昨日までの革新的なイノベーションが今日はもう常識、ということはよくあります。ストックホルムで100年以上前に設立されたElectrolux AB社は、世界でもいち早く掃除機、冷蔵庫、食器洗い機、洗濯機の販売を開始し、画期的な方法で日常生活を自動化してきました。言うまでもなく、そのような家電製品は現代の私たちにとってはありふれた物になっています。

Electrolux社は、その長い歴史に甘んじることなく、常に明日に目を向けている現代の企業です。ストックホルムで1919年に創立されてから、Electrolux社は世界規模のエンタープライズに成長し、今では年間6000万台の家庭用製品を生産しています。Electrolux社は時代をリードする革新的な全自動製品や、高効率の製品、洗練されたデザインの製品をお客様の普段の生活にお届けするだけでなく、新たな分野を開拓すべく最新のイノベーションにも取り組んでいます。

さらに同社は家電製品以外の自動化も進めており、AIの導入で業務全体の効率を向上させ、環境サステナビリティーの意欲的な目標達成にも貢献しています。

従来3週間を要したITの問題を解決するための所要時間:

1

時間

一般的な修理タスクの自動化によって節約可能な時間:

1,000

時間(年間)

グローバルな規模における複雑性

Joska Lot氏は、イタリア北東部にあるElectrolux社の施設からElectrolux社のITインフラストラクチャーの運用を監視しています(2020年および2021年には自宅事務所から監視する機会が多くなりました)。それは、膨大な量の複雑なインフラストラクチャーです。

Electrolux社は買収を重ねることで長年の成長を達成してきました。その買収の度に、物理的なインフラストラクチャーに加えて、固有の技術プラットフォームとアプリケーション環境が新たに追加されてきました。「当社ではWindows、AIX、LinuxなどのOSを使用しています。さらに65カ国に1万台のサーバーがあり、各サーバーを接続するネットワーク・デバイス、10万個のアプリケーション、データベース、ルールを保有しています」とLot氏は説明しています。

Lot氏と直属の少人数チームだけで、このような巨大インフラストラクチャー全体の運用効率を確保するためには、解決すべき2つの課題があります。その1つは、すべてのプラットフォームと環境を統合して、統一された概要を作成することです。Lot氏は「標準化されたツールがなければこの業務の遂行はほぼ不可能になりますので、すべてを調和させる必要があるのです」と述べています。

2つ目の課題は、ネットワークの「ノイズ」を効率的に削減し、運用を実際に維持する具体的なタスクを特定することです。

日差しを受けている、手入れの行き届いたキッチンにある、Electrolux社の冷蔵庫とオーブン

統合およびAI主導の自動化

この2つの課題に取り組むために、Lot氏とElectrolux社のチームは、統合されたグローバルなIT運用管理プラットフォームであるIBM® Netcool®ソリューションを使用してきました。Electrolux社が自社製品を改善すべく常に新たな方法を探し求めているように、Lot氏と直属のチームはIBM Netcoolプラットフォームの最新の進化版であるIBM Cloud Pak® for Watson AIOpsを採用して、AI主導の自動化機能を導入しました。

IT業界でイベント相関と呼ばれる処理を機械学習で自動化すれば、著しい効率向上が見込まれる。Lot氏はそう考えています。ここでの「イベント」とは、IT環境に存在する無数の要素に起因した事象に関連するデータの断片です。その内容は非常に広範囲の事象に及ぶため、イベントの大多数は実際の問題を示していません。イベント相関とは、実際の問題の所在をより明確に把握するために、関連するイベントを「インスタンス」にグループ化することを意味します。

これについて、Lot氏は簡単な例を挙げて説明してくれました。「10台のコンピューターに接続されているネットワーク・ルーターを、誰かが誤って切断してしまった場合を想像してください。それが原因で11件の異なるイベントが起きますが、実際に解決すべき問題は1件だけ、つまりルーターの再接続が必要であるということだけなのです」発生した11件のイベントも、実際には1つのインスタンスに過ぎません。「とはいえ、私たちが監視するデータの大海原における、まぎれもない1滴です。そしてそのようなイベントが、毎日10万件も確認されているのです」とLot氏は言います。Lot氏のようなIT運用マネージャーが個別のイベントではなくインスタンス単位で早急に把握できれば、実際に起きている問題をいち早く識別して対応できます。「その大海原の中で、一滴の毒を特定することが非常に重要となります。命を守るために、それを私たちは取り除く必要があるのです」とLot氏は分かりやすく表現しています。

しかしこれまでのイベント相関では、人手をかけてイベントのアラームを手動で分析し、相関関係を検出するために多くの時間を費やしていました。 「1年のうち、同じ問題の修正だけで千回はしています。当社には、これらの活動を1時間かけて手作業で管理する人たちがいました」とLot氏は言います。現在Electrolux社は、専門知識に基づくルールをAIに実装することによってその作業を自動化し、大幅に加速できるようになりました。

Electrolux社は、このようなAIによる自動化を取り入れ始めたばかりですが、Lot氏はこれを非常に重要な段階であると考えています。「イベントとインシデントの違いを把握することは、AIによる運用管理を完成するための第1段階です。それにより、自己学習技術の投資収益率を最速で実現できるようになります」

