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Export Development Bank of Egypt(EBank)
The Export Development Bank of Egypt社(EBank社)は大きなチャンスに気づき、それをつかみました。
古くから企業向け銀行であったEBank社は、エジプトの製品を国際市場につなげることで、エジプト経済の支援に貢献してきました。しかし最近、同行のトップらは、もっとできることがあるのではないかと考えるようになりました。
デジタル化が銀行業務を変革するにつれて、エジプトと中東における銀行市場の競争は激化しています。Ebank社は、コーポレート・バンキング業界での地位を保ち続けるために手をこまねいているのではなく、デジタル・テクノロジーを活用して独自のリテール・バンキング事業を立ち上げながら、同時に法人向け業務も強化できると考えました。
EBank社は、IBMビジネス・パートナーのSumerge社と協力し、IBM Cloud Pak® for Integration、 IBM Cloud Pak for Business Automation、Red Hat® Runtimesソリューションを使用して、Red Hat® OpenShift®コンテナ・プラットフォームの単一クラスター上で稼働するBaaS(Banking-as-a-Service)プラットフォームを構築しました。中東とアフリカ全域でこの種の導入は初めてであったため、EBank社ではこれにより銀行サービスが劇的に加速し、変化の激しい規制や市場の需要に先駆けて進化し続ける柔軟性を得ることができました。
EBank社は、銀行間送金の送信を 1 回送金あたり4分から、1分あたり50回の送金へと高速化しました
また、インターネット・バンキングの送金も10分から2分へと80%も高速化しました。
大胆な競争戦略
Ebank社の上級幹部らがリテール・バンキングへの参入計画を立案したとき、市場に大きな影響を及ぼすには、同行が21世紀の銀行業務において最高レベルのものを提供しなければならないことを認識していました。また、そこにはテクノロジーが鍵となることもわかっていました。
Mohamed Mostafa Tawfik氏は、EBank社のHead of IT for Digital Banking(電子バンキングIT責任者)です。Tawfik氏と彼のチーム、電子バンキング・チーム・リーダーのAhmed Wehady氏とMina Mouneer Shoukry氏は、銀行の拡大戦略を可能にするテクノロジーの選択と導入を担当しました。
プロセスの自動化と社内効率化は、重要な目標の1つでした。もう1つの目標は、システム間の統合を柔軟にすることでした。EBank社では、レガシー・ソリューション間のポイントツーポイント統合に依存していたため、このアーキテクチャでは新しい電子業務に要求される俊敏性に対応できませんでした。
「当行のアーキテクチャに必要な基礎は、Banking-as-a-Service の連携レイヤーでした。これにより、新しいデジタル・チャネルと自動化業務を追加することで、中核となるバンキング機能を簡単にアップグレードできるようになります」とTawfik氏は説明します。
また、Tawfik氏とチームは、自動化ソリューションと統合ソリューションをコンテナ化したいと考えました。Tawfik氏によると、この地域の他の銀行はまだコンテナ化を採用していなかったので、これにはややリスクがありました。けれども、柔軟性とコスト効率の長期的なメリットはリスクを上回りました。「可用性、拡張性や導入の面で、これがより優れた方法であることはわかっていました。これにより、市場投入までの期間を短縮し、修正する機能を高められます」とTawifk氏は述べています。「そこで私たちは業界に先駆けて行動を起こすことに決めたのです」
その後、Ebank社は最適なテクノロジーとその実装を支援する最適なパートナーを選定するため、提案依頼書(RFP)を発行しました。
提案依頼書に回答したすべてのベンダーと面談した後、Ebank社は、カイロに本社を置く国際的なITソリューション会社でコンサルティング会社でもあるIBMビジネス・パートナー、Sumerge社と連携することを選びました。
「提案依頼書の段階で、Ebank社が競合他社と異なる事業を行っていることは明らかでした」と、Sumerge社Chief Technology Officer(CTO、最高技術責任者) であるMohamed Nour氏は述べています。「彼らは本当にデジタル・トランスフォーメーションへの飛躍を目指していました。そのビジョンが理解できたので、デジタル・チャネルやその他の取り組みにおけるイノベーションを可能にするBanking-as-a-Serviceプラットフォームを構築する方法を示しました」
Sumerge社は、Tawfik氏と彼のチームと連携し、IBM Cloud Pak for IntegrationとRed Hat® OpenShift® コンテナ・プラットフォームを使用して、EBank社のコーポレート業務およびリテール業務とパートナーをコア・バンキングやその他の銀行システムに接続する、コンテナ化されたAPI連携レイヤーを構築しました。また、チームはIBMソリューションを使用して、連携レイヤー上に完全な自動資金決済センター(ACH)送金フローを構築しました。「統合要件を統一し、異機種環境のすべてのアプリケーション間の迅速で安全な接続を可能にしました」とWehady氏は述べています。「これにより、同行の戦略に合うスピードで開発、テスト、改良、展開を行う俊敏性が得られます」
