金融サービスにおけるクラウド・コストの最適化

The Standard社はIBM Apptioを使用して事業戦略に沿ったIT支出を行っています
自宅でファイナンシャル・アドバイザーと相談する高齢者
コストの透明性が限られている

大手金融サービスおよび保険プロバイダーであるThe Standard社は、収益性の高い成長目標を達成するために、デジタル・トランスフォーメーションと戦略的買収という2本柱の戦略を展開しました。これには、退職金商品のイノベーション、データ・プラットフォームの強化、保険販売およびサービス機能のデジタル化に重点を置いた変革への多額の投資が必要になります。

The Standard社の事業部門とITチームは強力なパートナーシップを築いていますが、テクノロジー支出の主な推進要因に関する透明性の欠如が、実行と変革の支出のより効率的な調整の障害となっていました。そこで、The Standard社では、ベースラインをよりよく理解し、直接費用と間接費用の主な要因をより明確にする必要がありました。

「アカウント・レベルまたはカテゴリー・レベルでの分析とレポートでは、ITの運用コストについて企業に情報を提供したり、機能強化や新機能の前年比結果をより明確に示したりすることはほとんどできませんでした」と、The Standard社のIT財務および分析担当第2副社長であるDickson Kasamale氏は述べています。「こうした洞察が得られなかったため、ビジネスとITnいおける優先順位付け効率が大幅に低下していました」。

当時、The Standard社は、予算の作成、財務データの分析、テクノロジー投資に関する意思決定を行うために、従来のエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)システムと大量のスプレッドシートからの情報に依存していました。このアプローチは手作業が多く、データの正規化に課題を抱えており、支出をビジネスに適したビューや実行可能な洞察にセグメント化できないでいました。

「私の使命は、IT部門とビジネス部門のより深いレベルでの連携を促進しながら、実用的な洞察を提供し、より迅速な意思決定を可能にするコストの透明性をもたらすことでした」とKasamale氏は語ります。

80% IT財務チームは現在、時間の80%をより価値の高いタスクに充てることができている 20% IT生産性が20%向上
このような製品は、これまで見たことがありませんでした。Apptioを導入して以来、当社の財務計画プロセスの成熟度は飛躍的に向上し、その影響に関するフィードバックは素晴らしいものになりました。
Dickson Kasamale氏 IT財務および分析担当第2副社長 The Standard社
ITプランニングとデリバリー・プロセスの新たな基盤

2020年の初めから、Kasamale氏は同社のスプレッドシート中心であったプロセスをIBM® Apptio に置き換え始めました。これには、テクノロジー・ビジネス管理(TBM)タクソノミーを同社の新しいWorkday ERPシステムに体系化することが含まれ、これによりKasamale氏率いるチームは、ビジネス・リーダーが理解できる支出ツールを使用して、計画、分析、洞察の提供を行えるようになりました。

同時に、組織はクラウド・コスト管理のために IBM® Cloudabilityを、リソースおよびポートフォリオ管理のためにIBM Targetprocessをそれぞれ導入しました。これにより、同社はデジタル機能への加速する投資に対する可視性、洞察力、制御力をさらに高めることができ、最近では2件の買収における統合計画と財務ガバナンスを管理できるようになりました。

The Standard社は、これらのIBMソリューションをIT計画および提供プロセスの基盤として使用し、ビジネスに大きな成果をもたらしています。

クラウド支出を改善し、ITからより多くの価値を引き出す

連携と財務における俊敏性の向上

Kasamale氏は、Apptioを導入する前、The Standard社は戦略的領域への支出をシフトするための機会をリアルタイムで把握するのに苦労していたと言います。「ある分野への支出を控えて別の分野を優先するのは困難でした」と当時を振り返ります。「経営陣は、IT機能やポートフォリオ全体にわたって資金の優先順位付けをより効率的に行うための裁量的支出能力に関する十分な洞察を持っていなかったため、数年にわたってポートフォリオ予算の超過が発生していました」。

ニーズに合わせて焦点をシフトできるよう、ApptiはThe Standard社に投資、プロジェクト、製品、労働、計画ツールとともに、標準化されたコスト・モデルを導入しました。新しいモデルにより、The Standard社のIT財務チームは、業務時間の80%を分析、意思決定サポート、予測、洞察に集中できるようになりました。また、Apptioにより、リーダーシップ・チームは目標達成に向けてより自信を持って資金をシフトし、近年では財務目標をより一貫して達成できるようになりました。

「財務計画のセグメンテーションと洞察の質により、予算分析とストーリーテリングの基準が引き上げられました」とKasamale氏は言います。このような製品は、これまで見たことがありませんでした。Apptioを導入して以来、当社の財務計画プロセスの成熟度は飛躍的に向上し、その影響に関するフィードバックは素晴らしいものになりました。

クラウド支出をより詳細に管理する

また、The Standard社では、Cloudabilityを使用して、主にデジタル・トランスフォーメーションとコア・インフラストラクチャー・サービスによって推進され、急速に成長している支出分野であるクラウド支出の可視性を高めています。これにより、同社の製品およびアプリケーションのリーダーは貴重な洞察を得ることができ、クラウドの購入に関する意思決定を改善し、説明責任を強化できるようになりました。

Kasamale氏によれば、同社のAzureフットプリントは3年間で5倍に増加したと言います。しかも、Cloudabilityを使用してAzureの適切なサイズ設定の実行可能な機会を整理することで、潜在的な節約が明らかになり、社内のクラウド環境が適切に変更され、2023年のクラウド支出が10%削減されると予測されるため、2024年はさらによい成果が達成される見通しです。

