PowerVMとは、Power Systems 仮想化テクノロジーの統合名称であり、Power Systems のハードウェア、ソフトウェアの仮想化に関わる機能全体を包括します。

PowerVMの機能

• POWER Hypervisor
  1967年にメインフレーム向けに開発された Hypervisor （ハイパーバイザー）をベースに、POWER プロセッサー向けに拡張されたサーバー・ファームウェアに含まれるコンポーネントです。Power Systems でファームウェアによる仮想化を実現します。

• Micro-Partitioning
  物理 CPU 1個を分割し、最小 0.05 、以降 0.01 単位で LPAR へ割り当てる機能です。

• Dynamic LPAR (DLPAR)
  LPAR を再起動することなく、稼働したままプロセッサー、メモリー、I/O アダプターを追加・削除・移動する機能です。

• Virtual I/O Server (VIOS)
  ネットワーク・アダプターやディスク・アダプター、ディスク・ドライブなどを仮想化する機能です。
  分割された LPAR 間でこれらの共有を可能にし、物理的なアダプターの数を削減します。

• Integrated Virtualization Manager (IVM)
  HMC を接続しない Power Systems にて、Web ブラウザー・ベースの画面を通じて、LPAR 設定や管理が行える VIOS 機能の一部です。
  HMC の機能を全て代替するものではありません。

• Multiple Shared Processor Pools (MSPP)
  Micro-Partitioning で使用する、共用プロセッサー・プールを複数作成できる機能です。
  プロセッサー・プールごとに利用可能なプロセッサー数を設定することで、プールに属する LPAR で利用可能なプロセッサーの総数を制限可能となります。
  これにより Micro-Partitiong による自動の CPU 割り当て制御を利用しながら、ソフトウェア・ライセンスの適正な利用が実現可能です。

• Shared Dedicated Capacity
  専用プロセッサー・パーティションに割り当てているプロセッサーを共用プロセッサー・プールに提供し、共用プールで使用する機能です。
  専用プロセッサー・パーティションには、割り当てたプロセッサーに対する絶対的な優先順位を有しており、CPU リソースに空きがあるときのみ、共用プールへ提供します。専用プロセッサー・パーティションのパフォーマンスには影響を与えずにプロセッサーの有効活用が 可能です。

• Live Partition Mobility (LPM)
  LPAR を稼働したまま、筐体間移動する機能です。
  LPM で動的に LPAR を移動することで、システム保守による停止時間の削減や、筐体間によるリソースの有効活用が可能です。

• Active Memory Sharing (AMS)
  LPAR 間でメモリーを共有化し、各 LPAR のアプリケーション稼働状況に応じてメモリー容量を動的に割り当てる機能です。
  仮想化環境におけるメモリー活用の有用性と柔軟性を向上します。

• Active Memory Deduplication (AMD)
  AMS を使用している環境で、同じ内容のメモリー・ページを物理メモリー内で重複排除を実行する機能です。
  これにより、同じデータを 1 つのメモリー位置に集約し、他の重複メモリー・ブロックを解放して、メモリーの使用を最適化します。

• Active Memory Expansion (AME)
  LPAR 内のメモリーを圧縮・解凍することで、LPAR内のメモリーを実メモリーより多く見せる事ができる機能です。
  LPAR 内のメモ リーを圧縮することで物理メモリーの割り当て量を少なくし、筐体全体で使用できるメモリー容量を仮想的に増やすことができます。

• N_Port_ID Virtualization (NPIV)
  ファイバチャネル・ポート (N_Port) が複数のポート名やファブリック・アドレス (N_Port ID) を持てる業界標準の仮想化機能です。

• Suspend/Resume
  LPAR 上のオペレーティング・システムおよびアプリケーションとともに中断および再開する機能です。
  LPAR が中断されると、稼働中 OS のメモリー上の情報や構成情報の一部が予約済みストレージ・デバイスに保存され、その LPAR に割り当てられていた CPU、メモリー等のサーバー・リソースを他の LPAR に割り当て可能となります。

• Remote Restart
  電源オフやエラーなどにより物理サーバー停止が発生した場合に、Remote Restart をサポートする構成をされた LPAR を、別の物理サーバー上で再始動する機能です。

• Simplified Remote Restart
  通常の Remote Restart では LPAR の構成情報保管のために、移動元/移動先の物理サーバー間で共有可能な予約ストレージ・デバイスを外部ディスク上に構成する必要があります。
  Simplified Remote Restart ではこの予約ストレージ・デバイスが不要になり、より容易に Remote Restart を実現する構成が可能です。

• NovaLink
  OpenStack ソリューションから Power Systems の仮想化機能を HMC を介さずに直接接続し、管理を実現するアーキテクチャーです。
  これにより、物理サーバーの仮想化機能は IBM PowerVC や他の OpenStack ソリューションから NovaLink を介して管理されます。
  NovaLink は、Power Systems の LPAR として構成され、同じ物理サーバー上の VIOS や POWER Hypervisor と連携し、LPAR の管理などを実現します。

• Shared Storage Pools (SSP)
  複数のVIOS 区画からアクセス可能な共有ストレージ・プールを提供する機能です。
  LPAR に対する VIOS を介したディスクの割り当ての柔軟性や拡張性の向上を実現します。

• Single Root I/O Virtualization (SR-IOV)
  1 つのシステム内で同時に稼働している複数の LPAR 間で PCI Express (PCIe) デバイスの共有を実現する、PCIe アダプターが提供する仮想化機能です。
  LPAR は POWER Hypervisor または VIOS などの仮想仲介を介さずに、 SR-IOV アダプターに直接接続することができます。

• SR-IOV vNIC
  SR-IOV をサポートするアダプターと VIOS を組み合わせ、VIO クライアント上に構成できる仮想アダプターです。
  各 vNIC クライアント・アダプターは、Virtual I/O Server (VIOS) が所有する SR-IOV 論理ポートによってバッキングされます。
  SR-IOV をサポートするアダプターを利用しながら、PowerVM による Live Partition Mobility を利用可能な構成を実現します。

PowerVM の 2つの Edition

PowerVM は Standard/Enterprise の 2つの Edition があり、料金および使用できる機能が異なります。

• PowerVM Edition には、ハードウェア機構とソフトウェア機構があり、Edition のアップグレードも可能です。
  Virtual I/O サーバーはソフトウェア機構として提供されます。

• Linux 専用モデルで PowerVM を利用する場合には、Edition の選択はなく、IBM PowerVM for IBM PowerLinux のみが選択可能です。
  IBM PowerVM for IBM PowerLinux は PowerVM Enterprise Edition 相当の機能をサポートします。

• POWER5 搭載機器の Advanced POWER Virtualization (APV) は、PowerVM Standard Edition に相当します。

⇒　PowerVM Edition (US)

⇒　PowerVM Edition の概要 (IBM Knowledge Center)

【PowerVM Edition 別サポート機能一覧】

※ 各機能がサポートされるハードウェアの詳細やその他の前提条件については個別にご確認をお願いします

【PowerVM OS別サポート機能一覧】

※ 各機能がサポートされるハードウェアの詳細やその他の前提条件については個別にご確認をお願いします

*1 : AME は別途有償のライセンスが必要となります