CEOのための生成AI活用ガイド — 総集編 第二版

生成AIの登場は、CEOたちに『急速な変化に、組織はどれだけ速く適応できるのか』という挑戦状を突き付けています。

生成AI は、組織を労働集約型から知的資産を活かした仕組みへと転換させ、人の能力を強化し、生産性を飛躍的に向上させるでしょう。また、これまで従業員では不可能か費用的に見合わないと思われていた高付加価値ソリューションに実現可能性が生まれ、新たな市場開拓につながることも期待されます。

重要なのは、AI 活用（ユースケース）を組織全体に広く展開するのではなく、価値を生むものに絞り込むことです。CEO は、自社における生成AI の用途や機会を広く探るべきではありません。どうすれば自社が抱える最大課題を解決できるのかを問うべきです。この時代を勝ち抜けるリーダー、それは「あくまでも自社の戦略から外れることなく、最速で実行できるリーダー」でしょう。

IBM Institute for Business Value（IBM IBV）は、生成AI という急速に進化するテクノロジーを経営幹部がどう活用しているのかを調査すべく、2023 年、24 年に世界のCEO をはじめとする経営幹部1 万人超を対象としてインタビューを行いました。その中で、生成AI の影響が最も大きいと予想される分野、今後の投資計画、克服しなければならない障壁について尋ねています。

調査結果は、明るい未来を予見するものでもありました。導き出されたインサイトは、多くの新たな課題を浮き彫りにすると同時に、CEO が生成AI の時代を最大限に活用するための戦略を示しています。

本書はIBM が数十年にわたりクライアントと協力しながら、AI やその他のテクノロジーを効果的に適用してきた経験と、現在進行中の迅速対応調査の結果を組み合わせたものです。IBM はテクノロジーを活用して世界をより良くしようと取り組んできた長い歴史を持ちます。この独自の姿勢から、各社の経営層が生成AI を「自分たちに起きた」出来事のように受け身で扱うのではなく、生成AI を「自分たちの役に立つ」ツールとして積極活用できるよう支援することができます。

22 章に及ぶ本書には、多くの適用事例や行動事例が掲載されています。「顧客および従業員とのエンゲージメント戦略を生成AI がどう変えるのか」「データ・ドリブンなテクノロジーとともに生成AIはどのように企業変革を加速させるのか」「ディスラプション（創造的破壊）や変化が待ち受ける未来に向けて、生成AI がオペレーションをどう強靱化（きょうじんか）させていくのか」など、貴社のビジネス変革を探求する一助となれば幸いです。（「序文」より抜粋）

本書の特徴
 

• ビジネスリーダーが人工知能と自動化の進展から期待する結果、そしてそれらへの対応策を、調査データ結果をもとに示しています。
• 各章には、CEOが知っておくべき3つのことと実行すべき３つのことをまとめています。
• 多くのCEOとのインタビューから、生成AIを活用することで生じる課題と機会について、生の声をご紹介しています。
   

CEOのための生成AI活用ガイド・シリーズ一覧（公開順）

本書のインサイトは、IBM Institute for Business Value（IBV）とOxford Economics社による生成AIに関する複数の独自調査に基づいています。最新の調査は、2024年6月から7月にかけて、米国の16業種の経営層207人を対象にコンピューティング・コストと生成AIに関する意見を収集したものです。また、2023年12月から2024年4月にかけて、持続可能なIT業務について世界の19業種の1,110人の経営層を対象に行った調査も含まれています。これらの調査は、生成AIの導入とその影響、特にコスト管理、ハイブリッドクラウドの活用、ITインフラの最適化に焦点を当てています。