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【インタビュー】 企業のイノベーション創出を支援するIBM Garage、国内における本格的な展開をスタート!

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この記事はeiiconに掲載された記事を転載したものです。

日本IBM(以下、IBM)は2018年1月より、自社の誇る多彩な人材やデジタルの知見、自由な実験場などを同時に提供することで、アイデアの創出から、PoC(概念実証)・顧客実証実験までをアジャイルに繰り返し、あらゆる企業に対してスタートアップのようなイノベーション創出を支援するIBM Garageの国内における本格的な展開をスタートした。

フットワークの軽いスタートアップや競合企業よりも、迅速なスピードでイノベーションを生み出すことが求められるものの、自社だけで取り組んでも上手くいかず、なぜ失敗したのかさえ分からない。――そんな課題を抱える企業にとって、IBMの豊富なノウハウ・実績が集積されたIBM Garageは強力な味方となるはずだ。

グローバルでは既に多くの成功事例を生み出しているIBM Garageが、国内の新組織であるIBM イノベーション&インキュベーション ラボ(i3 Lab)のもとで展開される理由をはじめ、既存の共創・新規事業創出サービスとの違い、海外での事例や国内における近況などについて、同社の木村幸太氏に伺った。

▲日本アイ・ビー・エム株式会社 グローバル・ビジネス・サービス事業本部 IBM イノベーション&インキュベーション ラボ(i3 Lab) IBM® BlueHub Lead 木村幸太氏

新卒で旧・IBMビジネスコンサルティングサービスに入社。CRMやマーケティング、営業戦略等、フロント領域を中心にコンサルタントとしてさまざまなプロジェクトで活躍。同社と日本IBMの経営統合に伴う転籍後、同社のインタラクティブエクスペリエンス事業部を経て、2018年1月にIBM GarageやIBM® BlueHubなどを包括する新組織、IBM イノベーション&インキュベーションラボ(i3 Lab)に着任。

 

顧客のイノベーション創出のために、IBMオールで支援できる体制を構築

――2018年1月に立ち上がった新組織、IBM イノベーション&インキュベーション ラボ(以下i3 Lab)がリードするIBM Garageの概要や立ち上げの背景について教えてください。

IBM Garageの基となっている”ガレージモデル”について簡単に説明すると、「お客様と長期的なパートナーシップを結び、お互いに結果にコミットする」というサービスになります。ここで言う結果とは、事業化やデジタルを活用した製品・サービスのリリースなどになりますが、PoCの実施だけで終わるのではなく、複数年でのパートナーシップ契約をもとに、数年後のビジネスゴールを設定・達成していこうというものです。お客様のビジネスに対して明確な価値・効果を提供していくためのコンセプトでもあります。

――ガレージモデルは、IBMグローバルで導入されているものなのでしょうか。

その通りです。ガレージモデル自体は数年前からIBMのグローバルで導入されており、成功事例も増えてきました。そこで日本にも導入できないかという話になり、昨年、IBM Garageに関するタスクフォースが組まれ、私自身も参加することになったのです。

――なるほど。

しかし、実際の提案活動を進めていくと、自部門で提供しているサービスやソリューションに閉じていては、お客様の変革を推進することが難しいことが分かりました。そこで、IBMオールの総合力でお客様をご支援できる体制を整える必要があるだろうということになったのです。

――そのような理由があってi3 Labのもとで展開されることになったと。

はい、そうですね。現在、私たちが所属しているグローバル・ビジネス・サービス事業本部には様々な業種別のセクターがあるのですが、i3 Labはそれらを跨ぐクロスファンクショナルなチームとして位置付けられています。「総合力・ワンストップ」をキーワードに、IBMが持つ様々な強みを幅広い業界・業種のお客様に提供していくことがミッションです。このi3 Labを中心にIBM Garageを提供できる体制ができたことにより、プロジェクトの内容に応じて部門横断的に様々なチームから人材をアサインできるようになりました。

――部門横断的に人材をアサインされるということですが、例えばどのような人材がアサインされるのでしょうか?