これは、最終収益に限られた話ではありません。Lot氏は、AIが人間の知性に取って代わるのではなく、従業員の専門性を促進できると考えています。「私たちは自分たちの意識改革に投資する必要があります。私たちは、手作業の業務に熟達したオペレーターから、なぜその手作業を取り上げる必要があるのかを説明しなければなりません」年間1,000時間を要する単純作業を自動化することによって、Electrolux社はその大多数の時間を節約できるだけでなく、オペレーターの専門知識をより価値の高いハイレベルなタスクに適用できるようになります。例えば、Watson AIOpsのソリューションに入力可能な、新規の相関基準を特定することや、ルールとアクションをローカル条件に基づいて精密化することなどが挙げられます。それが好循環を生み出す、とLot氏は言います。時間を節約する自動化を、自動化のさらなる強化に振り分けることもできます。その一方でオペレーターは、専門知識を充実させることができます。

自動化を推進する中で、Lot氏はモニタリング・ソリューションのコンテナ化を検討しています。Lot氏はIBMと協力して、IBM Cloud PakソリューションのRed Hat® OpenShift®コンテナ・プラットフォーム上で、この度開発環境を完成させました。現在、Lot氏と直属チームはOpenShift上のコンテナ化されたソリューションとしてWatson AIOpsの機能をテストしています。現行のモニタリング環境は、大部分がオンプレミスに導入されています。これに対してLot氏は、コンテナ化されたバージョンをElectrolux社のMicrosoft Azureのクラウド・プラットフォームに導入する方が、異機種混合の状況全体にわたってモニタリングの更新と新機能を送信する上で、より効率的かつ効果的な方法になり得ると考えています。

Electrolux AB社、モニタリングおよびイベント管理、グローバル・ソリューション・サービス担当アーキテクト、Joska Lot氏:

Electrolux AB社、モニタリングおよびイベント管理、グローバル・ソリューション・サービス担当アーキテクト、Joska Lot氏:

効率性、レジリエンス、サステナビリティー

従来のイベント管理と、統合化と自動化を実現したAIOpsとの違いとは何でしょう。Lot氏は、それを一言で「解決に必要な時間が3週間から1時間になりました」と述べています。

この効率性は、中核的なビジネスに直接影響します。例えば、工場で発生するITの問題の解決に3週間節約できれば、3週間分の生産の減少を回避できます。この効果は地球規模で影響します。世界中のIT問題を迅速に解決できれば、コスト効率と生産性の力強い下支えになります。

さらにLot氏は、この監視ソリューションを実際の生産ラインの機械設備に設置されたセンサーと接続し、通常はIT専用とされているモニタリング・ツールをインダストリー4.0に応用しています。Lot氏のチームは単一のインスタンスを分析して、アプライアンス・アセンブリーの部品をスキャンする光学式ガン・リーダーに頻度に発生する不具合を検出しました。Electrolux社は特定のモデルのガン・リーダーに欠陥があることを突き止め、そのモデルの使用を中止しました。それ以降は、ダウンタイムは発生していません。

また新型コロナウイルス感染症のパンデミック期間中には、Lot氏や多くの同僚が業務形態をリモートワークに切り替えましたが、Electrolux社はその対応にも統合ソリューションを活用しています。「当社はほぼ全世界の業務環境を、単一の視点から管理しています。そしてこの管理情報は、PC、タブレット、または携帯電話で自動的に利用できるようになります。これにより、各種のITサービスを世界中のオフィスや工場に継続的に提供できます」とLot氏は言います。

最後に、AIOpsの機能は、より大規模で、より重要なイノベーションに貢献しています。Electrolux社は2005年から、CO2排出量の総量を少なくとも75%削減してきました。さらに2019年に、同社は世界の気温上昇を抑えるための国連主導によるイニシアチブである「Business Ambition for 1.5°C」に自発的に参加しました。その取り組みにおける役割として、 Electrolux社は2050年までに二酸化炭素排出量のネット・ゼロを達成すると公約しています。この公約を遂行するには、リソースの使用を最適化していく必要があります。そこにAIOpsの果たせる役割があります。CPU使用率が適切であることに加えて、サーバーとデータセンターのハードウェアが適切に機能していることを確認するタスクを自動化することによって、Electrolux社は二酸化炭素排出の根本的な原因である電力消費量と空調を削減できます。本件についても、その規模が大きく関わってきます。「当社すべてのサーバー・ルーム全体にわたるこれらの機能を乗算した場合、その結果は莫大な規模になります」とLot氏は説明します。

Electrolux社ロゴ

Electrolux AB社について

1919年に設立されたストックホルムを拠点とするElectrolux社(外部リンク)は、Electrolux社、AEG社、Anova社、Frigidaire社、Westinghouse社、Zanussi社などを含めたブランドを持つ、アプライアンス業界をリードするグローバル企業です。

本ページの画像は、www.electrolux.com(外部リンク)から引用しています。

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2022年1月

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