新型コロナウイルス感染症はTAG Heuer社がオンラインで輝ける時代でした
デジタル・エンゲージメント・エンジンで混乱に立ち向かう

時代を超えたイノベーションは常にTAG Heuer S.A.の本質

161年前、Edouard Heuer氏はスイスのサンティミエ村で初めて懐中時計を販売したときもそうでした。1910年代に、秒刻みのストップウォッチとダッシュボード・クロノグラフを世界に先駆けて開発したときも、1962年にジョン・グレンが着用した腕時計を世界で初めて宇宙に送り出したときも、そして2015年に初の高級スマートウォッチを開発したときもそうです。

しかし、こうした歴史を持つ時計メーカーにとっても、近年ほど時間とイノベーションが重要になったことはありません。2020年から2021年にかけて、「プレッシャーに負けない」というTAG Heuer社のモットーは、かつてないほどその真価を問われ、真実味を帯びてきたのです。

「黙示録」と称されるほど小売業が衰退したことで、自社の専門ブティックだけでなく何千もの宝石店やデパートとつながっているブランドは、ただでさえ課題を突き付けられています。一方、消費者はデジタル販売の改善だけでなく、デジタル・エクスペリエンスや環境の改善も求めるようになりました。TAG Heuer社のような世界的高級ブランドにとって、種類の異なる販売チャネルとマーケティング・チャネルを統合する際のハードルは、想像を絶するほど膨大に感じられることがあります。

しかもそれは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが全世界を停滞させ、買い物や生活を完全に変えてしまう前のことでした。

商品化までの時間を短縮


新しいオンラインの購入プロセスを3週間たらずで開発

パーソナライゼーション


パーソナライゼーションの進んだサービスを提供し、 3倍の成長を促進

私たちは生産停止を含めて厳しい時間を経験しました。なにしろ、自宅で時計を作ることはできませんから。それでも、正直に言うと、Eコマースのおかげで、それほどひどい状況にはなりませんでした。 Beatrice Goasglas氏 デジタル&コンシューマー・エクスペリエンス担当バイスプレジデント TAG Heuer S.A.

「当面の最大の課題は不確実性ですが、私たちは適応し、機敏な動きを保っています」。TAG Heuer社のCEO(最高経営責任者)であるFrédéric Arnault氏は、2020年10月に『フォーブス』誌にこう語っています。

しかし、この1年間というものは、TAG Heuerの経営陣が長年にわたって擁護してきた新しいデジタルの方向性が強調され、加速する一方でした。

デジタル販売はブティック型にできるか

多くの点で、Arnault氏はこの画期的な転換期における理想的なリーダーです。

2020年6月に最高責任者に任命されたとき、わずか25歳だったArnault氏は、その3年前からデジタル・ストラテジーとスマートウォッチ開発を主導していました。氏は、TAG Heuerも傘下に置く高級コングロマリットであるLVMHを経営するArnault家で育っており、そのときから世界的な高級ブランドの価値観と伝統を常に高く評価しています。同時に、Arnault氏はデジタルネイティブであり、同世代の趣味やトレンドを理解している、社会に精通した若きミレニアル世代でもあります。

重要なのは、今の時代の消費者に、場所を問わず向き合うことです。オンラインでも外出先でも、ジェットスキーをしているときでも、あるいは大切にしている友人やブランドとの日々の関係のなかで「いいね」を付けているときもです。

デジタル化をさらに進めたいとTAG Heuerが希求したのは、小売パートナーに依存してきた従来の方針からは顕著な変化でした。

「顧客との関係を強化しながら、消費者直販、特にEコマースを促進したいと考えていました」と語るのは、TAG Heuer社でデジタル&コンシューマー・エクスペリエンス担当バイスプレジデントを務めるBeatrice Goasglas氏です。「それと並行して、非常に価値の高い既存の小売業者からなる世界的なネットワークを育成することは言うまでもありません。小売業者は、その専門知識の一部として既にこうしたつながりを確立しているからです」

TAG Heuer社は長年にわたり、小売業者をはじめとするB2Bパートナーとの関係の管理にSalesforce CRMを使用してきました。消費者変革戦略への取り組みにあたって、スイスとフランスにおける同社の経営陣は、消費者エンゲージメントのためにもSalesforceクラウド・プラットフォームを活用するのが最も効果的であると判断しました。

Salesforceの技術的側面と体験的側面の両方を誘導できるように、TAG Heuer社はSalesforceの統合、デザイン思考、小売業界に関する知識をあわせた専門知識を求めて、2017年にIBM iXの協力を依頼しました。IBM iXは、グローバル・デジタル・トランスフォーメーションおよびカスタマー・エクスペリエンス・デザインのコンサルタント企業です。

「私たちは、Salesforceでクロスクラウド・アプローチを取ることに決めました。Eコマース、マーケティング・オートメーション、統合、カスタマー・ケア、データ、アナリティクスなど、すべてを変革する可能性があるからです」と、TAG Heuer社のITデジタル・マネージャー、Alexandre Regard氏は語っています。「最終的には、あらゆる部門がつながります」

