z/OS® TCP/IP スタックでは、静的と動的の 2 つのタイプの VIPA をサポートします。動的 VIPA (DVIPA) は、シスプレックス内の接続を分散させるために使用できます。これは、分散 DVIPA と呼ばれます。
3 つの VIPA すべてが、所定のスタック上で共存できます。しかし、これらの VIPA の構成方法と使用法には違いがあります。
静的 VIPA には次のような特性があります。
- それらは TCP/IP の初期化の間または VARY TCPIP,,OBEYFILE コマンドの
処理中にアクティブにでき、DEVICE、LINK、HOME の適切なセット、およびオプションで、IPv4 静的 VIPA または IPv6 静的 VIPA 用の INTERFACE ステートメント用の
OMPROUTE 構成ステートメントまたは BSDROUTINGPARMS ステートメントを使用して
構成されます。
- SOURCEVIPA 構成オプションを使用して、静的 VIPA を、TCP、RAW、UDP (ルーティング・プロトコルを除く)、および ICMP 要求に対するアウトバウンド・データグラムのソース IP アドレス
として使用することができます。
IPv6 静的 VIPA をソース・アドレスとして使用するためには、SOURCEVIPA
構成オプションが使用可能でなければならず、VIPA インターフェースが他の INTERFACE ステートメントの SOURCEVIPAINT キーワード上になければなりません。 これによって、接続要求の発信元が
z/OS TCP/IP スタックである場合は、装置およびアダプターの障害の許容度が得られます。
- TCPSTACKSOURCEVIPA を指定したこのスタックを使用する
すべてのアプリケーション用のアウトバウンド TCP 接続要求の
ソース IP アドレスとして指定することができます。
- SRCIP プロファイル・ステートメント・ブロックを使用した、
特定のジョブまたは特定の宛先用のアウトバウンド TCP 接続要求のソース IP アドレスとして静的 VIPA を指定できます。
- スタック上の静的 VIPA の数は、そのホストが使用できるホスト IP アドレスの範囲によってのみ制限されます。
- 静的 VIPA は、元の所有スタックの障害発生後に、バックアップ・スタックに移動することができます。
それには、VARY TCPIP,,OBEYFILE コマンド処理を使用してバックアップ・スタック上に VIPA を構成し、
ルーターを更新します。
動的 VIPA には次のような特性があります。
- オペレーターの介入や外部の自動化を必要とせずに、障害のあるスタックから、同じシスプレックス内のバックアップ・スタックに動的に
移動するように構成できます。
- VARY TCPIP,,SYSPLEX オペレーター・コマンドを使用して動的 VIPA を非活動化または再活動化することにより、動的 VIPA を手動で移動できます。
- アプリケーション・プログラムにより動的にアクティブにすることができます。
- シスプレックス内で接続を分散させることができます。
- TCPSTACKSOURCEVIPA ステートメントで指定できます。
これは、ユーザーに、TCP 専用要求のアウトバウンド・データグラムのソース IP アドレス
として、1 つの VIPA を使用するように指定することを許可します。
- SRCIP プロファイル・ステートメント・ブロックを使用して、
特定のジョブまたは特定の宛先用のアウトバウンド TCP 接続要求のソース IP アドレスとして指定することができます。
- 動的 VIPA は、以下のように静的 VIPA と異なる点があります。
分散 DVIPA には次のような特性があります。
- DVIPA のすべての特性を持ちます。ただし、アプリケーション・プログラムにより動的にアクティブにすることはできません。
- 1 つのスタックが 1 つの DVIPA を定義し、その存在をネットワークに公示します。ターゲットの配布リスト内のスタックが DVIPA をアクティブにし、接続要求を受け入れます。
- 接続のワークロードを、複数のスタックに拡散させることができます。
詳細な説明については、分散 DVIPA の構成 - シスプレックス・ディストリビューターを参照してください。
ガイドライン: OSA-Express 装置には、装置に登録できる IP アドレスの数 (IPv4 と IPv6 の両方のアドレス) に限度があります。この限度は、OSA-Express 装置のマイクロコード・レベルによって異なります。
この限度は、その OSA-Express 装置を共用するすべての TCP/IP スタックにわたって適用されます。
多数の VIPA を定義するときは、この限度を超えないように注意してください。
この限度を超えた場合、限度を超えた IP アドレスは OSA-Express 装置に登録されず、それらの IP アドレスを持つ着信パケットは正しいスタックへ経路指定されません。ただし、そのスタックが 1 次ルーターとして指定されている場合は除きます。