複数層の OPTLOCAL 構成のための z/OS 用シスプレックス・ディストリビューター拡張ワークロード分散

層 1 サーバー・アプリケーションと層 2 サーバー・アプリケーションの間でロード・バランシングを最適化するために OPTLOCAL を使用する環境では、層 1 サーバー・アプリケーション用のロード・バランサーとしてシスプレックス・ディストリビューターも使用することで、さらに最適化することが可能です。この最適化により、層 1 着信接続要求でのロード・バランシング決定を行う際に、指定されたシステム上の z/OS® サーバー・アプリケーションの両方の層がシスプレックス・ディストリビューターに対して可視になります。SERVERWLM などの WLM ベースの推奨値を使用している場合、この最適化により、シスプレックス・ディストリビューターが各システムに対して複合 WLM 重み付けを計算できるようになります。複合 WLM 重み付けには、層 1 サーバー・アプリケーションと層 2 サーバー・アプリケーションの容量特性、パフォーマンス特性、および正常性特性が含まれます。図 1 は、この機能強化を可能にする構成の例を示しています。

図 1. シスプレックス・ディストリビューターを使用した拡張された z/OS 複数層アプリケーション・ロード・バランシング
シスプレックス・ディストリビューターの
拡張ワークロード分散を使用して最適化される 2 層サーバー・アプリケーションを
示している

図 1 で示されているように、この構成では 2 つの VIPADISTRIBUTE ステートメントが必要となります。DVIPA1 用の 1 つ目のステートメントは、層 1 サーバー・アプリケーションへの分散を表し、各 LPAR 上で実行される WebSphere® Application Server インスタンスのクラスターです。DVIPA2 用の 2 つ目のステートメントは、層 2 サーバー・アプリケーションを表し、層 1 サーバーと同じ LPAR 上の CICS® 領域のクラスターです。

各 DVIPA 用の VIPADISTRIBUTE ステートメントには、各 DVIPA (TIER1 または TIER2) の役割を示す層仕様が含まれます。2 つの DVIPA は、共通グループ名仕様 WASCICS によってリンクされます。この関連により、シスプレックス・ディストリビューターが、そのシステム上で実行されている層 1 サーバー・アプリケーションと層 2 サーバー・アプリケーションの重み付けの組み合わせを反映する、各 DVIPA1 ターゲット・システム用の単一の重み付けを計算することができます。シスプレックス・ディストリビューターは、これらの重み付けの組み合わせに基づいて DVIPA1 への着信接続要求のワークロード・バランシングを実行し、各システムの集約能力に基づいて両方のサーバー・アプリケーション層の処理を実行してターゲット z/OS システムへ要求を分散できるようにします。

また、DVIPA2 用の VIPADISTRIBUTE ステートメントにも OPTLOCAL 仕様が含まれるため、層 1 着信接続要求は、通常は、後続の層 2 接続要求をローカルで保持することも可能にするシステムへ送信されます。 これにより、OPTLOCAL によって提供されるローカル最適化を保持している間に、新しいワークロードがより処理能力が高いシステムへ送信されるため、基本の OPTLOCAL 構成全体を改善することができます。

規則: この機能を使用するには、層 1 サーバーおよび層 2 サーバー用の配分方式が BASEWLM または SERVERWLM である必要があります。
ガイドライン: この機能を最大限に活用するには、層 1 サーバーおよび層 2 サーバーの両方の配分方式を SERVERWLM に設定します。これにより、シスプレックス・ディストリビューターが、各アプリケーション・サーバー層に対するサーバー固有 WLM 推奨値を取得することができます。重み付けの組み合わせは、システムの容量の代わりにサーバーの複合パフォーマンスを反映します。

VIPADYNAMIC ブロック内の VIPADISTRIBUTE ステートメントでの TIER1 キーワードおよび TIER2 キーワードに関する詳細は、「z/OS Communications Server: IP 構成解説書」を参照してください。