再生可能エネルギー発電事業を担う専業会社として2020年4月に事業を開始した東京電力リニューアブルパワー株式会社(以下、東京電力リニューアブルパワー)は、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みを始めています。東京電力ホールディングス株式会社からの分社化を機に、現場業務の効率化や保全スキルの継承、コスト低減などを目指して統合設備管理システムを新たに構築。同システムの根幹を支えるプラットフォームにはIBM Maximo Enterprise Asset Managementを採用するとともに、IBMの導入支援サービスを利用することで短期間かつ低コストで本番稼働を実現しました。現在は、「発電所の作業停止を極小化する」ことを目標に、データの収集・蓄積、活用を推進しています。
東京電力リニューアブルパワーが管理する水力発電所は160カ所以上にのぼります。各発電所の設備は山や川の地形に合わせて構築される“一点物”として地域の事業所が保守点検して安定稼働を維持してきましたが、個別管理の結果、全社的な標準化ができていないという課題がありました。また、既存の設備管理システムは報告書作成のツールとしての性質が強く、経営側からはデータを分析する手段に関する要望が寄せられていました。そこで同社は分社化にあたり、既存の設備管理システムをそのまま活用するのではなく、独自の統合設備管理基盤を構築することを決断。新システムでは、社内に散在する貴重なデータを一元管理し、現場の業務効率化や経営判断に生かしていくことが目標に掲げられました。
東京電力リニューアブルパワーが構築に踏み切った統合設備管理基盤「RP設備管理システム(通称RAISE)」が目指す姿は、設備管理のほか予防保全、異常管理、水平展開管理、停止管理、発電管理、予算管理、ドキュメント管理、作業指示書管理といった機能を統合し、発電所の設備運用保全サイクルを一元管理することです。同社は社内でデータ項目の再定義に取り組むとともに、RAISEの根幹を支えるプラットフォームとしてIBM Maximo Enterprise Asset Managementを、ドキュメント管理ソリューションとしてIBM Content Foundationを選定しました。さらに、短期間で基本設計から開発・テスト、現行システムからの移行を成し遂げるためIBM Maximo導入支援サービスを利用し、予定通りシステムを本番稼働させました。
本番稼働後、RAISEは各発電所からのデータを蓄積しています。RAISEは発電所の設備管理を主な用途として、設備点検や工事の計画、さらにその実績管理でも活用が進んでおり、業務効率化が期待されています。同社では、蓄積したデータを設備の異常管理に活用しつつ発電管理にも連動させ、効率的な停止計画の立案や費用管理などにも活用の幅を広げていく計画です。そして、その先に見据えているのが「発電所の作業停止を極小化する」という目標です。実現を目指して、同社は水力発電所の集中監視制御装置(SCADA)やプラント情報システム(PISystem)による計測管理や兆候管理などを、RAISEとデータ連携させる仕組みづくりの検討に入っています。
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