IBM Spectrum Scale レプリケーションの構成

IBM Spectrum Scale レプリケーションを使用すると、ファイル・システムの整合したレプリカが 2 つ維持されるため、ストレージ・レベルの高可用性を実現できます。どちらのレプリカも、他方に障害が発生した場合のリカバリーのために使用可能です。 2 つのレプリカは、レプリケーションに基づく論理的なミラーリングを使用して同期され続けます。このミラーリングに、基礎のディスク・サブシステムによる特別なサポートは必要ありません。

IBM Spectrum Scale レプリケーションは、従来の単一サイトの pureScale® または Geographically Dispersed pureScale Cluster (GDPC) 環境にデプロイして、ストレージ・レベルでシームレスなフェイルオーバーを実現することができます。 最高の可用性と災害時回復力を必要とするクラスターでは、地理的に分散した 3 つのサイトで IBM Spectrum Scale レプリケーションを構成することをお勧めします。 3 サイトの要件は、GDPC の推奨トポロジーと同じです。 これらを組み合わせることで、可用性の高いアクティブ/アクティブの pureScale クラスターが提供され、地理的に離れた 2 つのデータ・センターにわたるシームレスなフェイルオーバー機能と、3 つ目の別個のタイブレーカー・サイトが提供されます。

図1: 単一サイト IBM Spectrum Scale レプリケーション・トポロジー
単一サイト IBM Spectrum Scale レプリケーション・トポロジー
図2: マルチサイト IBM Spectrum Scale レプリケーション・トポロジー
マルチサイト IBM Spectrum Scale レプリケーション・トポロジー
IBM Spectrum Scale レプリケーションの特徴は次のとおりです。
  • ファイル・システムの第 1 レプリカ用と第 2 レプリカ用に 2 つの別個のストレージ・コントローラーが提供されます。 これらのストレージ・コントローラーをそれぞれ冗長グループ 1 および 2 といいます。 IBM Spectrum Scale は、データとファイル・システム・メタデータの両方を冗長グループに保管します。
  • RSCT および IBM Spectrum Scale のどちらのクラスターでも、タイブレーカー・ディスク・クォーラムではなくマジョリティー・ノード・クォーラム が使用されます。 レプリケーション環境に 2 つのストレージ・コントローラーが存在するため、どちらか一方のストレージ・コントローラーにクラスター・クォーラム・タイブレーカー・ディスクを配置すると、実質上、そのストレージ・コントローラーが単一障害点になります。
  • マジョリティー・ノード・クォーラム を使用する場合、クラスター内のホストの総数は奇数です。 ホストの数が奇数なので、クラスター状態があいまいになる以下の 2 つのシナリオが回避されます。
    • クラスター内の半数のノードの障害。 ホストの数が奇数のクラスターでは、クラスター内の、障害時に使用不可となるクラスター・ノードは半数より少ないか半数より多いかのいずれかです。 クラスター内で使用可能なクラスター・ノードが半数より多いケースでは、マジョリティー・クォーラムが維持されるため、影響は生じません。 クラスター内で使用可能なクラスター・ノードが半数より少ないケースでは、機能しているノードの数がクォーラムに達しないため、クラスター全体の障害となります。
    • ネットワーク分割が発生する際に、クラスターが半分に分割されて、分割されたその 2 つのサブクラスターの間で通信が行われません。 このシナリオでは、一方のサブクラスターに他方よりも 1 つ以上多くのノードがあります。 より多くのノードを持つサブクラスターは、マジョリティー・クォーラムとなるので、存続します。
    マジョリティー・ノード・クォーラム には、以下の特性があります。
    • 地理的に離れた 3 つのサイトからなる GDPC では、1 次サイトと 2 次サイトのそれぞれに同じ数のメンバーと 1 つの CF が存在します。 3 番目のサイトには 1 つのタイブレーカー・ホストが存在します。 タイブレーカー・ホストは、すべてのファイル・システム・タイブレーカー・ディスクが含まれているファイル・システム・タイブレーカー冗長グループの所有者です。 これらのディスクには、ファイル・システム記述子情報 (例えばファイル・システム構成メタデータ) のみが格納されます。
    • 単一サイトの pureScale クラスターでは、クラスター・サイズが奇数の場合、専用タイブレーカー・ホストは必須ではありません。 ファイル・システム・タイブレーカー冗長グループ TB を所有するメンバーとして、メンバーが 1 つ選択されます。
  • 共有ファイル・システムごとに、ファイル・システム・クォーラム用とリカバリー用に別々のファイル・システム・タイブレーカー・ディスクが必要です。 各ディスクには最低 50 MB が必要です。 ローカルの物理ディスクまたは論理ボリューム (LV) を使用できます。
  • タイブレーカー専用のホストを使用する場合、このホストから必要なアクセスは、同じクラスター内の他のホストへの TCP/IP アクセスのみです。 冗長グループ 1 および 2 のデータへのアクセスは必要ありません。