ロード・バランサー構成の詳細

この例では、ロード・バランサーは、いずれも TCP プロトコルを使用する 2 つのタイプのワークロード要求 (FTP トラフィックと HTTP トラフィック) を分配します。(必要があれば、UDP ワークロード要求も分配できるという点に注意してください。) SYSA では 1 つの FTP サーバーが実行されており、これは、一般サーバーとして 2 つの TCP/IP スタック間で共用されます。さらに、SYSA では、HTTP サーバーがスタック S1 にバインドされています。SYSB では、FTP サーバーと HTTP サーバーが実行されています。

ロード・バランサーは、Advisor のロード・バランシング接続ソケットの IP アドレスとポートを使用して構成する必要があります。 この例では、SYSB の TCP/IP スタックは、10.1.5.1 を動的 VIPA として定義しています。さらに、Advisor の構成ファイル内の lb_connection_v4 ステートメントで、これと同じアドレスおよびポートが Advisor に対して定義されています。ロード・バランサーは、インターフェースの 1 つを使用して Advisor と通信します。このインターフェースに割り当てられる IP アドレスは、Advisor の lb_id_list ステートメント内にコーディングしておく必要があります。 この例では、ロード・バランサーは、アドレス 10.1.10.11 に割り当てられているインターフェースを使用します。ロード・バランサーがどのインターフェースを使用して Advisor と通信するかを判別する方法については、ご使用のロード・バランサーの資料を参照してください。

ロード・バランサーは、クラスター IP アドレス 10.2.1.21 を公示し、シスプレックス内の特定アプリケーションに接続しようとするクライアントは、プロキシーとしてのこのクラスター ID に接続することができます。接続がロード・バランサーに到達すると、ロード・バランサーは、要求の実際のターゲットを判別するために、Advisor から提供された情報を調べるほか、場合によってはパケットの内容も調べます。ロード・バランサーは、パケット・ヘッダー内のターゲット IP アドレスを、新規ワークロード要求の受け取りに最も適しているメンバーの IP アドレスで置き換えることも、適切な MAC アドレスを使用してパケットをそのまま転送することもあります。例えば、TCP プロトコルを使用して、ポート 21 への接続要求がロード・バランサー (10.2.1.21) に到達したとすれば、ロード・バランサーは、その時点でどのメンバーが最適の候補であるかに応じて、10.1.10.22、10.1.10.3、または 10.1.10.1 のいずれかにパケットを転送します。

FTP ワークロード要求をシスプレックスに分配するために、FtpServerFarm と呼ばれるグループがロード・バランサーに対して定義されています。 ロード・バランサーは、クラスター IP アドレス 10.2.1.21、ポート 21、およびプロトコル TCP を、このグループにマップします。 つまり、宛先 10.2.1.21、ポート 21 の TCP 接続を受信した場合、ロード・バランサーはこのグループを調べて、接続をどのメンバーに転送できるかを判断します。 このグループ内には、FTP 接続を取り扱うことのできるメンバーが 3 つあり、それぞれシスプレックス内のターゲット・アプリケーションを表しています。 1 つのターゲットには、ポート 21 の 10.1.10.22 で到達でき、第 2 のターゲットにはポート 21 の 10.1.10.3、そして第 3 のターゲットにはポート 21 の 10.1.10.1 で、それぞれ到達できます。 これらのメンバーが表しているターゲット・アプリケーションは、必ずしも、すべての時点ですべてが使用可能である必要はありません。 ロード・バランサーは、現在使用可能ではないターゲット・アプリケーションには、接続を転送しようとしません。 したがって、このグループ内のメンバーが表すターゲット・アプリケーションのリストは、可能性のあるメンバー (このメンバーは現在または予測可能な将来においてこのワークロードを処理可能) の完全なセットである必要があります。

HTTP ワークロード要求をシスプレックスに分配するために、WebSrvrFarm と呼ばれるグループがロード・バランサーに対して定義されています。 ロード・バランサーは、クラスター IP アドレス 10.2.1.21、ポート 80、およびプロトコル TCP を、このグループにマップします。 つまり、宛先 10.2.1.21、ポート 80 の TCP 接続を受信した場合、ロード・バランサーはこのグループを調べて、接続をどのメンバーに転送できるかを判断します。 このグループ内には、HTTP 接続を取り扱うことのできるメンバーが 2 つあり、それぞれシスプレックス内のターゲット・アプリケーションを表しています。 1 つのターゲットにはポート 80 の 10.1.10.22 で到達でき、もう 1 つのターゲットにはポート 80 の 10.1.10.1 で到達できます。