技術的課題について実現可能であることが本PoCを通して明らかになりました。今後はステップをさらに進め、医療データを用いた本番システム開発、および人工知能関連技術との統合なども視野に入れながら、段階的に開発を推進することを計画しています。

第一三共株式会社, DX推進本部 DX企画部 デジタルイノベーショングループ, 課長代理, 朝生 祐介 氏

ビジネス上の課題

疾患レジストリーは、医薬品の臨床研究や治験を円滑に推進する上で重要な医療データの一つですが、現状では各病院や疾患団体ごとに個別に管理されているケースが大半で、統合的かつ横断的に利用できないことが長年の課題となっています。これを解決するため、第一三共を幹事とする「医療データプラットフォーム研究会」は、日本全国に散らばる疾患レジストリーデータをブロックチェーンによって非中央集権的に一元集約できないかを検証するPoCプロジェクトをスタートさせました。患者さん、医療機関が疾患レジストリー情報を登録し、製薬企業がその情報を利活用することで、患者さんにとっては治験参画機会が増え、製薬企業にとっては治験が加速化することで、結果として医療全体の質が向上することが期待されます。

概要と経緯

研究会は、複数の企業が管理者となり許可された組織のみが参加できる、コンソーシアム型ブロックチェーン「Hyperledger Fabric」を採用し、本プロジェクトのプロトタイプシステム開発には日本IBMも支援に加わりました。短期間での開発を可能にし、技術やビジネス・プロセスの検証に注力できるようにしたのは、Hyperledger Fabricを実装したブロックチェーンのマネージド・サービスである「IBM Blockchain Platform」でした。ユーザーインターフェースは、医療機関向けと製薬企業向けにはWebブラウザーの画面を、患者さん用にはスマートフォンのアプリを用意。さらに、オンチェーン、オフチェーン、ローカルと分けて、高い機密性と拡張性を兼ね備えたデータ構造としました。

効果と今後の展望

プロトタイプ開発後、研究会では実機でブロックチェーンならではの耐改ざん性と可用性(ゼロ・ダウンタイム)の検証を行い、問題ないことを確認しました。信頼性の高い同意取得の仕組みを構築したこと、医療プラットフォームに適したデータアーキテクチャーを採用したこと、信頼性、可用性の高いデータ基盤を構築したことで、ブロックチェーン技術を活用した医療データプラットフォームとして満たすべき主要機能の実装と検証ができました。今後、研究会ではステップをさらに進め、医療データを用いた本番システム開発、および人工知能関連技術との統合なども視野に入れながら、段階的に開発を推進することを計画しています。

 

[製品・サービス・技術 情報]

当事例で使用されている主な製品・サービスは下記の通りです。

  • IBM Blockchain Platform (IBP)
  • IBM Cloud
  • IBMコンサルティング・サービス

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