SMTP 規則の構文規則

SMTP 規則を作成するときは、以下の構文規則を使用します。

一部のキーワードは、規則インタープリターにとって特殊な意味を持ちます。例えば、NJEHostName キーワードは現在のシステムの NJE ホスト名を意味し、TCPHostName キーワードは現在のシステムの TCP ホスト名を意味します。有効キーワードについて詳しくは、SMTP 規則内の事前定義キーワードを参照してください。TCPHostName などの一部のキーワードの値は 1 つです。AltTCPHostName や AnyDomainName などの他のキーワードの場合には、多数の値を持つことができます。不明確にならないようにするため、複数の値を持つことができるキーワードで、いずれかの規則の after-address-pattern 内で使用されるキーワードはすべて、その規則の before-address-pattern に一度だけ出現しなければなりません。以下の規則例に、有効な構文を示してあります。
```
         A '@' AltTCPHostName '.' AltTCPHostName =>
            A '%' TCPHostName '@' TCPHostName;
 
```
以下の 2 つの規則には誤った構文があります。これは、最初のキーワード AltTCPHostName は、特定の値を持つキーワードに書き直す必要があるためです。AltTCPHostName は同じ AltTCPHostName に書き直されるように試みましたが、値が不明であり、これは無効です。
```
         A '@' AltTCPHostName '.' AltTCPHostName =>
            A '%' AltTCPHostName '@' TCPHostName;

         A '@' TCPHostName => A '@' AltTCPHostName;
```
before-address-pattern がヌル値を持つキーワードを組み込んでいる規則はすべて、ヘッダーの書き直し中は無視されます。したがって、システム構成データ・セット内で AltNJEDomain が定義されていない場合、before-address-pattern 内に AltNJEDomain を組み込んでいる規則は、ヘッダーの書き直し中は考慮に入れられません。
単一引用符または二重引用符で囲まれていない英数字の ID で、事前定義キーワードでないものは、規則ステートメントではワイルドカードと見なされます。ワイルドカードは、任意の (ヌル以外) 文字のシーケンスを表します。上記の規則例にある ID の A はワイルドカードです。そのため、host が現行サイトの NJE ホスト名であり、tcphost が現行サイトの TCP ホスト名である場合、上記の規則例は、abc@host と d@host をアドレス書き直しの候補と見なし、それぞれ abc@tcphost と d@tcphost に書き直します。不明確にならないように、いずれの規則の before-address-pattern 内でも、1 行に 2 つのワイルドカードは許可されず、同じワイルドカードを 2 回以上使用することもできません。以下の規則では有効な構文が使用されています。
```
         A '@' B TCPHostName      => A '%' B '@' TCPHostName;
         A '%' B '@' NJEHostName => A B '@' TCPHostName;
```
以下の規則には誤った構文があります。これは、最初の規則の行 A および B の中に 2 つのワイルドカードがあるためです。また、2 番目の規則には同じワイルドカードの A が反復して出てきています。
```
         A B '@' TCPHostName      => A A '%' B '@' TCPHostName;
         A '%' A '@' NJEHostName => A '@' TCPHostName;
```
単一引用符または二重引用符で囲まれて表示される文字ストリングは、規則インタープリターに対し、ヘッダー・アドレス内のどこに特定のストリングが現れるかを示します。上記の規則例の場合、before-address-pattern の中の '@' ストリングは、規則インタープリターに対し、アットマーク (@) を任意の文字ストリングと NJE ホスト名の間に表示しなければならないことを通知します。after-address-pattern の中の '@' ストリングは、規則インタープリターに対し、アドレスを書き直して、アットマークが任意のストリングと TCP ホスト名の間に表示されるようにしなければならないことを通知します。既に述べたように、単一引用符は大文字小文字の区別をしないストリングを示し、二重引用符は大文字小文字の区別をするストリングを示します。
文字間にスペースを設けていない文字シーケンス "=>" は、before-address-pattern を after-address-pattern から分離します。
規則が指定されている順序は重要です。before-address-pattern が現行アドレスと一致する最初の規則は、そのアドレスの変換を指示するための規則です。アドレスに関して一致した規則が検出されると、それ以外の規則は考慮に入れられません。

規則そのものの他に、システム構成時にデータ・セット内のどの規則をアクティブにすべきかを決定するための、幾つかの単純論理に関する機能があります。これらの条件は、以下の例に示すように、IF-THEN-ELSE ステートメントの形式で指定されます。

   IF cond THEN
      statement list
   ELSE
      statement list
   ENDIF

ステートメント・リストは、任意の数の規則またはネストされた IF ステートメント (あるいはその両方) で構成されます。各 IF ステートメントは、それがネストされているかどうかに関係なく、ENDIF キーワードで終わる必要があります。他のプログラミング言語における IF ステートメントの場合と同様、ELSE 節はオプションです。

IF ステートメントが認識するのは次の 2 つの条件だけです。

IF 事前定義キーワード = '文字ストリング' THEN ... ENDIF
IF 事前定義キーワード CONTAINS '文字ストリング' THEN ... ENDIF

条件演算子 = および CONTAINS に接頭部としてワード NOT を付けると、その条件を反転することができます。

事前定義キーワードは、システム構成時に単一の値に解決されるキーワードでなければなりません。最初の条件の中の文字ストリングはヌルでもかまいません。文字ストリングは、2 行以上にスパンすることはできません。

以下の例は、IF ステートメントの使用法を示しています。

IF NJEDomain = '' THEN
   A '@' AnyNJEHostName => A '%' AnyNJEHostName '@' TCPHostName;
ELSE
   A '@' NJEHostName '.' NJEDomain    => A '@' TCPHostName;
   A '@' NJEHostName '.' AltNJEDomain => A '@' TCPHostName;
   IF NJEDomain CONTAINS '.' THEN
      A '@' AnyNJEHostName                   =>
         A '@' AnyNJEHostName '.' NJEDomain;
      A '@' AnyNJEHostName '.' NJEDomain    =>
         A '@' AnyNJEHostName '.' NJEDomain;
      A '@' AnyNJEHostName '.' AltNJEDomain =>
         A '@' AnyNJEHostName '.' NJEDomain;
   ELSE
      A '@' AnyNJEHostName                   =>
         A '%' AnyNJEHostName '.' NJEDomain '@' TCPHostName;
      A '@' AnyNJEHostName '.' NJEDomain    =>
         A '%' AnyNJEHostName '.' NJEDomain '@' TCPHostName;
      A '@' AnyNJEHostName '.' AltNJEDomain =>
         A '%' AnyNJEHostName '.' NJEDomain '@' TCPHostName;
   ENDIF
ENDIF