OPTLOCAL キーワードによるシスプレックス・ディストリビューターの最適化

図 1 は、OPTLOCAL キーワードを使用する構成のサンプルを示しています。

図 1. シスプレックス・ディストリビューターと OPTLOCAL キーワードを使用した z/OS 複数層アプリケーション・ロード・バランシング
OPTLOCAL キーワードを指定したシスプレックス・ディストリビューターを使用して最適化される 2 層サーバー・アプリケーションの構成

図 1 では、シスプレックス環境内の 2 つの中央演算処理装置複合システム (CPC) 上に存在する 4 つの LPAR にわたり、サーバーの 2 つの層が構成されます。層 1 サーバーは、ポート 8080 で listen しており分散 DVIPA1 によって表される z/OS® WebSphere® Application Server (WAS) のインスタンスから構成されます。シスプレックス・ディストリビューターは、各 WAS インスタンス用のサーバー固有 WLM 推奨値に基づいて、DVIPA1 着信接続を受信して 4 つの LPAR 内のアクティブな WAS インスタンスのいずれかへ分散するように LPAR2 上で構成されます (各ターゲット LPAR の動的 XCF アドレスによって指定)。要求が層 1 WAS インスタンスへ送信されると、その要求はそのサーバーによって処理されます。バックエンドの層 2 サーバーへ 1 つ以上の 2 次 TCP 接続を確立することができます。それらは、CICS® 領域のクラスターとなります (LPAR ごとに 1 つの CICS 領域)。

このシナリオでは層 2 接続へ分散するために他のシスプレックス・ディストリビューター機能を使用できますが、その構成では、何らかのパス長と処理が追加されます。これは、それらの接続に対するすべての接続要求とトラフィックが、選択された層 2 サーバー・インスタンスへ転送できるように LPAR4 上のシスプレックス・ディストリビューター・ルーティング・スタックを介して転送されるためです。この追加のパス長と処理は、指定された接続のための選択された層 2 サーバーが、その接続の発信元である層 1 サーバーと同じ LPAR 上にある場合であっても発生します。

余分なパス長を削減しつつ高可用性を保持するには、DVIPA2 に対して OPTLOCAL キーワードを指定して、次のいくつかの方法で処理を最適化します。

OPTLOCAL 機能は、最も一般的なシナリオ (ローカル・アプリケーションとローカル・システムが使用可能かつ正常稼働状態であるシナリオ) で最適なパフォーマンスを実現します。さらに、この機能はローカル・アプリケーションまたはローカル・システムが使用不可状態または過度な制約状態にある場合は、高可用性ソリューションも実現します。

VIPADYNAMIC ブロックで VIPADISTRIBUTE ステートメントの OPTLOCAL キーワードを使用して OPTLOCAL 機能を実装することができます。このキーワードは、ターゲット・スタックが、配分側スタックに接続要求を送信する必要なく、ローカル・スタック上のローカル・リソースのアウトバウンド接続を保持できるようにします。ローカル・スタックに対して表示される優先レベルは、OPTLOCAL キーワードで指定される整数値を使用して調整できます。

意味
0
0 を指定すると、サーバーが正常稼働状態である限り、接続はローカルのままとなります。他システムと比較して接続を受け入れ可能かどうかの考慮は、この場合は行われません。
1
1 の指定は、ローカル・スタック上のサーバーの WLM 重み付けが 0 である場合に、使用可能な最善のサーバーを検出するために接続要求がシスプレックス・ディストリビューターに転送される点を除いては、0 を指定した場合と同じです。
2 - 16
2 から 16 の値は、ローカル・スタック上のサーバーの WLM 重み付けに対する乗数として使用されます。その結果、その重み付けは増加するので、他のスタック上のサーバーよりもローカル・スタック上のサーバーが優先されます。指定する値が大きいほど、ローカル・スタックの優先度が高くなります。

値 0 または 1 で OPTLOCAL キーワードを指定すると、その配分方式は、指定されたターゲット・スタックから発生する接続には使用されません (その条件として、ターゲット・アプリケーションが同一スタック上にあり、現行のワークロードを処理できることが前提になります)。以下のいずれかの条件に該当する場合は、OPTLOCAL キーワードで指定された値にかかわらず、接続は配分側スタックに送信されます。

VIPADYNAMIC ブロック内の VIPADISTRIBUTE ステートメントでの OPTLOCAL キーワードについて詳しくは、「z/OS Communications Server: IP 構成解説書」を参照してください。