データを活用してビジネス課題を解き明かす

今回は、IBMコンサルティング事業本部のデータサイエンティスト、Yoheiさんのインタビューをお届けします。

 

IT×データサイエンスの軸で、将来のキャリアを考える

学生時代は統計学を専攻していて、不完全データの統計解析やテスト理論に関する研究を行っていました。企業と連携し、企業が抱えている数理的な課題を解き明かすことを研究の目的としていたため、将来のキャリアとしても、統計解析の知識や技術が活かせる仕事に就きたいと考えていました。

就職活動は、IT×データサイエンスを軸にしていました。IT業界に興味があり、特に人工知能や仮想現実などのテクノロジーに関心があったので、最先端のテクノロジーを駆使して世界を牽引するイノベーションを実現したいという想いがありました。

IBMとの出会いは夏のインターンシップです。5日間のプログラムで、IBM製品を用いたハッカソンやデザインシンキングをテーマにしたグループワークなどを行いました。特に印象的だったのは、レゴブロックを使ったグループワークで、チーム毎に与えられたブロックを使ってお客様の要求に合った家を建築するというものでした。様々な仕掛けがあり、臨機応変で柔軟な対応が問われましたが、最終的にはお客様の求める成果物を作り上げることができました。IBMでの仕事に求められる思考法やプロセスを擬似体験することができ、IBMへの入社意欲が高まるプログラムだったと思います。

私が入社した当時は、データサイエンティストの新卒採用枠が無かったため、IBMにはITスペシャリストとして入社しました。入社後、データ分析に関するプロジェクトを探し、積極的に手を挙げることでアサインを獲得し、業務経験を積んでいきました。キャリアのスタートはデータサイエンティストではなかったのですが、IBMは自分の意志を周りに伝えて行動すれば、やりたいことが叶う会社だと思います。

 

より重要になるのは「ビジネス力」のスキル

よく学生の方から、どのようなスキルが必要かという質問をいただきます。その際、データサイエンティストに求められるのはデータ分析の力だけではなく、お客様の問題を解決するための幅広いスキルが必要であるという話をしています。一般的に、データサイエンティストには3つのスキル領域が必要とされています。ビジネス課題を理解して解決に導く「ビジネス力」、統計学や人工知能などの知識を理解して使う「データサイエンス力」、システムの実装や運用によってデータサイエンスを意味ある形にする「データエンジニアリング力」の3つです。実際にデータに触れて分析を行うだけではなく、分析企画の立案や業務への組み込みもデータサイエンティストが関わる仕事です。「データサイエンティストは分析屋」というイメージを持っていると、実際の仕事内容にギャップを感じると思います。

近年では、生成AIの発展と普及により、分析プロセスに生成AIを活用するケースが増えています。例えば、データの加工から解析処理、結果の要約に至るまで、これまでデータサイエンティストが担当していた業務の一部は生成AIに置き換わりつつあります。しかし、分析結果を得るだけではビジネスに価値をもたらすことはできません。分析結果をもとに意思決定を行い、やがて利益を生み出すことで、初めて真の価値を得られます。そのため、生成AI時代のデータサイエンティストには、「ビジネス力」のスキルがより求められると考えています。ビジネス課題を解決し、利益を生み出すためにどのようなプロセスが必要か、プロセスの実現にどのようなデータが必要かといったビジネスデザインの設計が最も重要であり、データサイエンティストとしての真価が最も問われるスキルであると考えています。IBMには多くのナレッジやノウハウの蓄積があり、過去の事例などから日々情報を集めることで、ビジネス力のスキルアップを目指しています。

 

 

データ分析のスキルを、プロジェクトで活用する

現在私は、自動車業界のお客様に対して、分析プロジェクトの計画策定から運用保守までのプロジェクトマネジメント支援、データ分析に関する技術的アドバイスやスキルトランスファーなどを行っています。具体的には、SNSデータを活用したマーケティングリサーチの分析プロジェクトの支援に従事しており、「どのような価値観や嗜好性を持った人が、製品やサービスに対してどのような購買行動を取るのか」をデジタルデータから紐解き、市場実態の把握や仮説検証を通して、マーケティング施策の検討や実行、将来的な需要予測モデル構築の実現を目指しています。お客様にはマーケティングやデータ活用のエキスパートの方が多く、IBMとしてはお客様が抱えているマーケティング課題の解決のために、自身が有するデータサイエンスの知見を活かして統計的手法を用いたアプローチを提示したり、IBM製品と連携したシステムの開発を行うことで、業務の効率化や業務改善に尽力しています。データ分析やモデル開発以外にもプロジェクトマネジメント支援として、業務課題の整理や計画策定、運用設計、定例会議の運営など幅広い業務を担当しています。また、IBM社内ではプロジェクトマネージャーとして、若手のチームメンバーに対してナレッジ共有や技術的サポート、メンバーの自律性を高めるためのメンター活動を行っています。

データサイエンティストの仕事の中で特に難しいと感じるのが、構想を形にして概念実証や価値実証に進んでも、モデルの精度や費用対効果の観点から実用化に至らないケースが多く、トライ&エラーだけを繰り返してしまうという点です。構想を机上の空論で終わらせないためには、業務背景を深く理解し、実効性と実行性の高い打ち手を考える必要があり、実用化を通じてビジネス課題を解決することで真の価値をもたらすことができると考えています。

 

理想のロールモデルを作り出すことで、キャリア形成を実現

IBMには様々なバックグラウンドを持った社員がいます。そのため、業務を通じて多種多様な経験や考え方に触れることができます。共感できる考え方や模範となる行動の要素を集め、理想のロールモデルを作り出すことで、自身のキャリア形成を実現しています。また、同期や同年代の社員が多く、気兼ねなく仕事の相談や情報交換ができることも魅力に感じています。横の繋がりを通じて、働く上での不安や悩みを解消し、ステップアップする意識を高められていると実感しています。

インターンシップは、IBMでの働き方を疑似体験しながら、IBMという会社の魅力を知ることができるプログラムです。様々なスキルが問われる試練が待ち受けているので、今後のキャリアを考えていく中で、今の自分の立ち位置を知るきっかけにもなると思います。IBMで働く上で活かせそうな強みは何か、今の自分に足りていないスキルは何か、周りの学生が持っている強みは何かなど、様々な視点での学びを得ることができると思います。良い意味でIBMに対するイメージが変わる体験になると思うので、ぜひチャレンジしてみてください。

将来的には、データサイエンス業界の第一線で活躍するデータサイエンティストになりたいと思っています。生成AIなどの技術革新により、データサイエンティストに求められるスキルは変化していますが、根底にある「データを活用してビジネス課題を解き明かす」というデータサイエンティストのあり方は変わらないと確信しているので、ビジネス変革を牽引するエキスパートとして、より高みを目指していきたいと思っています。

 


 

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