JFEスチール株式会社
製鉄プロセスを支える装置に故障が起こった際に迅速に復旧 IBM Watsonを用いて膨大な文書情報から有益なナレッジを素早く検索して対処

JFEスチール株式会社(以下、JFEスチール)は2018年、製鉄設備のメンテナンス業務にAI手法を導入した制御故障復旧支援システム「J-mAIster®」を構築し、全国6カ所の製鉄所/製造所への展開を完了しました。新システムはIBM Watson Explorerの機能ならびにIBM Watson のAPIサービスによって、長年の作業日報や故障報告書、自身で作成した作業マニュアルなど膨大な文書情報をAIで解析し、今まで蓄積してきた保守・保全ノウハウをナレッジとして活用します。これにより高炉・転炉・圧延機などの設備に異常が生じた際に、経験の浅い担当者でも早期復旧に役立つ有用な情報を迅速に引き出すことが可能となりました。実際に製造ラインのダウンタイムを大幅に短縮する効果もあらわれています。

ビジネス上の課題

製鉄プロセスを支える設備に異常が発生し、製造ラインが長時間にわたって停止した場合、莫大な損失を招く恐れがあり、これらの設備を24時間365日稼働させ、いざというときには早急な復旧を図ることが製鉄会社の現場の使命です。さまざまな装置のトラブルを経験し、高度な保守・保全のノウハウを持った熟練担当者が定年を迎えて次々に退職していく中で、中堅以下の担当者は人数面でも層が薄く、技術を伝承したくても十分な時間がありません。熟練担当者に依存した体制からの脱却が“待ったなし”となっています。積極的なAI活用を推進しているJFEスチールは2016年に製鉄設備のメンテナンス業務でのAI活用に向けたチャレンジを開始しました。

概要と経緯

装置のトラブルに対して、過去数十年にわたる作業日報や故障報告書、自身が作成した作業マニュアルなどの膨大な文書情報の中から、AIを活用して過去の類似事象とその対処方法を検索、提示して、担当者を支援するという構想を実現するために、JFEスチールはIBMが提供する一連のソリューションを採用しました。設備に何らかの故障が起こった場合、保全担当者がモバイル端末に異常の発生状況をテキスト(または音声)で入力すると、IBM Watson Natural Language Classifier(自然言語分類機能)がその内容を解析し、意図に沿った検索条件を生成し、この検索条件がIBM Watson Explorerに引き継がれ、膨大な文書情報から質問内容と類似性の高い文書などを候補として抽出し、復旧に必要となるナレッジとして即時にモバイル端末の画面上に表示します。

効果と今後の展望

制御故障復旧支援システム「J-mAIster®」は、2018年9月に全国6地区(倉敷、福山、千葉、京浜、知多、仙台)の製鉄所/製造所の全ラインへの展開を完了し、保全担当者のタイムリーな復旧作業をサポートしています。まだ本システムを適用した故障対応の事例は少ないですが、装置に故障が起こった際の製造ラインのダウンタイムを20%以上短縮する効果もあらわれています。また、製鉄現場で過去事例や予備品の検索をモバイル端末で行うことで移動時間を削減できるようになったことも装置のダウンタイム短縮につながっています。また、「J-mAIster®」は電気、計装、プロセスコンピューターの故障復旧支援に特化して構築されましたが、工場オペレーションなど、他の業務分野でも同じ仕組みの活用が期待されています。

当事例で使用されている主な製品・サービスは下記の通りです。

  • IBM Watson Explorer
  • IBM Watson Natural Language Classifier
  • IBM Watson Speech to Text
  • GBSプロジェクト管理・ソリューション導入サービス
製鉄現場で起こった装置のトラブルに対して、文書情報の中から過去の類似事象とその対処方法を検索できれば、経験の浅い担当者を的確なアクションに導くことができます。 桑原 智氏 IT改革推進部 主任部員(副部長) JFEスチール株式会社
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