1982年の設立以来、Pandora Jewelleryは世界最大のジュエリーブランドとなりました。このデンマークの宝石商は、手仕上げされた高品質なジュエリーを手頃な価格で提供することで知られています。また、世界中のPandoraブランドの店舗や販売店では、個性的なチャーム・ブレスレットやその他のコレクターズ・アイテムを試着したり、自分好みにカスタマイズしたりすることができます。
ジュエリー業界と同様に、Pandoraは伝統的にeコマースではなく、個人的との関わり合いを大切にする手法を利用してきました。同社のWebサイトはデジタル・ストアというよりオンライン・カタログに似ており低速でした。注文および在庫管理のための伝統的なテクノロジーは非効率的であり、グローバルに標準化されていませんでした。また、カスタマー・サービス担当者は、「注文した商品はどこにあるのか」「いつ発送するのか」といった基本的な質問に答えられるような、注文やインベントリー、物流に関するインサイトが不足していました。
これらの問題により、Pandoraの経営陣は、オムニチャネルコマースのリーダーになることを優先するようになりました。オンライン販売、 Order Management、フルフィルメント、返品をデジタル変革することで、小売業者は顧客が選択したチャネルに関係なく、店舗内のエクスペリエンスに似たパーソナライズされたデジタルインタラクションを提供できます。
「今日の消費者は、よりパーソナライズされた製品、サービス、インタラクションを求めています」と、Pandoraの最高デジタル&テクノロジー責任者であるDavid Walmsley氏は言います。「テクノロジーとデータからどのようにメリットを引き出し、優れた顧客体験を生み出すかが、グローバルブランドとしての私たちにとって鍵となります」
「私たちが重視しているのはパーソナライゼーションです」と、Pandoraのエンジニアリングディレクター、Anil Uttamchandani氏は言います。「つまり、オンラインか店舗かを問わずあらゆるチャネルでお客様の個性を尊重し、パーソナライズされた体験を提供することができることです。
Pandoraのデジタルプラットフォームを運用してから1年足らずで、電子商取引量が100%増加
APIベースのフレームワークにより、IBM Sterling Order Managementはオンライン・システムとサービスの統合を効率化
IBM Sterling Order Managementは、すぐに設定できる豊富な機能を搭載し、電子商取引機能の開発を加速化
2018年から、Pandoraのチームは新しいデジタル・プラットフォーム Powerためのテクノロジーを評価しました。スケーラブルなクラウドベースのソリューションは必須であり、「すぐに使える」情報とプロセスの自動化により、カスタム開発を最小限に抑えることができます。多様な運用システム間の統合が容易になるため、開発が迅速化されます。そしてチームは、Pandoraが求めているものを提供できるベンダーを探しました。
チームは、電子商取引販売にはSalesforce Commerce Cloudを、フルフィルメントを最適化するにはIBM Sterling® Order Management on Cloudを搭載したプラットフォームを選択しました。「私たちは電子商取引への仲間入りが少々遅くなったので、最高の装いをして到着したかったのです」とUttamchandani氏は冗談めかして言います。「SalesforceとSterling Order Managementを選択したのは、市場で入手可能な中で最も優れているからです。また、IBMからは常に私たちの成功を望んくれているように感じます」
Pandoraは2018年から2019年にかけて、米国とカナダを対象とするパイロット版と、IBMのビジネス・パートナーであるPublicis Sapientの支援を受けたオーストラリア・ニュージーランド市場向けの取り組みをを開始しました。パイロット版では、顧客向けのフロントエンドとしてSalesforce Commerceクラウド、およびインベントリーとフルフィルメントを最適化するためのSaaSソリューション、Sterling Order Management on Cloudを活用した、基盤となるプラットフォームを作成しました。
このプラットフォームは、販売、倉庫、流通、コンタクト・センターのシステムとOrder Managementを連携させています。これにより、Pandoraの担当者はインベントリーと注文をリアルタイムで把握できるようになり、インテリジェントで自動化されたフルフィルメントエンジンは、できるだけ速やかで費用対効果の高い方法で商品を顧客に出荷できるようになりました。
Sterlingプラットフォームは、オンラインでの注文、店舗での受け取り(クリック&コレクト)、商品の受け取り準備が整ったときに顧客に通知する仮想キューイングなどのオムニチャネル機能を強化できます。また、在庫の可視化により、店舗をオンライン注文のミニ配送センターとして使用することが可能です。
パイロット版によって健全な運用テンプレートが構築されたため、2020年初頭、Pandoraはこのプラットフォームを欧州に拡大することを計画しました。その後、パンデミックが発生し、店舗は閉鎖され、電子商取引がさらに不可欠になりました。Pandoraチームは変革を加速化することでこの状況に対応しました。約100名の技術専門家からなるDigital Hubユニットをコペンハーゲンに設立し、デジタル・エクスペリエンスのさらなる強化と電子商取引の売上拡大を図りました。
