キョーラクの主力製品の一つであるハクリボトルは独自の二重構造により、内容物の酸化を防ぎ、鮮度を保つことが可能で、調味料や化粧品のボトルとして活用されていますが、その構造の特性のために、不良の様相は不均質で従来のルールベース型外観検査装置では不良を検出、判定することが難しく、人の目視検査に頼らざるを得ない状況でした。
ハクリボトルの検査員には高いスキルが求められるため、教育に時間がかかり、人材確保も難しいことから、限られた人数の検査員が交代制で検査を行わなければならず、高品質のボトルを安定的に量産することが困難でした。
ハクリボトルの外観検査の課題を解決するためのAIを活用した検査の自動化について、キョーラクはキョーラクシステムクリエート、IBMとともに2020年10月ころに検討を開始しました。
検査装置の要件を定めて、2021年3月からPoCを行った結果、ルールベース検査では判定できなかった不良項目をAIが高精度で判定できることが確認できました。キョーラクは2021年7月にIBMソリューションの採用を決定し、「ハクリボトル外観検査装置」の開発を開始し、2022年1月には、栗東工場で新しい検査装置が稼働しました。IBM Power System AC922の推論サーバーでAIによるボトル画像からの不良検出、結果送信をリアルタイム処理し、学習サーバーでは検出結果からデータを追加してAIモデルの精度向上を進めています。栗東工場でAIモデルの目標精度を達成し、無人化検査体制を構築した後、土浦工場においても検査装置を導入し、2023年1月より稼働を開始しました。
ハクリボトル外観検査の自動化により、現状の34名による検査体制を最終的には4名の体制に変更する計画になっており、検査員のジョブ・ローテーションを行うなど、検査員の働き方改革も進むと考えられます。また、新しい検査装置の導入によって、社員全体で品質向上への意識が高まり、AIによる業務改善についても一歩進んだ議論ができるようになってきています。今後、AIを活用した今回の取り組みが生産コストを下げ、品質を高めるブレイクスルーになることが期待されています。
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2023年2月
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