お客様の課題やニーズによって異なるのですが、私たちがアイディエーションの段階から入って、「何をするのか」というところからデザインシンキングベースで方向性を決めていくケースもあります。当社には、経営コンサルタントや業務コンサルタント、デザイナー、データサイエンティスト、エンジニア、リーンスタートアップの専門家など、多様な人材がおり、そうした異能の人材が集まってお客様と共に様々な角度からアイデアを出し合い、生まれたアイデアに対してさらに適切な人材をアサインしてプロジェクトを進めていきます。

アイデアによってはアナリティクスが必要であったり、IoTやAIであったり、さらにはブロックチェーンのケイパビリティが必要になるケースもあるなど、チームやアサインする人材はプロジェクトによって柔軟に変わっていきます。

 

グローバルメンバーを巻き込み、数週間で価値を提供したプロジェクトも

――IBMグローバルでのガレージモデルに関するノウハウや成功事例については日本にも共有されているのでしょうか?

ヨーロッパやアメリカなど先行地域のノウハウや事例は日本にも共有されています。どのような仕組みでIBM Garageを立ち上げ、お客様サイドも含めてどのようなメンバーをアサインすべきかなど、日本のお客様に対して適用できる部分は活かしていますね。

――先行している海外ではどのような事例があるのでしょうか?

ある自動車メーカー様のプロジェクトでは、お客様のビジネスサイド、システムサイドの方々とIBMのデザイナー、エンジニアなどが共創環境に集まり、アイディエーションから生まれたいくつかのアイデアをピックアップして、実際にモバイルアプリなどを開発しています。エリアを絞ってのテストも進めており、問題がなければ展開していこうという流れができているようです。

また、USのある事例では、トレーラーのGPS位置情報を活用して、トレーラーの広告を見る可能性のある潜在的な消費者を推定し、アド・トレーラーの広告効果を高められる経路をテストしていると聞いています。

――IBM Garageは立ち上がったばかりですが、日本国内での状況についてもお聞かせください。

既に多くの企業様からお問い合わせをいただいており、提案活動を含めて進めているところです。いわゆる新規事業系部門のお客様がメインであり、経営企画部やデジタル戦略室、さらにはデジタルトランスフォーメーション、デジタルイノベーション、○○ラボといったような新規組織の担当者の方々からご相談をいただくケースが増えています。

会社としてデジタルをベースにしたイノベーションを強力に推進しようとしているものの、戦略や人材、あるいは進め方・文化などの部分で課題を抱えているお客様が多いですね。構想策定までは進めたものの、「どうやって形にしたらいいか分からない」「それでも3カ月で何か成果を出さなければならない」といったようなお客様に対して、IBM Garageをご提案しています。

――具体的に日本国内で進行しているプロジェクトなどはありますか?

金融やメーカーなど、いくつかのお客様の案件を進めている最中です。例えばデジタルという観点で全社変革を推進していきたいという金融機関のお客様は多く、お客様が保有しているデータと外部のデータを活用し、どのような新しい価値を創出できるかについて、アイディエーションからユースケース、PoCの部分でご支援しています。テーマにもよりますが、スタートから数週間、数ヶ月で次のフェーズに進むための価値を感じていただいている案件が生まれてきています。

――それは相当早いですね。どのようなメンバーをアサインして、どのような形で具現化されたのでしょうか。

例えば、ある案件で中心となっていたのはデータサイエンティストです。IBMには自社のデータサイエンティストたちが培ってきたモデリングやアルゴリズムが蓄積されており、それらを活用することで、一からモデルを組んで試行錯誤する時間を省略できます。また、海外の類似事例で活用したアルゴリズムをベースにお客様へご提案できたことも大きかったと思います。

さらにグローバルのメンバーも含めた最適な体制で、スピード感をもってプロジェクトを進めることができています。

 

PoCだけで終わらせず、顧客のビジネスにインパクトを生み出していく

――顧客との共創環境を作って新規事業創出を支援するサービスが増えてきていますが、貴社の場合はグローバルでの事例・ノウハウを持っていることやグローバルの人材をアサインできる点も強みになっているようですね。

