現在、S/4HANAを動かしているLinuxはパッチ適用やデータバックアップなど、AS/400と比べて多くの運用保守の作業が必要です。それらを全てIBMに任せることができたのは大きなメリットです。これがオンプレミスの自社運用だったとしたら、今の運用担当者の人数では回せなかったのではないでしょうか

株式会社東京精密 情報システム室 システム管理チーム 主査 上岡 孝行氏

ビジネス上の課題

東京精密は、トップシェアを誇る半導体製造装置と精密計測機器の製造・販売を支える基幹システムを1999年に構築し、本社サーバー室に設置したAS/400で運用してきました。同システムは原価管理、生産管理、販売管理、会計管理の機能を有しますが、構築から長い年月を経たことから利用していたパッケージソフトの保守期限切れ、AS/400での開発に対応した技術者の不足などの課題が生じていました。また、経営層からは夜間バッチ処理に合わせて行っていた月次決算の早期化を求める声も強まっていました。そこで、同社は「タイムリーな経営判断/業務アクションに資する情報の提供」「デジタル時代に備えた筋肉質な基幹システムへの移行など」などを目的に基幹システムの刷新を決断します。

概要と経緯

東京精密は、パッケージ製品の標準機能と最小限のアドオンでシステムを実現するという方針を掲げ、インフラについては少数精鋭の情報システム部門の負担を最小限に抑える目的でクラウドや運用管理の外部委託も視野に入れてソリューションの選定を行います。その結果、ERPパッケージ製品として「SAP S/4HANA」、その運用環境としてクラウドインフラからSAPのBASIS運用までがパッケージングされたIBMのSAPマネージド・サービスを採用しました。同社はIBMの支援を受けて導入・構築プロジェクトを進め、IBM Cloudの東京データセンター(DC)とオーストラリアDCを利用したDR構成による新基幹システムが完成します。

効果と今後の展望

東京精密はSAP S/4HANAによる新基幹システムで業務の見直しや改革を進める中で、すでに多くの成果を得ています。例えば、これまで独自の方式で行っていた原価計算をS/4HANAの標準に合わせることで大きくシンプル化し、従来は製番を軸に回していた生産管理から販売管理までの業務を注文書単位へと大きく変革したほか、月次の単体決算も従来よりも2日早く終えられるようになりました。また、SAPのマネージド・サービスを採用したことで、運用負担の大幅な軽減も実現できたと担当者は評価します。今後はS/4HANAに蓄積したデータを、各部門で進めるデジタル改革や経営情報を提供するマネージメントダッシュボードの拡充、営業活動の強化などで活用していく計画です。

[製品・サービス・技術 情報]
当事例で使用されている主な製品・サービスは下記の通りです。
IBM Services- Application Management for SAP Solutions on IBM Cloud
クラウド構築サービス
ネットワーク導入支援サービス
SAP導入支援サービス

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