360度のビュー、1日24時間の体制

高級時計コミュニティーにおいては特に、これがきわめて重要なつながりです。いつ、どこで、どのように購入しても、顧客は単なる買い物客ではありません。コレクターであり、ファンであり、愛好家なのです。名高いブランドである以上、TAG Heuerはオーナーの情熱を築き、育む必要があります。Salesforceは、そのすべてを舞台裏でスムーズにつなぎ、推進する歯車となります。

「私たちには、顧客や愛好家との関係を育むためのタッチポイントがたくさんあります。時計を100本持っていても、1本しか、あるいはまったく持っていなくても」、と語るRegard氏。「Salesforceなら、各顧客の360度ビューを構築できます」

そのビューは、修理、ロイヤルティー・プログラム、口コミやインフルエンサー・キャンペーンなど、ビジネスのさまざまな側面を結び付け、推進する歯車となります。

重要なのは、あらゆるチャネルでブランドに認識されたい、声を届けたい、知られたいという愛好家の欲求を高めるパーソナライゼーションの取り組みをそれが促すことです。消費者プロフィールの強化によって、誰でもアクセスできるデジタル・サービス記録を通じて、オーナーとブティックと会社との間で修理を合理化できる機会も生まれました。

歳月、会社を待たず

2020年の冬から春にかけて新型コロナウイルス感染症が世界のほとんどを席巻したとき、TAG Heuer、IBM、Salesforceが既に2年前から取り組んできた作業は、さらにその緊急性と重要性を増すことになりました。「あらゆる国や地域が、Eコマースを開発し、それを世界中に展開することを切望していました」、とGoasglas氏は話しています。

顧客を熱狂的なファンに変えたいですか

TAG Heuer社は高級ブランドのEコマース分野に早くから参入しており、2015年には5つの市場にまたがる先駆的なサイトのグループを立ち上げました。しかし、2020年2月にページが完全に再開されるまで、それはデジタル業務の範疇でした。ちょうどその時期に、ヨーロッパと北米全土で新型コロナウイルス感染症によるロックダウンが始まったのです。今年末までには、国際的なフットプリントの95%をカバーする多言語サイトが完成する予定です。

「Eコマースを立ち上げようとすることは、時計業界においては特に、本当にリスクの高いビジネスでした」、とRegard氏は話します。靴や衣服と同様に、時計のフィット感、感触、さらには本質さえも主要なセールス・ポイントです。その名状しがたい要素を画面上でとらえるのは、確かに説明が難しいでしょう。

マーケティングへのアプローチも同じようにパンデミックの影響で変化と加速を遂げ、特にパーソナライゼーションに焦点が当たりました。

店舗に行くことも不可能になり、時間の流れさえも歪んでしまうなかで、TAG Heuerは、日常と非日常の両方の感覚を取り戻すような、パーソナル性の高い要素をとらえようと試みました。

「私たちにはまだ、誕生日や特別な瞬間があり、『大切に思っています』と伝えられる贈り物もありました」、とGoasglas氏は説明します。「私たちはコミュニケーションのとらえ方を変え、製品について話すのではなく、最終顧客を魅了して楽しませるために、幸福とマインドセットについて話すことにしました」

TAG Heuer社は、コンサルタントのIBM iXと協力して、物理的なギャップを埋められる新しいガイド付きの購入エクスペリエンスを、わずか数週間のうちに構築しました。そして、利用できるデータと自動化が増えるにつれて、新しい方法でオーナーや顧客にアプローチできるようになっています。

これは、何よりもシームレスなグローバル体験にArnault氏とTAG Heuer社が取り組んだもうひとつの例でもあります。同社は、新型コロナウイルス感染症が流行する前から、デジタルの世界に向けた高級品市場のアプローチを破壊的に革新することに着手しました。

パンデミックは別にしても、その結果は注目に値します。2020年、同社は3桁の成長を遂げました。

「私たちは生産停止を含めて厳しい時間を経験しました。なにしろ、自宅で時計を作ることはできませんから。それでも、正直に言うと、Eコマースのおかげで、それほどひどい状況にはなりませんでした」と語るGoasglas氏。「実際、回復はかなり早く、これも顧客が戻ってきていること、TAG Heuerが信頼されていることを示すきわめて前向きな兆候です」

TAG Heuer S.A.のロゴ
TAG Heuer S.A.について

1860年に創設されたTAG Heuer S.A.は、時計やファッション・アクセサリーのデザイン、製造、販売を行うスイスの高級時計メーカーです。また、他社からライセンスを受けて製造し、TAG Heuerのブランド名を冠した眼鏡や携帯電話も販売しています。スイスのラ・ショー・ド・フォンに本社を置くTAG Heuer社は、4つの生産拠点を運営し、全世界に子会社を擁しています。従業員数は約1,600名です。 

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脚注

© Copyright IBM Corporation 2021.IBM Corporation, IBM Consulting, New Orchard Road, Armonk, NY 10504

2021年7月、米国で制作。

IBM、IBMロゴおよびibm.comは、世界中の多くの管轄区で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。その他の製品名およびサービス名は、IBMまたは他社の商標である可能性があります。IBMの商標の最新リストは、www.ibm.com/jp-ja/legal/copytradeのWebページで入手できます。

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