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THINK Watson

テキストから人の性格を見破るAIは本物か

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*本記事および画像は、NewsPicks Brand Designが制作したものを許諾のもと転載しています。

 

AIの領域で先陣を切るWatson。その機能は豊富にあり、「API」というソフトウェアを使って、それぞれの機能を“呼び出し”、自らが持つソフトウェアやシステムと連動させて利用することができる。本企画では、数あるWatson APIの中でも3つのAPIにフォーカスを当て、その特長を知る。今回は性格分析編だ。

 

文章は性格を表す

現在公開されているWatson APIの中でも、特にユニークなものに「性格分析(Personality Insights)」がある。文章を解析して、書いた人の性格(パーソナリティ)を推定するサービスだ。

これは、特定の人について、その人がメールやTwitterなどに投稿した文章、あるいは掲示板への書き込みなどを集めて、その人のパーソナリティに関する特性を分析する。分析するのはテキスト情報なので、電話での会話の音声データをテキスト化してインプットデータとすることも考えられる。

性格を推定するといっても、Personality Insightsのアプローチは行動心理学とは異なる。行動心理学では「こんな行動をしたからこんな性格」というように判断するのが一般的だ。

しかし、Personality Insightsは、文章をどう書いているか、「気持ちを表す動詞をどれくらい使っているか」「ネガティブ表現を使っているか」「数字をどれくらい使っているか」といった言葉の使い方などを分析して性格を推定する。文章の書き方が性格と密接に関連するということだ。

Personality Insightsでの性格の推定は、心理学で標準的に利用されている「ビッグ5」と呼ばれる評価尺度を軸に行われる。ビッグ5は外向性、誠実性、協調性、知的好奇心、情緒不安定性の5つの「個性」だ。そのほか、「価値観」や「欲求」に関しても推定する。書いた本人が意識していない感情を指摘できるなど、新たな発見もありそうだ。

Personality Insightsの評価尺度

日本IBMのデモサイトでは、「ツイート分析」で著名人のTwitterのツイート履歴から解析を行っているサンプルを見ることができる。日本語で提供されているのはテキサス・レンジャーズのメジャーリーガー、ダルビッシュ有投手のものだ。

また、「テキスト入力」ではオバマ前大統領のディベートやインド独立の父ガンジーのスピーチ、さらには夏目漱石の小説が分析の対象として選択可能となっている。さらに、「あなたのTwitterによる分析」で自分のTwitterの文章を分析させることもできる(参考ウェブページ)。

 

意外な一面が明らかに

Personality Insightsの性格分析は、ビジネスにおいてどのような利用方法が考えられるだろうか。

例えば、自社のサイトで何らかの発表を行う際にこの分析を利用する。最近は、公表した文章が意図していない伝わり方をし、“炎上”してしまうケースをよく見かける。発表する文章をPersonality Insightsの性格分析で事前にチェックして、どんな受け取り方になるのか確認しておくことで、思わぬトラブルを避ける有効な一助になるのではないだろうか。

文章で性格分析すると、自分では気づかない意外な一面が明らかになる可能性もある。面白いところでは、トランプ米国大統領のTwitterへの投稿文がある。

「米国でトランプ大統領とオバマ前大統領の就任演説を分析して比較したところ、trust (信用度) の数値がオバマ大統領よりトランプ大統領の方が高くなりました。ただ、オバマ前大統領が数回 “trust” という言葉を発していたのに対し、トランプ大統領は一度も使っていなかったそうです。このように Personality Insights は単純に使用した言葉で分析しているわけではなく、そのため話者本人の意図とは異なる受け取り方をされる可能性を提示することができます」(日本IBMの戸田亮・Watsonエバンジェリスト )

大統領選勝利演説から分析したドナルド・トランプ氏のパーソナリティ

 

顧客の性格を知り商品を勧められる

Personality Insightsの性格分析は、自社の社員がどんな特性を持っているのかを把握するためにも活用できそうだ。

最近では、人事管理にテクノロジーを活用したHR Techを取り入れる企業も増えている。社内SNSなどの書き込みに対して性格分析を行うことで、それぞれの社員にどんな特性があり、どんな価値観を持っているかを把握しやすくなる。それにより能力を発揮できるような人事配置が可能となるだろう。

また、厚生労働省が従業員50人以上の企業にストレスチェックを義務化するなど、日本の企業でもメンタルヘルス対策が必要となっている。Personality Insightsの指標を使って社員の書き込みを分析すれば、その社員が落ち込んでいるサインを見つけ出すことができるだろう。そういった予兆の発見で、うつ病などへの早期対応が可能となる。

さらに、自社の顧客関係のアプリケーションにPersonality InsightsのAPIを連携させて使うことで、より有効な顧客情報になることも考えられる。顧客の性格を考慮して商品やサービスを勧められるということだ。

例えば、金融商品を販売する際に、「消極的」と分析された顧客にはリスクの少ない堅実な商品を勧めるといった営業戦略がとれる。あるいは、特定の性格を持った人に人気の高い商品を、同様の性格を持つ人に提案すれば、購入してもらえる確率は高まるだろう。企業が顧客を的確にサポートするために活用できるということだ。

Personality Insightsの性格分析で用いるデータは、これまで企業が戦略的になかなか利用することができなかったと思われるが、Personality Insightsのおかげで価値を持ち、企業にとって有用なものとなりそうだ。今後は、顧客やクライアント、ビジネスパートナーなどの性格の傾向をあらかじめ把握したうえで対応していくという流れが出てくるかもしれない。

 

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