現在はさまざまな業界でブロックチェーンのネットワークが立ち上がり始めており、それらとつないでいくという将来構想を描いています。住友電工は長年にわたり情報通信やエレクトロニクス、自動車のハーネスなどの‘つなげる技術’でお客様に貢献してきました。今後は同じ‘つなげる技術’であるブロックチェーンで、お客様や取引先様と強固につながっていきます

住友電気工業株式会社 執行役員 情報システム部長 橘高 淳 氏

ビジネス上の課題

世界40カ国以上にグループ会社を構え、多角化経営を特徴とする住友電工は、グローバル化の進展によりグループ内のサプライチェーンが複雑化するとともに、グループ企業間取引は連結売上高に匹敵するほどの規模になっていました。しかし個々の取引規模が小さいことから投資対効果が見合わないため、対社外取引と比べてグループ内取引におけるEDI適用率は低く、それがグローバル全体の経営状況のスピーディな把握を妨げる要因にもなっていました。

概要と経緯

同社はこの問題の解決策として、全社で利用できるデータ統合基盤の構築を構想しました。事業ごとにお客様も、作っているものも、取引のやり方も全く異なる中で、業務データを統合し、必要なときに活用できる状態を整備する“データ統合”に主眼を置くものです。また、昨今はESG対応を含む調達リスク管理体制の強化が重要になっており、そうした観点からもサプライチェーン全体にわたる顧客や取引先とのデータ連携の必要性が高まっています。これらの事情を背景に、住友電工はデータ統合基盤の整備に踏み出すことになりました。

ソリューション

住友電工は、IBMビジネス・パートナーのパラミックスから、ブロックチェーン技術を活用したデータ統合基盤構築の提案を受け採用します。パラミックスの開発したプラットフォーム「SMART ENTERPRISE BLOCKCHAIN」を中核として、データ統合基盤「グローバル・データハブ」を構築し、データ統合による業務効率化やコスト削減のほか、サプライチェーン情報や会計情報の見える化による経営判断の迅速化を目指しました。
グローバル展開する企業グループの場合、グループ内の取引、例えば会計や受発注、入出荷などのサプライチェーン業務処理はファイル転送/バッチ処理で行われていることも多く、また企業間で異なるコードの変換作業などにも多大な労力や時間を要します。これらのやり取りの中では、データの不整合の発生や改ざんなどのリスクが潜んでいます。
グローバル・データハブは、アプリケーション機能として、さまざまなシステムとのインターフェースとなるデータ送受信機能とコード統合機能、監視機能、ブロックチェーン機能などを持ちます。これを活用することにより、グループ内取引の自動化、リアルタイムでのデータ連携が可能になるほか、グループ企業内の集中管理システムとなるため、個々のシステム間のデータ交換に比べ、開発/維持/運用コストを低減できます。またグループ内のサプライチェーン情報、会計情報などをリアルタイムで見える化できることで、迅速な経営判断が可能になります。さらに、ブロックチェーンの持つ耐改ざん性や取引自動化の機能によって、データの信頼性の向上や、業務プロセスの大幅な省力化も期待できます。

効果と今後の展望

住友電工は、2019年4月の水処理事業への導入を皮切りに、グループ内の各事業へ順次グローバル・データハブの展開を進めました。2021年11月時点で国内17社の50システム、93種類のデータの接続で同データハブを利用しています。それにより、個別のシステム連携開発が不要となったことで約2,300万円の費用抑制効果が上がっているほか、データ連携に関する運用トラブルも激減しました。今後は2027年度までに国内外148社のグループ会社と578件のデータ連携を実現し、延べ2,000種類のデータの統合を目標にグローバル・データハブの展開を進めていきます。それらのEDI化で年間6.4億円のコスト削減効果を見込んでいるほか、グローバル生産管理の高度化、グローバルの品質管理や調達リスク管理の強化にもグローバル・データハブが大きく寄与するものと期待されています。将来的にはグループ内取引のEDI化率100%を目指すほか、顧客や取引先などグループ外企業とのデータ連携、改正電子帳簿保存法で厳格化された電子取引データの保存などでも、ブロックチェーン技術による耐改ざん防止性を備えたグローバル・データハブを活用していく計画です。

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