先ほどお話しした金融機関様のプロジェクトについては、当初からIBMのグローバルでのアセット・人材を含めた総合力に期待していただいていましたし、それらを効果的に組み合わせて価値を提供することができました。また、IBMが有するテクノロジーとプラットフォームによる「具現化する力・形作る力」も大きな強みであると考えています。

例えばクラウド上でモバイルアプリを作るにしても、その仕組みを自社で保有していなければクイックに形にすることは難しいと思いますし、そうしたことをグローバルも巻き込んで実現できることがIBM Garageの優位性でしょうね。

――実際にIBM Garageを活用されたお客様からは、どのようなフィードバックをいただいているのでしょうか。

「アイデアを出す場」に関して、斬新・新鮮であるというお話はよくいただいていますし、私自身もクリエイティブな環境でお客様と一緒に考えることが重要だと感じています。

共創する場所に関しては当社のオフィスやお客様のオフィス以外に、外部のシェアオフィスなどを利用させていただくことも増えています。シェアオフィスではスタートアップの人たちがビジネスモデルやユースケースを考えている現場を間近に見ることができるので、大手企業のお客様が刺激を受け、「自社の会議室に閉じこもって考えていてもダメだ」ということを実体験として感じていただけることも大きいと思います。

また、スピードに関して驚かれるお客様は多いですね。数週間程度でPoCまで持っていく案件もあるので、「こんなに短期間で形になるとは思わなかった」というフィードバックをいただくこともあります。

▲IBM本社にはデザイナーやエンジニアが在籍する、共創のためのスペースが設置されている。

――貴社としては、今後どのようにIBM Garageを展開していきたいと考えているのでしょうか。

2018年1月に立ち上がり、ようやく様々なプロジェクトが進行し始めたところですが、今年1年はPoCを踏まえての効果創出が求められるステップであると考えています。いずれのプロジェクトに関してもPoCだけで終わらせずに、お客様のビジネスにインパクトを生み出すために、最後までお客様と一緒に伴走し続けることで結果を出していくつもりです。

――最後になりますが、IBM Garageの活用を検討される可能性のある企業担当者の方々へのメッセージなどがあればお聞かせください。

「デジタル」や「イノベーション」が声高に叫ばれる昨今、多くの企業でデジタル戦略室、デジタルトランスフォーメーション、デジタルイノベーションといった新しい部署が立ち上がっています。社長直轄でミッションを言い渡されたものの、「何から手をつけていいのか分からない」「自分たちだけで取り組んでみたものの上手くいかず、なぜ失敗したのかも分からない」という担当者の方も多いでしょう。そうした課題を抱えていらっしゃる企業の担当者の方は、遠慮なく私たちにお声がけいただきたいと思います。

IBMには業界・業種関係なく、イノベーションに関する様々なノウハウが蓄積されていますし、アイディエーションのメソドロジーも確立されています。さらには、アイデアを具現化するためのテクノロジーとプラットフォームもあります。それらを活用して、最終的にはお客様自身でイノベーションを起こしていける状態まで伴走していくことが、私たちに課せられたミッションであると考えています。

 

取材後記

グローバルも含めたIBMの多様な人材、デジタルに関する豊富な知見とプラットフォーム、さらにはアイディエーションのための「共創の場」まで活用できるIBM Garageは、デジタルをベースとしたイノベーション創出を目指しているものの、戦略面でのズレや人材不足、カルチャーギャップといった観点で課題を抱えている大手企業の新規事業担当者とって注目すべき選択肢となりそうだ。

また、IBM Garageの特徴として、長期的なパートナーシップ契約という観点も見逃せない。単なるPoCの実施で終わることがないため、最終的な成果を期待できることはもちろん、「将来的に自社の力でイノベーションを起こすためのノウハウを蓄積したい」という企業にとっても、大いに魅力的なサービスとなり得るだろう。

(構成:眞田幸剛、取材・文:佐藤直己、撮影:古林洋平)
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