クライアント仮想装置 (光ディスクおよび磁気テープ)

クライアント仮想装置サポートにより、動的な論理区画化を使用する必要なく、複数の IBM® i 区画が装置を共有することができます。

IBM i Power® システム (POWER6® 以降) 上で IBM i 6.1 以降が稼働している IBM i サーバー区画は、ネイティブ接続の光ディスク装置または IBM i 仮想光ディスク装置 (光ディスク・イメージ・カタログ) を、IBM i 6.1 以降が稼働している複数のクライアント区画と共有できます。

IBM Power システム (POWER® 6 以降) 上で IBM i 7.3が稼働している IBM i サーバー区画は、ネイティブ接続の DAT または LTO 磁気テープ装置を、IBM i 6.1.1 以降が稼働している複数の IBM i クライアント区画と共有できます。 磁気テープ装置は、サーバー上の IOPless 構成に接 続されている必要があります。 それらの装置がテープ・ライブラリー装置内にある場合、そのテープ・ライブラリー装置 は順次モードで稼働している必要があります。必要な PTF レベルおよび詳細については、 クライアント仮想磁気テープ装置を参照してください。

注: IBM i 仮想磁気テー プ装置 (テープ・イメージ・カタログ) は、 IBM i クライア ント区画に対して仮想化されません。 高速磁気テープ装置 (LTO5 以降) が IBM i クライア ント区画に対して仮想化されると、クライアント区画はその磁気テープ装置 をフルスピードで実行できない場合があります。
光ディスク装置および磁気テープ装置は、 IBM i サーバー区画 内に仮想 SCSI サーバー・アダプターを、 IBM i クライアント 区画内に仮想 SCSI クライアント・アダプターを作成することによって、 IBM i クライアント 区画によって使用されるように構成されます。 仮想 SCSI 接続に加えて、 IBM i サーバー区画 内にネットワーク・サーバー記述 (NWSD) が必要です。
  • NWSD ごとに、サーバー区画内にある 16 個までの光ディスク装置 がクライアント区画に対して仮想化されます。
  • NWSD ごとに、サーバー区画内にある 4 個までの磁気テープ装置 がクライアント区画に対して仮想化されます。
注: NWSD パラメーター RSTDDEVRSC (制限された装置資源) および ALWDEVRSC (許可された装置資源) を使用して、 クライアント区画がアクセスできる仮想化された装置を 制限することができます。 複数のネットワーク・サーバー記述を定義する場合、 RSTDDEVRSC または ALWDEVRSC パラメーターを使用して、 同じ装置がクライアント区画で複数回出現することを 防止する必要があります。 RSTDDEVRSC および ALWDEVRSC パラメーターは、最大で 16 項目に制限 されています。
注: IBM i サーバー区画 内の既存の仮想 SCSI サーバー・アダプターおよび NWSD を使用できますが、光ディスクおよび磁気テープ 用に使用するために新しく作成することをお勧めします。

サーバー区画内の仮想化された光ディスク装置または磁気テープ装置 は、クライアント区画の D モード初期プログラム・ロード (IPL) およびインストール、 プログラム一時修正 (PTF) のインストール、 保存/復元、およびその他の入出力操作に使用できます。

注: IBM i サーバー区画 がイメージ・カタログを使用して、仮想化された光ディスク装置を IBM i クライアント 区画に提供する場合、正しい PTF レベルが適用された IBM i リリース 7.1 以降がサーバー区画とクライアント区画で 稼働していて、かつ、ネットワーク・サーバーがオンに変更されたときに光 ディスク装置が既にオンに変更されたのでなければ、クライアント区画のた めに次のボリュームが自動的にロードされることはありません。 PTF レベルおよび追加情報については、 組み込みメディア・チェンジャー (英語) を参照してください。

