AIで生まれ変わるコンサルティング

新たな価値創造に向け、ソフトウェアと人材の融合が始まっています。あなたの組織のコンサルタントは進歩を加速していますか、それとも現状に甘んじていないでしょうか?
新たな価値創造に向け、ソフトウェアと人材の融合が始まっています。あなたの組織のコンサルタントは進歩を加速していますか、それとも現状に甘んじていないでしょうか?

AIのおかげで人はテクノロジーをより簡単に使いこなせるようになり、ソフトウェアが人々の能力を強化しています。人々は以前は不可能だった方法でビジネス価値を創出できるようになりました。

このような環境において、組織のリーダーは、AIを用いて複雑な問題にかつてないスピードと精度で対処するコンサルタントと仕事をすることを期待しています。彼らは結果にこだわり、急速な変化への適応を支援してくれる信頼できるパートナーを求めているのです。

期待値がどのように変化しているかを理解するために、IBM Institute for Business Valueはオックスフォード・エコノミクス(Oxford Economics)社の協力のもと、コンサルティング・サービスを購入する世界の経営層を対象に調査を行いました。その結果、回答者の75%が、AIがコンサルティングの使用に良い影響をもたらすと期待していることが分かりました。

経営層はコンサルティングへの総支出を増やす計画です。ただし、AI活用によってコンサルタントの提供価値が拡大することを期待しています。


それゆえ、コンサルティング顧客の86%が、AIとテクノロジー資産を組み込んだサービスを積極的に探していることは驚くに当たりません。3分の2は、さらに踏み込んで、AIを提供サービスに組み込まないコンサルティング事業者との取引をやめるつもりだとしています。

なぜなら、コンサルティングの顧客は、現在のスキルやプロセスおよびテクノロジーで将来のビジネスを運営することはできないと認識しているからです。カスタマー・サービス、IT、研究開発、マーケティングなどをはじめとする主要部門は、すでに生成AIや機械学習などのAI技術を活用し、生産性とイノベーションを向上させています。これが、企業のAI支出が2022年12月から2024年3月の間に78%も急増した理由です。

しかし、ツールとしてのAIだけでは限界があります。AIが真のビジネス価値をもたらすには、適切な専門性・スキル・優れた意思決定能力・技術的能力との結び付き、そして使い勝手の良さが必要です。この融合が実現すれば、コンサルティング・サービスの提供および消費の方法は間違いなく抜本的に変化します。
 

コンサルティングの業務モデルの再定義


改革にかかるコスト

新たなテクノロジーは当然、生産性を改善します。しかし、AIのような真に革新的なテクノロジーは、何が可能かを改めて考え直す機会をもたらし、まったく新しいビジネス、業界、経済を生み出すものです。

進歩したAIはコンサルタントに取って代わるのではなく、コンサルタントの存在価値をさらに高めます。実際、コンサルティング顧客の86%は、今後コンサルティングのための支出が増えると見込んでおり、94%がAIはコンサルティングの効率を向上させると見込んでいます。コンサルティングへの平均支出は、現在の総収益の2.8%から、2026年には4%以上まで増加すると見込まれています。これは「Fortune Global 500」にランクインする企業に当てはめると、年間5,000億ドル以上の増加となります。

89%の顧客は、コンサルティング・サービスにAIが組み込まれ、生産性と品質が改善することを期待しています。


AIがビジネス機会の新たな地平を拓く中、いち早く自己改革を行う企業が競争優位性を得られます。そして、経営層はコンサルタントがこのデジタル・トランスフォーメーション(DX)の課題への対応を支援することを期待しています。89%の顧客は、コンサルティング・サービスにAIが組み込まれることで、生産性と品質が向上することを期待しています。また、80%がデジタル化されたデリバリー・モデルの増加を求めていると回答しました。

顧客は、コンサルタント会社がAIを活用してサービス内容を抜本的に見直すと同時に、AIによるコスト効率の向上も望んでいます。78%のコンサルティング顧客はコスト削減とデリバリー効果の向上を期待しています。

より多くの価値をより速く、より低コストで得る―これは夢のシナリオです。しかし、コンサルタントはこの要望に応えられるでしょうか。それは、エビデンスに基づく実験、継続的な反復による改善、チェンジマネジメント、ユーザー中心主義の設計を重視するテクノロジー主導のアプローチを取る場合にのみ、可能となります。

このモデルでは、コンサルティングのパートナーシップがはるかに共生的なものとなります。コンサルタントは1つの問題を解決したり、独立した幾つものプロセスを合理化したりするために雇われるのではありません。ビジネス・パフォーマンス改善のために幅広く機会を見つけ、具体的な成果をもたらすソリューションを設計する役割を担うのです。コンサルタントは特定の限定的な成果物を提供する時間制限のあるエンゲージメント契約を結ぶのではなく、組織のリーダーと継続的価値をもたらし、ビジネス戦略に沿った長期的なパートナーシップを構築します。

AIアシスタント、再利用可能な資産、実績のある手法が継続的改善サイクルを強化します。


しかし、コンサルタントにもさまざまなタイプが存在します。コンサルティング顧客は今後、戦略的かつ責任を持ってパートナーを選択し、自社独自のニーズに合ったAIモデルとプラットフォームを使用していく必要があります。より多く、より大規模なモデルと資産が、常により優れているとは限らないのです。目的に合わせて適切なツールを適切な時に使うことが重要です。優れたガバナンス、責任あるAI、信頼性、透明性が、資産の使用方法を考える際の中核となるべきです。

本レポートをダウンロードして、コンサルティングの業務モデルがいかに変化しつつあるか、コンサルティングの顧客関係やパートナーシップにいかに変化への適応が求められるか、そして、AIがもたらす未来に向けて信頼に足る長期的なパートナーシップを構築する際、ビジネス・リーダーは何を求めるべきかについて、学びを深めてください。


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著者について

Matthew Candy

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, Global Managing Partner, IBM Consulting


Jacob Dencik, Ph.D

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, Research Director, IBM Institute for Business Value


Salima Lin

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, Global Managing Partner, IBM Consulting


Blaine Dolph

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, IBM Fellow and CTO, IBM Consulting Assets and Industries

発行日 2024年10月18日