複数層アプリケーションの認識、およびこれらのアプリケーションがローカルにある場合の配分の最適化に加えて、CPCSCOPE キーワードを使用して、シスプレックス・ディストリビューターのロード・バランシング決定をさらに最適化することができます。この構成オプションは、同一 CPC 上の層 2 処理を実行できない層 1 サーバーへのワークロード分散を回避するために役立ちます。これには、異なる CPC 上にあるシステムにそれらの層 2 接続を分散する必要があります。図 1 は、 このオプションが役立つ可能性がある構成の例を示しています。
図 1 では、層 1 サーバー・アプリケーションに対する接続要求は、各システム上で実行されている層 1 および層 2 サーバー・アプリケーションの集約 WLM 推奨値に基づいてシステムに分散されます。層 2 サーバー・アプリケーションがローカル・システム上でアクティブになっていると仮定すると、OPTLOCAL キーワードの結果として、接続が層 1 サーバー・インスタンスへ送信される場合は、そのサーバー・インスタンスによって発信される後続のすべての層 2 接続はローカルの層 2 サーバーへ送信される可能性が高くなります。
層 1 サーバーが同一システム上の層 2 サーバーにアクセスできない場合は、接続要求およびそれらの関連データ・フローは、層 2 DVIPA 用のシスプレックス・ディストリビューターに送信されます。このディストリビューターは、シスプレックス内の別のシステム上にある可能性があります。そのシステムは、 層 1 サーバーと同じ CPC 上にある場合や、同じ場所の別の CPC 上、またはリモートの場所にある場合があります。シスプレックス・ディストリビューターは、その後、同じ CPC または別の CPC 上にあるターゲット層 2 サーバー・インスタンスを選択します。どちらの場合にも、層 1 サーバーから層 2 サーバーへのインバウンド・トラフィックは、層 2 サーバーに到達する前に 1 つ以上の CPC または外部ネットワーク・リンクへのトラバースが必要になる可能性があります。
CPCSCOPE キーワードを使用し、DVIPA の活動化と移動を特定 CPC に制限することにより、これらのフローを最適化することができます。それにより、同様に層 2 サーバーへのバックアップ・パスを使用する接続が可能になり、同一 CPC 上の LPAR 内にも保持されます。この最適化により、これらのバックアップ・データ・フローにおいて、HiperSockets™ など、CPC 内のセキュアで高速な仮想ネットワーク・リンクを活用できるようになります。また、この構成は、外部リンクをトラバースする必要性をなくすことによってこれらのデータ・フローが必ず最適化されるようにするために役立ちます。その結果、追加のネットワーク待ち時間および暗号化要件が生じる可能性があります。
図 1 には、次の 3 つの DVIPA が定義されています。
VIPADYNAMIC ブロック内の VIPADISTRIBUTE ステートメントでの CPCSCOPE キーワードに関する詳細は、「z/OS Communications Server: IP 構成解説書」を参照してください。