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マーケティングの壁を越えるデジタル・トランスフォーメーション

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若松 幸太郎

若松 幸太郎
日本アイ・ビー・エム株式会社 グローバル・ビジネス・サービス事業 インタラクティブ・エクスペリエンス事業部 アソシエイト・パートナー


国内大手広告代理店及び、国内大手通信会社のデジタルマーケティンググループにて、SP/O2O/ソーシャル/マス媒体を絡めた大規模プロモーション、オンラインキャンペーン、デジタルチャネルの戦略構築から施策実施、運用管理など、様々なデジタルマーケティングのプロジェクトを経験。特にデマンドジェネレーション(リードジェネレーション、ナーチャリング、クオリフィケーション)領域については多くのプロジェクトを経験し、販売をゴールとしたマーケティング施策においてPDCAプロセスを活用し、マーケティングから販売にいたるトータルの設計に基づいた活動を数多く支援。近年はマーケティングオートメーションを活用したデジタルマーケティング領域を強みとして、大手MAベンダーのMarketoの日本法人立ち上げに関わり、同社取締役も経て現在に至る。

 

デジタル・トランスフォーメーションの重要性が高まった背景とは?

経営陣の誰もが口にする「デジタル・トランスフォーメーション」。数年前に始まったビジネスのデジタル化の大きな波はマーケティング領域にも訪れ、企業はその対応のためにデジタルマーケティングの専門部署を立ち上げ、広告代理店やコンサルティング・ファーム、SIerなども相次いでデジタル・ブランドを設立し、顧客企業のデジタル化をサポートしています。

ところで、なぜマーケティング領域においてもデジタル・トランスフォーメーションが重要と言われるのでしょうか。昨今、消費者や企業の購買行動が複雑になり、いままでの手法では期待通りに売り上げが上がらないばかりか、維持すらもできなくなってきました。そのような中、海外の先進的な企業がこぞってデジタル・トランスフォーメーションに取り組んだことで、旧来の手法を取っていた企業が市場に取り残され、淘汰されるようになりました。それを見た経営層がデジタル・トランスフォーメーションの必要性を痛感し、マーケティング領域においてもITに大きな投資をするようになったのです。

また、日本では企業の様々な部門の中で、デジタル化が一番遅れていたのがマーケティング領域でした。広報や宣伝部と言われている部門が、マーケティング部門を兼ねていたことも要因として考えられます。

IBM(IBM Corporation)は2003年から現在まで定期的に世界の経営者にインタビュー調査を実施し、そこから得られる示唆を「グローバル経営層スタディ」にまとめて発刊しています。2015年のCMO(マーケティング責任者)に対しての調査結果を見ると、

出典:Redefining Markets 新たな顧客体験の創出 グローバル経営層スタディからの洞察 – CMOの視点

出典:Redefining Markets 新たな顧客体験の創出 グローバル経営層スタディからの洞察 – CMOの視点

CMOの80%は「さらなるデジタルテクノロジーの活用と「個客」体験の提供を推進している」と回答しています。このように、企業の取り組み意欲は非常に高く、企業はマーケティング領域においてこの数年で大きくデジタル化への舵を切り始めました。

 

どれほどの企業がデジタル・トランスフォーメーションに成功しているか?

企業はこぞって、様々な新しいマーケティングツールを導入しています。しかし、どれほどの企業がデジタル・トランスフォーメーションに成功したのでしょうか? デジタル・トランスフォーメーションの大波が到来し、数年経過した現在、様々な企業のマーケティング担当の方と日々お会いする中で聞こえてくる声は「デジタルマーケティングにはまだ取り組み始めたばかりで人材育成が課題」「今までより仕事がやりづらい。むしろ取り組まない方が良かったかもしれない」「デジタルマーケティングの基盤の潜在力はすごいが、活かされていない」「IT投資により具体的な成果を求められるようになった」「聞いていた話とはかなり違う。うちの会社には合わないのかもしれない」など、ネガティブなものが目立ちます。

一体、なぜなのでしょうか? 大きな問題として感じるのが、単にアナログなやり方からデジタルテクノロジーに移行すればよいのだと、デジタル・トランスフォーメーションをツールの切り替えと勘違いしている企業と、それを煽るベンダーが多いのではないかということです。 手段が目的となって、「デジタルマーケティング基盤の刷新」が主目的になり、「マーケティング手法の刷新」という本質を忘れてしまったのではないでしょうか。

消費者や企業の購買行動が変わった。これは、1990年代に生まれたデジタルネイティブと呼ばれる層が、マーケティングにとって重要な層になってきたからでもあり、このデジタルネイティブ層に合わせたマーケティングを実現していくためには、最新のマーケティングテクノロジーが必要不可欠です。しかし、ターゲット顧客も変えず、売り方も変えようとしない企業にとっては、デジタルマーケティングツールは「豚に真珠」でしかありません。そこで、新たな購買層を狙いたい企業にとって、デジタル・トランスフォーメーションはどのように有効なのか、次回以降掘り下げて解説していきます。

中編では、デジタル・トランスフォーメーションを社内で押し進めるためのポイントをお伝えします。

photo:Getty Images

 

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