Matrix Renewables社が合理化を進める、持続可能なエネルギーオペレーション

世界的な再生可能エネルギー・プラットフォームがIBMと提携して、オペレーション効率を最適化し、データの透明性を高め、将来に向けた成長の加速とイノベーションへの道を、スケーラブルなソリューションを活用して切り開いています。

ソーラーパネルが設置された広大な平野
サステナビリティーの旅におけるプロセスのハードル

大手再生可能エネルギー企業であるMatrix Renewables社は、持続可能なエネルギー・ソリューション開発を国際的に進める優れた取り組みによって、高い評価を築いてきました。多様で国際的な太陽光資産のポートフォリオを擁する同社は、運用効率を最適化しつつクリーン・エネルギーの発電を最大化し、迅速に成長することを目指しています。

IBMと提携する前、Matrix Renewables社では複数のSCADA(Supervisory Control and Data Acquisition、監視制御とデータ取得)システムを使用した分散的なモニタリングを行っていたため、急速に買収や構築を進めてきた資産の運用開始処理と監視が運用上の課題となっていました。断片化されたプロセスが、長時間にわたる処理、問題解決の遅れ、SCADA構成における問題の見逃し、大規模で非効率的なモニタリングにつながっていたのです。その結果、周辺的な運用コストが最適化されず、事業拡大と長期的な成長目標の達成が難しくなっていました。

背景にソーラーパネルと虹がかかった広大な平野 Gaskell West 1 Solar Facility:米国にあるMatrix Renewables社の太陽光発電とストレージ(BESS)によるハイブリッド施設の1つ。
75% 報告にかかる時間の短縮 10% ダウンタイムの削減 顕著な増加 生産効率
IBM®  Maximo Renewablesが、資産管理担当者によるデータ主導の意思決定を可能にし、組織全体の可視性を高めています。
Víctor Martínez 中南米およびヨーロッパ地域資産管理責任者 Matrix Renewables
IBM Maximo Renewablesでまったく新しい効率化を実現

監視体制の断片化を克服し、成長とオペレーションの合理化を同時に実現するために、Matrix Renewables社はIBM と提携し、 IBM Maximo Renewablesソフトウェアを搭載した一元的なインテリジェント・プラットフォームを実装しました。このソリューションでは、GPM、AlsoEnergy、Inaccessといった主要なSCADAプロバイダー各社と、太陽追尾装置の相手先商標メーカー(OEM)7社からのデータを統合し、ポートフォリオ全体のほぼリアルタイムでの可視化を実現しました。これにより、TSO要件やEPCプロバイダーの好みに応じて、SCADAシステムをプロジェクトごとに柔軟に選択できるようになりました。上位レベルでのモニタリングシステムでも、データの整合性が失われることはありません。

チームはSCADAシステムを直接統合するのではなく、SCADAプロバイダーのAPIを利用しましたが、これによりクエリ頻度の制限、同時呼び出しの制限、タイムアウト・シナリオなどの新たな課題が生じることになりました。こうした制約はあったものの、十分なデータの可用性と品質を実現するため、統合は慎重に最適化されました。IBMソリューションの柔軟性により、チリのNControlといった現地システムのシームレスな統合も可能となり、十分な運用範囲を確保することができました。

このトランスフォーメーションの中核をなすのが、AIと機械学習モデルを組み合わせてパフォーマンスの低下を検出し、隠れた非効率性を明らかにして、ROIに直接影響を与えるデータ主導の意思決定をサポートする、IBMの高度な分析機能です。エネルギーの損失を特定して回復させることで、Matrix Renewables社は資産性能の最適化という点で戦略的に優位に立つことができます。

Matrix Renewables社の成功には、IBMの顧客中心のアプローチが不可欠でした。専任のカスタマー・サクセス・マネージャー(CSM)、そしてIBMグローバル・サポート・チームとその強力なツールセットへのアクセスにより、事前対応型のガイダンス、SCADA関連エラーの早期解決、スムーズな実装過程が実現しました。Matrix Renewables社は、別個の複数のモニタリング手順を抱える状態から、事前対応型でデータ駆動型の、一元化された資産性能最適化手法へと移行することができました。—これにより、Matrix社では一元的で合理的なコントロールを実現し、社内レポートと透明性を強化しました。そして最も重要なのは、今後の成長につながるスケーラブルな集約型の性能監視プラットフォームを整備したことです。

当社のBIツールとの統合により、Maximo Renewablesのデータウェアハウスを通じて、予算、参考情報、収益などのメトリクスをシームレスに追跡できます。
Javier Tirado氏、 グローバル・オペレーション・ヘッド、シニア・ディレクター Matrix Renewables
イノベーションと効率性の証

IBM Maximo Renewablesの統合により、レポート作成時間の75%短縮、ダウンタイムの10%短縮、年間生産効率の目に見える向上など、大幅な改善が実現しました。こうした進歩の原動力となったのが、IBM Maximo Renewables 搭載のデータウェアハウスと接続した内製のビジネス・インテリジェンス(BI)ツールによるレポート生成のオートメーションです。これは運用と財務に関する主なKPIの透明性を高めるものでした。

「IBM Maximo Renewablesは、データ駆動型の意思決定で資産管理者を支援し、組織全体にわたって可視性を高め、業務の拡張とオペレーションの最適化に役立ちました」。Matrix Renewables社のラテンアメリカおよびヨーロッパ地域資産管理責任者、Víctor Martínez氏はそう語っています。

分散した手動の資産モニタリングから統合プラットフォームへの移行により、プロセスが合理化され、Matrix Renewables社では複数のレベルにわたるレポートとダッシュボードをリアルタイムで生成できるようになりました。アラート通知とツールアクセス制御により、運用と保守(O&M)や請負業者との連携も改善されました。さらに、運用開始時に資産のデジタル表現が検証されるようになったことで、SCADAの正確性を運用開始時から確保し、将来の性能上の問題を最小限に抑えることができます。

Matrix Renewables社は、将来の事業の拡張性とレジリエンスを高めるため、再生可能エネルギー・ポートフォリオの国際的な拡大に合わせてこのテクノロジーの活用を続けていく計画を立てています。IBMとのパートナーシップは、再生可能エネルギー分野におけるイノベーションを推進し、サステナビリティーを推進するデジタル・トランスフォーメーションの要であり続けています。

太陽光パネルのある平野 Gaskell West 1 Solar Facility:米国にあるMatrix Renewables社の太陽光発電とストレージ(BESS)によるハイブリッド施設の1つ。
Matrix Renewables社のロゴ
Matrix Renewablesについて

Matrix Renewables社 は、世界的なオルタナティブ資産運用会社TPGとその280億米ドルのインパクト投資プラットフォームによって設立・支援されている再生可能エネルギープラットフォームです。Matrix Renewables社の現在のポートフォリオは、ヨーロッパ、米国、ラテンアメリカにおける15.5 GWの太陽光発電、ストレージ、グリーン水素プロジェクトで構成されています。詳細については、 www.matrixrenewables.comをご覧ください。

ソリューション・コンポーネント IBM Maximo Renewables
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