するプロセスです。
  • 変更管理:ITにおいて、変更は常に存在するものです。 変更管理(変更の有効化とも呼ばれます)とは、ITサービスの中断、コンプライアンスの問題、その他重要なシステムへの変更から生じる可能性のあるリスクを最小限に抑える確立されたプロセスとプラクティスを指します。
  • 資産と構成の管理:これは、サービスの提供に使用されるソフトウェア資産とハードウェア資産(物理サーバーと仮想サーバー、オペレーティング・システム、ノートPC、モバイル・デバイス)の構成を承認、監視、文書化するためのプロセスを定義します。 CMDB(構成管理データベース)は、資産と構成の重要な管理ツールです。これは、すべてのIT資産とそれらの資産の間の関係を管理する中央リポジトリ-として機能します。
  • サービス要求の管理:これは、個々のユーザーまたはビジネス領域からの新規サービスに対する要求を処理するためのプロセスに関連します。 ここには、新しいノートPCに対する社員の要求から、ポータルへのアクセスに対するパートナーの要求、またはSaaS(Software-as-a-Service)アプリケーションの複数の新規利用者の許可に対する部門からの要求まで、すべてが含まれます。 チケット発行ワークフローの自動化とサービス要求管理における「セルフサービス」機能が拡大するに従い、企業にとっての潜在的なメリットも大きくなります。
  • サービス・カタログ: ユーザーがセルフサービスでITサービスを利用できるようにするためのメニューまたはポータルです。
  • 知識管理:組織や拡張企業(顧客やパートナーを含む複数の企業によるネットワーク)全体でITサービス関連の知識を生成し共有するプラクティスです。 このプラクティスの重要なツールは通常、検索可能で継続的に更新されるセルフサービスの知識ベースです。
  • サービス・レベル管理:さまざまなユーザー・グループに必要な、または望ましいサービス・レベルに同意し、それらのレベルを満たすか、レベルが満たされていない場合にユーザーに「補償」を行うプラクティスです。 通常、合意されたサービス・レベルは、サービス・レベル・アグリーメント(SLA)に記載されています。これは、基本的にIT部門とユーザーまたは企業の間の契約として機能します。
  • ITサービス・デスク:ITSMでは、ITサービス・デスクは標準のヘルプデスクの上位互換であり、すべてのインシデント、問題、要求の対応と管理のための単一の窓口(SPOC)として機能します。 ITサービス・デスクはまた、ITSMの基盤でもあります。ここで、すべてのインシデント報告、問題報告、サービス要求が開始され、ユーザーがそれぞれの進捗を追跡できます。 このサービス・デスクは、ITSMに関連するソフトウェア・ライセンス、サービス・プロバイダー、サード・パーティーの契約を処理します。 このサービス・デスクは多くの場合、ITSM関連のセルフサービス・ポータルと知識ベースの運用と保守を行います。

ITSMのメリット

ITSMの目標は、ITサービスがユーザーとビジネスのニーズを満たす方法で機能することを保証することです。 したがって、厳格なITSMアプローチが、重要なビジネス上のメリットという結果を頻繁にもたらすのは当然のことです。

  • ITSMを使用すると、ITチームは、予期しないイベント、新しい機会、競争上の脅威に対して、迅速かつ機敏で問題を生じない対応を簡単に行うことができます。
  • ITSMは、システム・パフォーマンスの向上、可用性の向上、サービスの中断の削減を可能にすることで、ユーザーがより多くの作業をし、企業がビジネスにさらに集中できるよう支援します。
  • ITSMは、インシデントの解決を体系的にスピードアップし、インシデントと問題を減らし、さらには問題を自動的に防止または解決することで、企業がより少ないコストでITインフラストラクチャーからより多くの生産性を得られるよう支援します。
  • ITSMは、企業が現実的なサービスへの期待を設定して、それに応えるために役立ち、透明性とユーザー満足度の向上につなげます。
  • ITサービスの設計、提供、管理にコンプライアンスを組み込むことにより、ITSMはコンプライアンスを向上し、リスクを軽減できます。

IT部門の場合、ITSMは、ビジネス戦略に沿った、生産性が高く、効果的でコスト効率の高いサービス企業を継続的に実現します。IT部門は、ますます企業の成功の重要な部分になりつつあります(そして、企業の問題の原因はますます少なくなっています)。

ITSMのツールとソフトウェア

この記事の執筆時点では、150を超えるITSMソフトウェア・ツールが市場に出回っており、企業がベスト・プラクティスのフレームワークや選択したフレームワーク内でITSMを実装し、さらには自動化するために役立てられるよう設計されています。

