IPv6 OSPF プロトコル

IPv6 OSPF は、内部ゲートウェイ・プロトコル (IGP) に分類されます。これは、すべてのルーターが共通のルーティング・プロトコルを使用するグループである、単一自自律型システム (AS) に属するルーター間に、ルーティング情報を配布することを意味します。IPv6 OSPF プロトコルは、リンク状態または shortest path first (SPF) テクノロジーをベースとしています。

IPv6 OSPF は、動的ルーティング・プロトコルです。これは、AS 内のトポロジーの変化 (ルーター・インターフェース障害など) を 素早く検出し、コンバージェンス期間の後、新しい非ループ経路を計算します。このコンバージェンス期間は短く、IPv6 RIP プロトコルに比べて最小限のルーティング・トラフィックが関与します。 しかし、この場合一般に、 参加するルーターに必要な CPU リソースが増加します。

IPv6 OSPF では、 ネットワークの集合をエリアというグループにまとめて入れることができます。 エリアのトポロジーは、自律型システムのその他の部分からは隠されています。このように情報を隠蔽することによって、ルーティング・トラフィックを大きく減らすことができます。またエリア内のルーティングは、そのエリア自体のトポロジーによってのみ決定されるので、不正なルーティング・データからエリアを保護できます。

各 IPv6 OSPF ルーターは自律型システムのトポロジーを記述するデータベースの維持を行います。 このデータベースのそれぞれ個別の部分は、特定のルーターのローカル状態 (例えば、ルーターで使用可能なインターフェースおよび到達可能な近隣) です。 ルーターは、そのローカル状態情報をフラッディングによって配布します。 エリア内のルーティング情報は要約され、隣接エリアに公示されて、 エリア間経路が生成されます。 このエリア間のルーティング情報の要約および公示は、エリア間のボーダーにあるルーター (エリア・ボーダー・ルーターと呼ばれる) の役割です。

経路を生成するために、すべてのルーターがまったく同じアルゴリズムで、並列に稼働します。 トポロジーのデータベースから、各ルーターは、それ自体をルートとする最短パスのツリーを構築します。 この最短パス・ツリーによって、自律型システム内の各宛先への経路が示されます。外部から派生したルーティング情報 (例えば、IPv6 RIP プロトコルから確認された経路) は、ツリー上にリーフとして表示されます。宛先への等価経路が複数ある場合、経路 (16 まで) が TCP/IP スタックの経路テーブルに追加されます。TCP/IP スタックは、経路テーブル用に構成されたマルチパス設定に 従って、これらの等価経路を使用します。複数の等価経路 は、経路テーブル用に構成されたマルチパス設定、および複数の等価経路の使用に関する追加情報を提供します。

外部から派生したルーティング・データは、自律型システム全体で透過的に受け渡されます。 この外部派生データは、IPv6 OSPF プロトコルのリンク状態データとは別に保持されます。 各外部経路にも公示ルーターによって (しかし OMPROUTE によって ではなく)、タグを付けることができるので、 自律型システムの境界上でルーター間の追加情報の受け渡しが可能になります。 OMPROUTE は、それ以外によって作成されたタグを渡します。IPv6 OSPF 構成の詳細は、OSPF および RIP (IPv4 および IPv6) を構成するステップを参照してください。