IBM i クライアント区画が使用するための光ディスク装置または磁気テープ装置の構成

IBM i クライアント区画によって使用されるように光ディスク装置または磁気テープ装置を構成するには、以下の手順を使用します。
  1. 管理 HMC を使用して、 IBM i のサーバー区画 とクライアント区画に新規仮想 SCSI アダプターを作成します。
  2. IBM i サーバー区画にネットワーク・サーバー記述 (NWSD) を作成します。 これを行うには、 以下のステップを実行します。
    1. IBM i サーバー区画のコマンド行に WKRHDWRSC *CMN コマンドを入力することによって、正しい仮想 SCSI サーバー資源名を判別します。 タイプ 290B の コントローラー資源を見てください。オプション 7 を使用して資源詳細を 表示し、ロケーション・コードの最後の桁を見てください。ステップ 1 で作成した仮想 SCSI アダプター番号 またはリモート・アダプター ID で終わっているロケーション・コードを持つコントローラー資源が、NWSD の作成時に 使用されるコントローラー資源名です。後で使用するために、このコントローラー資源名を記録してください。 例えば、ステップ 1 で作成した仮想 SCSI アダプター番号またはリモート・アダプター ID が 7 の 場合、ロケーション・コードは次のような形式になります。
      Location: U9409.E8A.10ABCDE-V1-C7
    2. IBM i サーバー区画の IBM i コマンド行で、ネットワーク・サーバー記述を作成するために CRTNWSD を入力し、プロンプトに対して F4 を押し、次に、F9 を押してすべてのパラメーターを表示します。 以下の値を 入力します。
      • ネットワーク・サーバー記述: ネットワーク・サーバー記述 の名前を指定します。例えば、クライアント区画として 区画 8 を使用する計画の場合、NWSD に名前 CLIENT8 を使用します。
      • 資源名: ステップ 2.a で記録した資源名を指定します。
      • ネットワーク・サーバー・タイプ: *GUEST
      • サーバー・オペレーティング・システム: *OPSYS
      • IPL 時のオンライン: *YES
      • コード・ページ: 437
      • 制限された装置資源: クライアントが見る資源を制限したくない場合は、*NONE を使用します。16 個までの制限する特定の資源名から なるリストを指定することもでき、また、 *ALLOPT または *ALLTAPE を使用してすべての光ディスク装置またはすべての磁気テープ装置を制限す ることもできます。
      • 許可された装置資源: クライアントが見る資源を制限したくない場合は、*UNRSTD を使用します。16 個までの許可する特定の資源名からなるリ ストを指定することもでき、また、*ALLOPT または *ALLTAPE を使用してすべての光ディスク装置また はすべての磁気テープ装置を許可することもできます。
      • 電源制御: *NO を指定します。
      区画 8 での使用を意図してネットワーク・サーバー記述を作成し、コントローラー資源名が CTL09 であり、 クライアント区画が磁気テープ資源 TAP01 を認識しないようにしたい場合、 次のようなコマンドを使用します。
      CRTNWSD NWSD(CLIENT8) RSRCNAME(CTL09) TYPE(*GUEST *OPSYS) ONLINE(*YES) CODEPAGE(437) RSTDDEVRSC(TAP01) 
      PWRCTL(*NO)
      区画 8 での 使用を意図してネットワーク・サーバー記述を作成し、コントローラー資源名 が CTL09 であり、クライアント区画が磁気テープ資源 TAP01 のみを認識す るようにしたい場合、次のようなコマンドを使用します。
      CRTNWSD NWSD(CLIENT8) RSRCNAME(CTL09) TYPE(*GUEST *OPSYS) ONLINE(*YES) CODEPAGE(437) ALWDEVRSC(TAP01) 
      PWRCTL(*NO)
  3. 以下のステップを実行することによって、 IBM i サーバー区画 で NWSD を開始します。
    1. クライアント区画が使用するようにしたい光ディスク装置をオンに変更します。磁気テープ装置をオンに変更しないでください。
    2. WRKCFGSTS *NWS IBM i コマンドを入力します。
    3. 開始したい NWSD に対して、オプション 1 (オンに変更) を使用し、Enter を押します。
  4. IBM i クライアント区画内で仮想装置を配置するため、 WRKHDWRSC *STGIBM i コマンドを 入力します。 これらの仮想装置はタイプ 290A ストレージ・コントローラーと関連付けられます。
    1. オプション 7 を選択して、リストされた各 290A ストレージ・コントローラー資源 の横に資源詳細を表示します。
    2. ロケーション・コード Cxx の最後の桁を確認します。xx は、ステップ 1 で書き留めた仮想 アダプター番号に対応します。
    3. 正しいストレージ・コントローラー資源が見つかったら、 DC0xx 資源を探し、資源に関する作業を行うためにオプション 9 を選択します。
    注: 仮想化された光ディスク装置資源が、 IBM i クライアント区画で以下のいずれかの装置タイプ - モデルとして表示されます。
    • RDX ドライブは、タイプ - モデル 63B8-0D2 として表示されます。
    • USB フラッシュ・ドライブは、タイプ - モデル 63BC-0D2 として表示されます。
    • 他のすべての物理光ディスク装置タイプと、IFS/NFS ファイルによってバックアップされる仮想装置 (632B-001 および 632B-003) は、タイプ - モデル 632C-002 として表示されます。

    仮想化された磁気テープ装置資源は、クライアント区画で、サーバー区画と同じ装置タイプとモデルを表示します。

    磁気テープ装置の場合、クライアント区画では、サーバー区画とは異なる フォーマットでシリアル番号が表示されることがあります。例えば、SAS 磁気テープ装置 は、サーバー区画ではシリアル番号 YSA068000277、 クライアント区画ではシリアル番号 00-8000277 になることがあります。