以下に、ツール選択基準のごく一部をリストします。

  • サービス・デスクはITスタッフとユーザー/事業部門間のインターフェイスとして機能するため、ツールが堅牢なITサービス・デスクをサポートしていることを確認してください。
  • IT資産管理、変更管理、知識管理、サービス・カタログの統合、インシデント管理、問題管理など、使用する、または使用する予定のすべてのフレームワークの実践領域に対応する機能を備えたツールを選択してください。
  • プロジェクト追跡ソフトウェアやコラボレーション・ツール、ERPシステムなど、IT環境の他のツールと統合できるツールを選択してください。
  • チケットの量の傾向やインシデントへの対応と解決時間、サービス・レベルのコンプライアンス統計など、重要業績評価指標(KPI)に基づいて、サービスの提供と品質をリアルタイムで監視するために役立つ、グラフィカル・ダッシュボードと構成可能なメトリックとレポートを備えた、実装しやすいツールを探します。

最も重要なことは、急速に変化する環境を処理できるツールを選択する必要がある、ということです。 つまり、ツールが1日に1回変化する環境を処理するよう構築されている場合、それらは十分に最新であるとは言えません。 最新のツールは、問題をほぼリアルタイムで識別、分析、修正、検証できる必要があります。

ITSMと人工知能(AIOps)

人工知能(AI)は急速に多くのビジネス・プロセスの一部になりつつあり、ITSMも例外ではありません。 最近のガートナー社の調査(IBM外部へのリンク)は、AIを実装する企業数が過去4年間で270%増加したことを指摘しています。これらの企業の半数以上はまた、何らかの形のITSM向けAIを検討するか、適用しています。

長期的に、ガートナー社は、より多くのITSMツールが、AIによるIT運用(AIOps)を組み込むだろうと予期しています。同社は、AIOpsを運用環境全体にわたる機械学習アプリケーションとして定義しています。 これには、モニタリングとITSMが含まれます。 AIを複数のソースからのデータに適用することにより、AIOpsは、停止の予測、イベントの優先順位付け、根本原因分析の向上に役立つことが期待されています。

IBMのAIOpsソリューションの詳細をご覧ください。

ITSMのお客様事例

以下は、ITSMソリューションが企業に価値をもたらした3つの事例です。

  • 知識管理を自動化することで、Cognizant社のアプリケーション・バリュー・センターは、ヘルプ・デスクのチケット量を最大80%削減し、インシデント・チケットを解決するための平均時間を40%近く短縮しました。
  • Serima Consulting GmbHは、ドイツの原子力と化石燃料から再生可能資源へのエネルギー政策変換の一環として、スマートな電力グリッド管理ソリューションの開発を支援しました。 Serima社のITSMソリューションは、グリッド・インフラストラクチャー全体にわたる単一のサービス管理の視点を可能にし、ドイツ全土で同様のスマート・グリッド・プロジェクトを導く「灯台」プロジェクトとして機能します。
  • オーストラリアのシドニーにあるSt Vincent's Health(01:27)は、医療スタッフがモバイル・デバイスでインシデントを開始し、病院が最初の電話でチケットの50%以上を解決できるようにするITSMソリューションを実装しました。

ITSMの将来

ITSMソリューションは、それを使用する組織のニーズとテクノロジーが進化するにつれて変化し続けます。 今後数年間で、次のことを目にする可能性があります。

  • モノのインターネット(IoT)のサポート:IoTに接続されたデバイスは、ますます普及し、多様化しています。ハードウェアとネットワークのインフラストラクチャー、電気器具、さらには配送車両もすべて接続されています。 これらのデバイスは、動作ステータス、場所、動きなどの貴重なデータを継続的に収集します。 ITSMソリューションは、問題解決とビジネス上の意思決定を向上するために、そのデータの監視と使用を開始する必要があります。 インターネットに接続されたセンサーから受け取った情報を組み込むことで、ビジネスについてさらに深い洞察を得ることができます。
  • ソーシャル・メディア統合:ITSMツールでは、ユーザーをツールに適応させるのではなく、通信チャネルをユーザーに適応させることを始めています。 これは、チケットを記録してサポートを追跡する方法として、Twitter、Facebook、Slack、Instagram、SMSメッセージなどのソーシャル・メディア・チャネルを採用するということです。 ソーシャル・メディアの統合により、企業は顧客のセンチメントをより適切に測定できるようになります。

ITSMとIBM Cloud

IBM の ITSM ポートフォリオには、ベスト・プラクティス・ベースのサービス・デスク機能を提供するIBM Control Deskと、複雑なワークロードを自動化するためのIBM Workload Automationが含まれています。 IBM Cloud Pak for Watson AIOpsには、統合されたアプリケーション・パフォーマンス管理や分析などの主要なITSM機能が含まれており、企業がツールチェーン全体でデータを相互に関連付け、インシデントをより迅速に識別して解決し、自信を持って自動化するために役立ちます。

チームが現在と将来のユーザーの期待とビジネス目標を達成する際にどのツールが役立つのか判断するために、詳細をご覧ください

開始するには、IBMidを登録し、IBM Cloudのアカウントを作成してください。