「最大の成果は2024年に向けた順調な歩みです」とKasamale氏は語ります。「当社は1年間でAzureの有機的成長が30%促進される見込みで、Microsoft社との料金の再交渉も行いました。これまでに行ったすべての最適化と、データ・アーキテクチャーの変更に影響を与えた決定を組み合わせることで、有機的な成長の影響に対応できる軌道にあり、契約更新時には交渉するカードも揃っています」。

参考情報とプログラム管理の改善

デジタル・トランスフォーメーションは、The Standard社のビジネス戦略の一部であり、今後もその一部であり続けます。しかし、組織の持株会社構造と集中型のデリバリー・アプローチを考えると、変革イニシアチブに取り組むデリバリー・チームの管理は困難でした。

「当社の開発チームは分散しています」と、The Standard社のIT戦略およびポートフォリオ担当シニア・ディレクターのKaarina Bourquin氏は言います。「当社はウォーターフォール開発手法を取りながらアジャイル手法を実践しています。そのため、デリバリー方法に関係なく、オペレーションに関する洞察を提供できるツールとプロセスが不可欠です」。

Bourquin氏は、チームが配信方法論間で共通の言語を見つけることが重要で、能力の観点からどこに投資すべきかを理解し、最適な方法で作業を実行するために、現在と将来の両方で何を求められているかを把握する必要があると付け加えます。

「当社には専任チームと共有チームが混在しています。また、複数の事業分野にわたる複数のポートフォリオがあるため、この組み合わせ全体の容量と順序を把握し、ポートフォリオ投資、運用、保守など、実行する必要のある作業を計画しなければなりません。可視性は不可欠です」」とBourquin氏は断言します。

オペレーションの観点では、組織の複雑さにもかかわらずビジネス・リーダーが協力して作業できるように、製品指向の作業とプロジェクト指向の作業の両方を考慮しながら、戦略から価値提供までのライフサイクルをより適切に管理する方法が必要でした。

これが同社がTargetprocessに注目した1つの理由でした。もう1つは、新型コロナウイルスの感染拡大と大きく関係していました。

「私たちは、多くの担当者が参加する重要な事業計画をバーチャルに行うにはどうすればよいかを必死に考えていました」と、Bourquin氏は振り返ります。「対面中心だった会議を、どのように仮想環境に移行できるでしょうか」。

Bourquin氏は、チームのワークストリームをビジネスの優先事項に合わせるためにTargetprocessを導入したと言います。その結果、透明性が確保され、リスクや障害の特定に役立ち、最終的には、ステータス、関係者、関連する依存関係、コミットされた作業、進捗状況など、アクティブまたは完了したプロジェクトに関する情報を示す統合ワークフローをチームが把握できるようになりました。

「有言実行率…。つまり、IT組織として約束したことを実際に実行することが極めて重要です」とBourquin氏は説明します。「Targetprocessのおかげで、それを一貫して測定することが確実かつ容易になりました」。実際、有言実行率は20%向上しました。これは、より多くを実行したというだけにとどまらない改善です。コミットメントの可視性を共有することで、チームが効率的に気を散らすものを管理し、タスクをより早く達成できるようになりました。

同社がこれまでに実現したメリットは、リソースの割り当てと作業状況の追跡の2つだけではありません。Bourquin氏は、ポートフォリオ・ファンネルに新しいアイデアを追加したり、リソース割り当てのリクエストを作成したりするためのツールとして、戦略的イニシアチブのリストを管理するためにもTargetprocessを使い始めたと教えてくれました。

「現在、当社では、戦略的ポートフォリオ管理に着目しています」とBourquin氏は言います。「これこそ、当社にとってTargetprocessがその真価を発揮する箇所だと考えています。企業、ポートフォリオ、プログラム、プロジェクトの計画を考えるときは、真っ先にTargetprocessをどう活用できるかを考えます」。

次のステップと他のユーザーへのアドバイス

TBMに着手し始めたばかりの企業へのアドバイスを尋ねられたとき、Kasamale氏の回答は明白です。「躊躇している暇はありません。Apptioのコアとなる基本コンポーネントを使用しながら、アジャイルな予算レポートと支出のセグメンテーションをすぐに開始できます。そして、それは企業のリーダーが運営から成長と変革の取り組みを実現する資金配分を決定する方法を理解するのに役立ちます」。

The Standard社は、戦略的ポートフォリオ管理の完全な統合から完全なチャージバック機能の確立まで、IBMソリューションを組織に有用なプラットフォームとみなしており、将来的に大きなビジネス成果を促進するのに役立つアプリケーションであると考えています。

「IBMソリューションは、当社のITリーダーが透明性、財務の俊敏性、変革に関する差し迫った問題を解決するために欠かせないツールとなっています」とKasamale氏は明言します。「今日、ITリーダーが乗り越えなければならない課題は数多くありますが、財務上の状況を理解できない、または事業部門に財務上の状況を伝えられないということが課題であってはなりません」。

The Standard社のロゴ
The Standard社について

The Standard社(ibm.comの外へのリンク)は、団体および個人向け保険、退職プランおよびサービス、個人年金などの金融商品およびサービスの大手プロバイダーです。

オレゴン州ポートランドに設立され、本社を構える同社は、117年にわたり、人々が経済的な幸福と心の平穏を実現できるよう支援してきました。

製品・サービス IBM® Apptio(ibm.comの外へのリンク) IBM Cloudability(ibm.comの外へのリンク) IBM Targetprocess(ibm.comの外へのリンク)
テクノロジー、財務、ビジネスの連携

IBM Apptioは、コストの透明性を高め、戦略的な優先順位に基づいて支出のバランスを取り、リアルタイム分析を可能にして意思決定を迅速化するのに役立ちます。

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示されている例は、説明のみを目的として提供されています。実際の結果はお客様の設定や条件により異なるため、一般的に期待される結果を提供するものではありません。