  5. IBM i クライアント区画から仮想装置をオンに変更します。
    • 仮想化された光ディスク装置の場合、サーバー区画で対応する光ディスク装置 がオンに変更された後でないと、クライアント区画はその装置を使用できません。
    • 仮想化された磁気テープ装置の場合、サーバー区画で対応する磁気テープ装置 がオフに変更された後でないと、クライアント区画はその装置を使用できません。複数の クライアント区画が同時に装置をオンに変更できるようにしたい場合、それらのクライアント区画で、装置記述の「オンに構成変更 時の装置割当て」パラメーターが *NO に設定されている 必要があります。
    注: 光ディスク・コンテナー媒体を含む RDX ドライブまたは USB フラッシュ・ドライブを仮想化していて、 子の仮想ボリュームを書き込み可能にするボリューム・リスト・ファイルが媒体にある場合、 子の仮想ボリュームにアクセスできるのは一度に 1 つの区画だけです。 その他のすべての区画では、子の仮想装置記述がオフに構成変更されていなければなりません。

HMC Enhanced インターフェースによる仮想 SCSI アダプターの作成

HMC Enhanced インターフェースで IBM i のサーバー区画 とクライアント区画に新規仮想 SCSI アダプターを作成するには、以下の手順を使用します。
  1. 管理 HMC ナビゲーション・ペインで、 「システム管理」 > 「サーバー」を開いて、 IBM i クライアント区画がある管理対象システムを選択します。
  2. クライアント区画について、「仮想入出力」 > 「仮想ストレージ」を選択します。
  3. 「仮想ストレージ」パネルで「アダプター・ビュー」ボタンを押して、 IBM i でホストされる仮想 SCSI アダプターを表示します。
  4. 「アダプターの作成」オプションを選択し、IBM i でホストされる仮想 SCSI アダプターを新規作成します。 「仮想 SCSI アダプターの作成」パネルでは、使用する有効なアダプター ID とリモート・アダプター ID が事前選択されます。 後でステップ 2 で使用するためにこのリモート・アダプター ID を記録し、「OK」を押します。
    注: 新規の仮想 SCSI アダプターを組み込むために、アクティブ区画プロファイルが自動的に更新されます。

HMC Classic インターフェースによる仮想 SCSI アダプターの作成

HMC Classic インターフェースで IBM i のサーバー区画 とクライアント区画に新規仮想 SCSI アダプターを作成するには、以下の手順を使用します。
  1. IBM i サーバー区画に新規 SCSI サーバー・アダプターを作成します。
    1. 管理 HMC ナビゲーション・ペインで、 「システム管理」 > 「サーバー」を開いて、 IBM i サーバー区画がある管理対象システムを選択します。
    2. IBM i サーバー 区画を選択し、「タスク」ボタンをクリックし、 「動的論理区画化」 > 「仮想アダプター」を選択します。
    3. 「アクション」をクリックし、「仮想アダプターの作成」 > 「SCSI アダプター」を選択します。
    4. デフォルトのアダプター番号を使用するか、独自の番号を指定します。この 番号はサーバー・アダプター ID であり、後で使用するために記録しておく必要があります。
      • 「アダプターのタイプ」フィールドで「サーバー」を選択します。
      • 「Only selected client partition can use (選択されたクライアント区画のみが使用できる)」をクリックし、 クライアント区画名を選択します。
      • クライアント区画によってまだ定義されていないクライアント・アダプター ID を 入力します。クライアント区画用に既に定義済みのクライアント・アダプター ID を確認するには、クライアント区画のプロパティーを表示し、「仮想アダプター」タブを選択して、既に定義済みのクライアント・アダプター ID を表示します。後で使用するためにこのクライアント・アダプター ID を記録します。
      • 「OK」を選択してアダプターを作成します。
    5. IBM i サーバー区画の区画プロファイル内に仮想 SCSI アダプターを作成して、区画を再始動した後も仮想 SCSI アダプターが存続するようにします。 これを行うには、区画プロファイルを編集し、「仮想アダプター」タブを選択し、上記のステップ 1.c および 1.d を繰り返します。
  2. IBM i クライアント区画内に仮想 SCSI クライアント・アダプターを作成します。
    1. 管理 HMC ナビゲーション・ペインで「システム管理」 > 「サーバー」を開き、 IBM i クライアント論理区画がある管理対象システムを選択します。
    2. IBM i クライアン ト区画を選択し、「タスク」をクリックし、 「動的論理区画化」 > 「仮想 アダプター」を選択します。
    3. 「アクション」をクリックし、「仮想アダプターの作成」 > 「SCSI アダプター」を選択します。
    4. ステップ 1.d で記録したクライアント・アダプター ID を「アダプター番号」に 入力し、「アダプターのタイプ」に対してクライアントを選択します。
    5. サーバー区画として、仮想化された装置を所有する IBM i サーバー区画を選択し、ステップ 1.d で記録したサーバー・アダプター ID を 指定します。「OK」を選択します。
    6. IBM i クライアント区画の区画プロファイル内に仮想 SCSI アダプターを作成して、区画を再始動した後も仮想 SCSI アダプターが存続するようにします。 これを行うには、区画プロファイルを編集し、「仮想アダプター」タブを選択し、上記のステップ 2.c2.d、および 2.e を繰り返します。