連携レイヤー・プロジェクトと並行して、EBank社はSumerge社と協力し、IBM Cloud Pak for Business Automationのコンテンツ管理コンポーネントを実装しました。このようなソリューションを用いて、Ebank社は中央リポジトリ内の記録とデータの管理など、顧客の口座開設を自動化しています。
統合ソリューションと自動化ソリューションを組み合わせることで、Ebank社の処理速度は大幅に向上します。「このパフォーマンスは驚異的です」とShoukry氏は述べています。「当行は取引時間を大幅に短縮し、毎日の何千件もの取引を手作業で対応する必要がなくなりました」
EBank社とSumerge社の各チーム、そしてIBMのカスタマー・サクセス・チームも、アジャイルな方法で協力し、業務の自動化ソリューションと統合ソリューションを、銀行のデジタル・チャネル・アプリケーションと同じOpenShiftクラスター上に実装しました。Tawfik氏は説明します。「各プロジェクトは他のプロジェクトに依存していたため、アーキテクチャ全体の小さなパッチを並行して作成し、分析、開発、デプロイメント、テストを実行しました。このようにして、デジタル・チャネルを支援するサードパーティの開発者に、仕様を継続的に伝達することができました」
EBank社のIBMカスタマー・サクセス・マネージャー・アーキテクトであるAhmed Azraq 氏も、このプロジェクトのユニークで高度な連携性について次のようにコメントしています。「EBank社は、本番環境の単一Red Hat OpenShiftクラスターで複数のIBM Cloud Paksを実行しているエジプト初の企業です。導入全体を通して、私たちはIBM、Red Hat社、Sumerge社、EBank社全体で強力なチーム・スピリットを保つことができました。時には、Ebank社の目標をタイムリーにサポートできるよう緊密に連携し、4社で会議を開き協議しました」
そして、実装がまだ進行中であるにもかかわらず、プロジェクトは重要な実証試験を受けました。The Central Bank of Egypt社(CBE)は、資金がある銀行から別の銀行に即座に移動できるように、国内銀行間のすべての送金は自動ストレート・スルー処理(STP)によって実行されなければならないという命令を出しました。Tawfik氏は、これは挑戦でしたがチームは十分に準備ができていました、と語りました。「この命令は、当行の連携レイヤーの柔軟性を示すとても良い機会となりました。私たちはSTPロジックと、コア・バンキング、チャネル、RPAプロセス、国内スイッチとの間のシームレスなトランザクション・フローを構築し、その他の選択肢よりも1年以上早くプロジェクトを完了できたのです」
しかし、なぜリテール・バンキング業務の顧客が長年続いた企業向け銀行に加わる必要があるのでしょうか。標準的な口座名義人にとって、統合、自動化、コンテナ化はどのような意味を持つのでしょうか。
一つには、サービスの高速化を意味しています。Ebank社の銀行間送金は、かつては送金ごとに約4分かかっていました。現在、Ebank社は1分あたり50件の送金を処理しています。振替入金は、以前は夜間バッチで処理されていました。今では、ほぼリアルタイムで完了しています。また、Ebank社は、インターネット・バンキングの送金を10分から2分へと短縮しました。これにより、リテール・バンキング市場における重要なサービスの差別化を図ることができています。
「当行では、待ち行列やリードタイムを発生させることなく、スピーディでシームレスなエンドツーエンドのサービスを提供しているため、顧客満足度の向上を実現しています」とTawfik氏は述べています。
Ebank社のBaaSプラットフォームは、スピードに加えて、サービスの一貫性とセキュリティの強化も意味しています。顧客はEbank社のすべてのチャネルで一貫した高品質のサービスを受けられると同時に、これまで手動だったプロセスを自動化することで、取引の安全性、監視性、追跡性を確保できます。
「これらの改善は当行のすべてのチャネルに適用されるため、Ebank社がこれまでに知られてきたコーポレート・バンキング業務を強化すると同時に、リテール・バンキングへも競争力の高い参入を果たしたことを意味します」とTawfik 氏は説明します。「今後は、市場投入までの時間を短縮し、統合コストを削減できる必要なプラットフォームを手に入れることができたため、同時にサービスの構築と強化を継続していきます」
EBank社は、農業、工業、商業のあらゆる分野でエジプトの輸出を促進することを使命として、1983年に設立されました。Ebank社はすぐにエジプトにおける輸出業務の中核として地位を確立しました。Ebank社は、顧客を重視し輸出業者を支援するという献身的なビジョンにより、中小企業 (SME)、個人、金融機関から信用を得ました。
IBMのビジネス・パートナーである Sumerge社 (ibm.com外部へのリンク)は、13か国以上のクライアントにテクノロジーとコンサルティング・ソリューションを提供し、2,000万人以上のユーザーの業務にプラスの影響を与えています。Sumerge社は、イノベーションに重点を置きながらテクノロジーとビジネスの専門知識を組み合わせ、顧客が将来に向けて市場で適切なポジションを取れるよう包括的なソリューションの開発を支援しています。
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2022年1月、アメリカ合衆国で制作。
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