Digital Hubおよび世界中のデジタルと技術の人材が新たに採用され、基盤となるプラットフォームに重要な機能が追加されました。一部の市場では、チャットボットがコールセンターの担当者を補完しました。在宅勤務の営業担当者がWebカメラを通じて顧客をサポートし、拡張現実により顧客はオンラインで商品を試着することができるようになりました。また、店舗の大半は、オンラインプラットフォームのPandora.netで運営されており、刻印だけでなく、クリック&コレクトのような主要機能を提供していました。
パンデミックのピーク時期に備えるため、これらの主要機能はすべて、Pandoraのデジタルおよび技術チームによってわずか数か月で開発および実装されました。
「クリック&コレクトはパーソナライゼーションをサポートする重要な機能です。というのは、お客様はオンラインで購入した商品の配達を待つ代わりに、近くの店舗で受け取ることを選択できるからです」とUttamchandani氏は言います。
Digital Hubはリモートで作業することで、強化されたSterlingプラットフォームを5か月足らずでヨーロッパに展開しました。結果は素晴らしいものでした。
「世界中の素晴らしい同僚、店舗スタッフ、製造現場の同僚のおかげで、2021年は非常に良い年でした。もちろん、オンライン・プラットフォームも役に立ったし、Sterlingは私たちの歩みを助けてくれたパートナーの一社です」とUttamchandani氏は言います。このプラットフォームは、Pandoraが電子商取引のリーダーへと変貌を遂げるための舞台となります。
「私たちのビジョンは、技術環境を簡素化することで、追加のデジタル機能の市場投入までの期間を短縮してイノベーションを実現できるようにすることです」とUttamchandani氏は言います。「私たちは野心的なデジタル化の途上にあり、目標の実現を支援してくれる複数のパートナーと連携しています。Sterlingは、開発者が技術的な問題ではなく、ビジネス上の問題の解決方法を考えることができるこのような環境の構築を支援してくれるパートナーの一社です」
その一例として、Uttamchandani氏は、デジタル顧客に決済プロバイダーの変更機能を提供していることを挙げています。「簡単なことのように聞こえますが、APIベースのプラットフォームがあれば、基本的なレベルで何も変えずに、さまざまなプロバイダーを統合することができるため、はるかに簡単になります」と彼は説明します。
また、配送センターのマネージャーが重い荷物を別のセンターに回す機能を求めたことがありました。Sterlingソリューションでは、カスタム・コーディングを必要とせずにそのような変更を設定で行うことができるため、開発者はこの機能をすぐに追加しました。「Sterlingを使用することで、物事をより迅速に完了し、サプライチェーンの問題をすぐに解決できます」とUttamchandani氏は言います。
このプラットフォームの最初の成功によって、デジタル・チームのペースが落ちることはありませんでした。開発者は、プラットフォームをすべてのPandora地域に拡張しようと取り組んでいます。オムニチャネルの強化には、オンラインでの購入、店舗への返品、店舗で品切れになっている商品や通常販売されていない商品を注文できるエンドレスアイル・サービスなどがあります。開発者は、注文の確約や店舗からオンライン注文を配送する機能を実装しています。また、データに基づくお勧めでパーソナライゼーションをさらに推進しています。
さらに、Uttamchandani氏は、「明日への備え」に役立つ最新のSterlingバージョンの機能を検討していると言っています。運用ダッシュボードにより、ビジネス・マネージャーはより詳細な管理が可能になります。 AI支援フルフィルメントは、さまざまな複雑な要因を分析します。また、「セーブ・ザ・セール」機能により、従業員は他の店舗で在庫切れの商品を見つけて納期を見積もることができます。
この積極的なアジェンダを実施するにあたり、Uttamchandani氏はチームが成功する見込みに自信を持っています。「2022年は、基盤の準備が整ったので、加速できる年です」と総括しています。
パンドラ (ibm.com外部へのリンク) は世界最大のジュエリーブランドです。高品質な素材を使用した手仕上げのジュエリーを手頃な価格でデザイン、製造、販売しています。Pandoraのジュエリーは、2,600以上のコンセプト・ストアを含む6,800の販売拠点を通じて、100か国以上で販売されています。デンマークのコペンハーゲンに本社を置くPandoraは、世界中で27,000人の従業員を擁し、タイにある2つのLEED Gold認定施設で、主にリサイクルされたシルバーとゴールドを使用してジュエリーを製造しています。同社は2021年に31億ユーロの売上をあげました。
米国マサチューセッツ州ボストンに本社を置くPublicis Sapient(ibm.com外部のリンク)は、デジタル・トランスフォーメーションを専門とするIBMビジネス・パートナーです。同社のSPEED機能には、戦略とコンサルティング、製品、エクスペリエンス、エンジニアリング、データが含まれます。Publicis Sapientは、パリに本拠を置くPublicis Groupeの一部門で、世界中の50以上のオフィスで約20,000人の従業員を擁しています。
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2022年3月、米国で作成。
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